精米販売で日本一に 東西の全農パールライスが合併2014年7月9日
JA全農は7月8日の経営管理委員会で全農パールライス東日本と全農パールライス西日本が合併することを承認された。新会社「全農パールライス」は10月1日に発足する。28年度に精米販売で31万tの取り扱いが目標。これは国産米100%の精米卸販売量として日本一の規模となる。
両社の合併は26年度事業計画に盛り込まれていたものでこの日の経営管理委員会で正式に承認した。
新会社となる全農パールライス(株)は、関東・関西という大消費地の営業・精米販売拠点を一体的に運営することで精米販売力の強化をめざす。25年度の2社合わせた玄米・精米の取扱数量は33万t(玄米6万t、精米27万t)だが、合併3年後の平成28年度に35万t、売上高1100億円の達成をめざす。
35万tのうち精米販売で31万tを目標としており、達成すれば米卸最大手の神明の精米販売実績、約30万t(25年度)を超える。会見で川崎史郎参事は「国産100%の精米販売で日本一の卸をめざす」と合併の意義を話した。
そのために力を入れるのが業務用需要とインターネット販売だ。米の消費動向は大きくいえば家庭用と業務用がそれぞれ350万t程度で拮抗しているという。しかし、家庭用消費量には農家の自家消費や親や親類からの無償譲渡も含まれるため実際の販売量は業務用のほうが多くなっているともいわれる。外食のほか、コンビニの弁当業者などへの米販売量は今後も継続的に拡大していく見込みだ。
こうした環境変化のなか、東日本パールライスの取り扱いは量販店向けが6割以上と強みがあり、一方、西日本パールライスは業務用が4割を超えるという特徴がある。「合併によって両方(の販売)に強い営業体制を確立したい」という。
また、インターネット販売は新たな流通ルートとして定着しつつある。米穀機構の「米の消費動向調査結果」によると25年度は米の購入先としてネット販売が10%を占めた。現在、インターネット販売実績は2社合わせて1000t程度だが、28年度には3倍にすることをめざすという。
JA全農は、業務用需要に対応するためにすでに実需者のニーズに合った多収量品種の栽培を産地に提案するなどの取り組みを行っている。川崎参事は米政策の今後の変化もみすえて「産地に対してどういう需要があるか、フィードバックする力を強めることが米穀事業に求められている」と話し、新会社も産地との結びつきを強め事業展開していくことを強調した。◎全農パールライス(株)の概要=本社:東京都千代田区内神田(現パールライス東日本本社)、業務:米穀のとう精・販売、炊飯、食品の販売等資本金:40億円、事業拠点:東日本事業本部(本社)、西日本事業本部(現西日本パールライス本社)、従業員数:456人。
(写真)
川崎史郎参事
(関連記事)
・全農の株式会社化は共販を壊す(2014.07.07)
・大型商業施設に農産物直売所 全農・エーコープ(2014.07.04)
・農協をめぐる最近の動向 農水省・山北氏が講演(2014.07.03)
・【JA全農がめざすもの】第1回 米の販売戦略 岩城晴哉・JA全農常務理事インタビュー(2014.06.24)
・配合飼料価格800円値上げ JA全農(2014.06.23)
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日