米粉をゼリーやピューレに 米の新用途利用の促進方針2015年3月19日
農林水産省は3月17日に開かれた自民党の農業基本政策検討PTに「米穀の新用途への利用の促進に関する基本方針案」を示した。米粉用米についてゼリーやピューレといった形状での新たな利用を促進することなどを盛り込んでいる。
新たな基本計画では平成37年度に米粉用米10万t、飼料用米110万tの生産努力目標を定めるが、これら米穀の新用途利用を促進するため方針を定めている。最初の基本方針策定は平成21年。5年が経過したことから新たな課題とその対応方向を記載している。
米粉用米についての利用量は平成21年度の5000tから着実に増加し24年度、25年度は2万tを超えているが伸びは鈍化している。生産量は持ち越し在庫米が米粉原料として使われたことから、23年度に約4万tだった生産量は25年度には約2万tにまで減少している。 今後の利用拡大を図るには[1]小麦粉にくらべて高い製粉コストの低減、[2]消費者に魅力ある米粉製品の開発、[3]魅力ある製品を用いた米粉のアピールが課題だとしている。
米粉の製粉コストは1キロ90円?270円程度。小麦粉のそれは50円程度のため、製品価格も小麦粉より高くなる。
一方、最近では米をピューレ状・ゼリー状に加工し、加工コストの削減のほか、小麦粉にはない保湿性を持つことやさまざまな形状に加工できるといった特性と機能性を生み出す技術も開発されてきた。
高アミロース米を炊飯後に高速攪拌しゼリー状に加工してパンなどに利用する「米ゲル」や、米を無酸素状態で蒸気過熱処理するなどのの技術でピューレ状に加工する「コメネピュレ」といった米穀加工品もある。
新しい基本方針では米の新用途利用を促進するため、こうした加工技術を位置づける。
飼料用米については、JA全農が27年産米で26年産の3倍以上にあたる60万tの生産目標を掲げて都道府県ごとに拡大に取り組む。また、全農が直接買い取り、流通・販売するスキームも創設する。また、日本飼料工業会が約41万tの使用が可能であり、中・長期的には約200万tまで拡大できると発表しているなど利用拡大が進みつつある。 このような動きに対応し畜産サイドに円滑に利用が進むよう、農水省は新方針に▽効果的な給与技術の普及、▽流通コスト低減のためのバラ流通への転換、▽畜産農家における加工施設・機械の導入、▽需要量の増加に対応するため複数産地の連携による安定供給の重要性などを盛り込むことにしている。
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