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特集:JA全国女性大会特集2015

2015.01.22 
【現地ルポ】若者に夢を与えるかっこいい農業へ JAとなみ野・梅本恵子さん一覧へ

梅本恵子さん JAとなみ野フレッシュミズ部長
・米粉カフェ中心に多角経営
・農業者の誇り伝えるアロマ教室
・お年寄りの心の拠り所 地域のキーステーションへ
・東海・北陸ブロックのフレミズ集会の実現を

 JAcom1月21日掲載の鼎談「人と人のつながりを活かして、地域を引っ張る女性リーダーに」に登場し、これからのJAと、女性が担う地域づくりについて意見を述べてくれたJAとなみ野(富山県)フレッシュミズ部長の梅本恵子さん。地元の砺波市を訪ね、自身の農業経営やフレッシュミズの活動を取材した。

若手女性農業者との会話が弾むアロマ教室


(写真)
若手女性農業者との会話が弾むアロマ教室

 

◆米粉カフェ中心に多角経営

梅本恵子さん 富山県砺波市にある米粉カフェ「梅香」。白木のログハウスに一歩足を踏み入れると、加賀杉が放つ優しい木の香りに包まれる。運営するのは?梅香園の梅本さん夫妻。シクラメンやパンジーなどの花卉を中心に、米、タマネギ、ニンジンなど数多くの農作物を栽培する他、イチゴの観光農園、寄せ植え教室、アロマのカルチャースクールなど、多角的な複合経営を行っている。米粉カフェは、米の消費拡大と、地域の人々が憩える場にと、2014年5月にオープンした。
 妻の恵子さんは、元はスポーツクラブのインストラクターという肉体派。両親が米農家を営む夫・英孝さんとの結婚を機に農業の世界へ入ったが、嫁いですぐにトラクター作業を任されるなど、本領を発揮。「農業にはお金には換えられない喜びと感動がある」と肌で感じた。
 しかし同時に、農業で食べていくことの厳しさにも直面する。生き方としての農業のすばらしさを実感する一方で、帰農を手放しで勧めることができないことに矛盾を感じ「若者にかっこいいと思ってもらえる農業を」と一念発起、鉢花・苗栽培を皮切りに、夫と二人三脚で、稲作だけの受け身の農業から、攻めの農業へと方向転換した。

(写真)
梅本恵子さん

 

◆農業者の誇り伝えるアロマ教室

「梅香園」の入り口。奥には米粉カフェとイチゴや花卉の温室がある 多角化経営の1つとして、恵子さんは、ハーブコーディネーター・アロマテラピーコーディネーターの資格を取得、資格を生かしたアロマ教室を開いている。「梅香園に通ってくれるお客さんたちを、香りで癒してあげたい」という思いから始めたものだ。間もなくすると、評判を聞きつけたJAとなみ野から声がかかり、JA女性部が開催する「おひろめ隊」で講師を務めることに。そこから活動が広く知られるようになり、今では、JAのみならず、行政や地域の福祉施設などからもひっぱりだこの人気講師となった。「今の私があるのはJA女性部に声をかけてもらったおかげ。私はJA女性部に育ててもらったと思っています」
 恵子さんのアロマ教室は、ご本人の人柄がそのまま表れて和気あいあいとした雰囲気。たった1滴の精油を作るためにどれだけの花が必要なのかを丹念に説明し、生産者への感謝の気持ちも忘れない。アロマの香りとともに、農業の素晴らしさや、自分が農業者である誇りも伝えるのが恵子さん流だ。同世代の農家の参加者と、いつの間にか悩み相談会になることもあるそう。恵子さんは現在、介護アロマコーディネーターの資格取得に向けて猛勉強中。次のステップへと走り出している。

(写真)
「梅香園」の入り口。奥には米粉カフェとイチゴや花卉の温室がある

 

◆お年寄りの心の拠り所 地域のキーステーションへ

米粉カフェの店内。テーブルやイスも自然の風合いを生かした木造り 梅香園では現在、男性2人、女性2人の計4人の若者を社員として雇用、研修生も1人受け入れている。春には、以前職場体験に来ていた女の子が高校を卒業し、新たに入社する予定だ。「人を雇うことで、ただ楽しい農業から稼ぐ農業への発想の転換ができました」恵子さんはそう話す。
 部門ごとに責任者を決め、すべてを任せる。責任を持たせることで、若い社員のなかにも「稼ぐ」目線が育つという。一方で、彼らにしっかりと賃金を支払うためには、1年を通して仕事を作る必要がある。「その方法の1つが米粉カフェであり、アロマ教室です」
 複合経営の一環として取り組む米粉カフェやアロマ教室。しかしその根底には常に「お世話になった人たちへの感謝の気持ち」がある。「ここまでくるには大変な苦労がありました。でも多くの人に支えられて、なんとかやってこられた。今度はご恩返しする番です」。梅香園に流れているのは、どこまでも温かな「気」だ。それは、園内のあちこちに形となって表れている。
 イチゴの観光農園は「車椅子のままイチゴ狩りを楽しんでもらいたい」との思いから、高設養液栽培方式を採用し、通路も通常の温室の倍ほどの広さにした。通路を広げれば、自ずと栽培面積は狭くなる。設計時に業者からそう助言されたが、意志は曲げなかった。福祉施設から遠足で訪れた重度障害者の子を持つ親が、子どもに初めてイチゴ摘みをさせてあげられたと涙を流して喜ぶ姿を見て「判断は間違っていなかった」と夫婦で嬉し泣きをした。
 米粉カフェもオールバリアフリー。「ご近所には、お年寄りだけで暮らす世帯がたくさんあります。このカフェが誰もが集える地域のキーステーションになってくれれば」。
 恵子さんには温めているアイデアがある。「地域のお年寄りに、これまでの農業の経験を生かして、昼間はタマネギの皮むきや野菜の袋詰めなどをお願いする。作業の後は、カフェでランチやお茶をのんびり楽しんでもらいたい。ただお茶を飲んだりおしゃべりするだけではなく、1人1人のお年寄りが役割を持つことで、そこに新たなやりがいや生きがいを見つけていただけたら嬉しい」。このカフェを、お金だけではなく、心をやりとりする場にしたい、恵子さんはそう考えている。

(写真)
米粉カフェの店内。テーブルやイスも自然の風合いを生かした木造り

 

◆東海・北陸ブロックのフレミズ集会の実現を

 現在、JAとなみ野フレッシュミズ部長の恵子さん。昨年11月に開催された「第18回フレッシュミズ全国交流集会」では実行委員長も務めた。実行委員長に選ばれたときは、まさか自分が?という驚きと不安でいっぱいだったという。「でも引き受けたからには精一杯がんばろうと気持ちを切り替えたんです。半強制的だったからこそやり遂げることができた。女性には、そのように背中を押してもらうことが必要なのではないかと思います」。恵子さんは自身の経験から、そのように感じたという。
 また「全国集会でたくさんの仲間たちと出会えたことは、何にも勝る一生の宝」とも。そんな貴重な経験ができたフレミズという組織に「多くの女性が関わってほしい」と恵子さん。農業女性のアロマ教室などでも、参加者の女性たちには、人とのつながりのすばらしさを必ず伝えているそうだ。
 現在43歳。フレミズ卒業までに、これまでまだ1度も開催されていない、東海・北陸ブロックのフレミズ集会実現に向けて「その道筋を作りたい」と新たな目標を目指す。「それが、私にかけがえのない出会いのチャンスをくれた、フレミズ組織に対してできるご恩返しです」

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