「伝統的酒造り」ユネスコ無形文化遺産登録記念セレモニー開催 日本酒造組合中央会2024年12月16日
日本酒造組合中央会は12月8日、「伝統的酒造り」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されたことを祝い、「日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術の保存会」と日本酒造杜氏組合連合会とともに記念セレモニーを開催。数百年にわたり麹を使った酒を造り続けてきた職人の努力の賜物が今回の登録につながったことを祝うとともに、「登録はゴールではなくスタートライン」と伝統的酒造りの価値と継承について今後の展望を語った。
鏡開きで「伝統的酒造り」のユネスコ無形文化遺産登録を祝う出席者。
写真左から、「全国本みりん協議会」村松浩一郎会長、「独立行政法人酒類総合研究所」福田央理事長、
「日本酒造杜氏組合連合会」中川博基副会長、「日本酒造組合中央会」大倉治彦会長、
「日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術の保存会」小西新右衛門会長、
「九州本格焼酎協議会」多田格会長、「伊丹市」藤原保幸市長
市立伊丹ミュージアムにある国の重要文化財「旧岡田家住宅・酒蔵」(兵庫県伊丹市)で開かれたセレモニーには、日本酒・本格焼酎・泡盛・本みりんなどに関わる全国の酒造関係者が一堂に集まり、一般参加者も含めた約80人が参加。開会にあたり、中央会の大倉治彦会長が「数百年にわたりコツコツとこうじを使ったお酒を造り続けてきた職人の努力の賜物。これを機に国外でこれらのお酒の価値が見直され、大々的に売上が増えることを大変期待している」と挨拶した。
続いて、来賓を代表して伊丹市の藤原保幸市長が「お酒との関わり、お酒を生かした街づくりを伊丹市の柱にしてきた。日本の伝統的酒造りが世界に認められ伊丹でセレモニーができ大変嬉しい」と挨拶。保存会の小西新右衛門会長による鏡開きの口上から「ヨイショ、ヨイショ、ヨイショー!」の掛け声とともに鏡が開かれ、日本酒の乾杯でユネスコ無形文化遺産への登録を祝った。
また、時計のない時代に、酒造りの各工程を作業を行いながら唄うことで、作業のリズムや、作業時間の目安としてはかる際などで使われてきた「酒造り唄」も、丹波流酒造り唄保存会により披露され会場を盛り上げた。
後半のプログラムでは、「伝統的酒造りの価値と継承」をテーマにパネルディスカッションが行われた。司会進行を行った保存会の宇都宮仁副会長から「長い間こうじ菌を使って最適な条件で生育する工程を工夫して、職人たちが伝統的な製法で酒を造り続けている。また、祭礼や結婚式、通過儀礼など社会的文化面ともつながりがある。日本の国としてこれらの伝承を行ってきた事などが評価され登録へ至った。」と登録となった経緯を説明。また、保存会の小西会長からは「ユネスコ無形文化遺産への登録はゴールではなくスタートライン。農家や酒造りに携わる人たちだけでなく、様々な関係者の底上げになる機会。伝統的酒造りを将来にどうつないでいくのかなど引き続き考えていきたい」とコメントした。
さらに、これまで約60年間にわたり酒造りを行ってきた丹波杜氏組合の小島喜代輝相談役からは、「毎年この時期になると、仲間の杜氏から、新酒の良いお酒ができたと喜んで電話がかかってくる。今の時期はお正月用のお酒を一生懸命搾っており、みんな子供を育てるように大事にお酒を造っている。そういう仕事を杜氏・蔵人たちが続けていることが、今回のユネスコ無形文化遺産に登録された。涙が出るほど喜んでいる」とコメントした。
酒類総合研究所の福田央理事長からは、人材育成について「1905年より、酒類醸造講習を継続し人材育成を行ってきた。今年からは講習の目的の中に、伝統的酒造りの継承というものも含み実施しているところ」 と今後の人材育成の重要性について話した。
閉会の挨拶では、中央会の佐浦弘一副会長が、関係者へのお礼の言葉と共に「多くの方が言っていた通り、今回のユネスコ無形文化遺産への登録はゴールではなくスタートであると考えている。皆さまからも沢山の取り組むべき課題もいただいたと思っている。次の世代への継承・発展に向かって取り組んでいきたい」と語った。
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】とうもろこしにアワノメイガが多誘殺 早めの防除を 北海道2025年7月1日
-
米価 5週連続で低下 5kg3801円 農水省調査2025年7月1日
-
【人事異動】農水省(7月1日、6月30日付)2025年7月1日
-
農水省 熱中症対策を強化 大塚製薬と連携し、コメリのデジタルサイネージで啓発2025年7月1日
-
作況指数公表廃止よりもコメ需給全体の見直しが必要【熊野孝文・米マーケット情報】2025年7月1日
-
【JA人事】JA岡山(岡山県)新会長に三宅雅之氏(6月27日)2025年7月1日
-
【JA人事】JAセレサ川崎(神奈川県)梶稔組合長を再任(6月24日)2025年7月1日
-
【JA人事】JA伊勢(三重県) 新組合長に酒徳雅明氏(6月25日)2025年7月1日
-
米穀の「航空輸送」ANAと実証試験 遠隔地への迅速な輸送体制構築を検証 JA全農2025年7月1日
-
JA全農「国産大豆商品発見コンテスト」開催 国産大豆を見つけて新商品をゲット2025年7月1日
-
こども園で食育活動 JA熊本経済連2025年7月1日
-
産地直送通販サイト「JAタウン」新規会員登録キャンペーン実施2025年7月1日
-
7月の飲食料品値上げ2105品目 前年比5倍 価格改定動向調査 帝国データバンク2025年7月1日
-
買い物困難地域を支える移動販売車「EV元気カー」宮崎県内で運用開始 グリーンコープ2025年7月1日
-
コイン精米機が農業食料工学会「2025年度開発賞」を受賞 井関農機2025年7月1日
-
「大きなおむすび 僕の梅おかか」大谷翔平選手パッケージで発売 ファミリーマート2025年7月1日
-
北海道産の生乳使用「Café au Laitカフェオレ」新発売 北海道乳業2025年7月1日
-
非常事態下に官民連携でコメ販売「金芽米」市民へ特別販売 大阪府泉大津市2025年7月1日
-
農作物を鳥被害から守る畑の番人「BICROP キラキラ鳥追いカイト鷹」新発売 コメリ2025年7月1日
-
鳥取県産きくらげの魅力発信「とっとりきくらげフェア」開催 日本きのこセンター2025年7月1日