米:CE品質事故防止強化月間
事故防止は「基本に忠実な行動」から(下) 現地ルポ・JA会津よつば2016年8月10日
品質を守り生産者の所得を確保
現地ルポ・JA会津よつば(坂下CE・福島県)
◆「雑草稲」と「着色粒」に注意
同CEで品質事故防止対策について実行していることは、まず「生籾の荷受検査」だという。荷受にあたっては「乾燥設備作業主任者」の資格を持つJA職員が10人おり、「その職員を含めて当番制であたっている」と同JA米穀部検査施設課の斎藤勝則課長。その時に一番注意するのが「雑草稲」と「着色粒」だ。
古代米などを含む雑草稲については、ほ場をよく見回り、発見したら必ず手抜きをすること。そして収穫後には必ず反転耕耘することを指導している。
これを3年繰り返せば、ほぼ雑草稲はなくなるという。
カメムシによる「着色粒」は、予察情報などをきめ細かく流し防除するように伝えているが、多い時で8000袋、昨年も2000袋の被害があった。
着色粒が混じれば米のランクが下がり、生産者の所得が下がる。JAでは「米の品質を高めることは、生産者の所得確保・向上につながるので、高額だが機能性に優れた色彩選別機を2機導入」したと長谷川専務。
だが、色彩選別機で選別し、品質を確保するためには、利用料金が生産者の負担になる。
ある地区で着色粒が多いので、色彩選別機で選別し、一定量の1等米を確保したことがあった。「そのための費用の総額はヘリで共同防除するのとほぼ同じだった」という。それなら、共同防除する方が「1等米の量も多く確保でき、収入増にもなる」と、いまでは共同防除している例もある。
カメムシ防除は、個々のほ場ごとに実施しても、効果は薄い。「地区ごとに共同防除してもらうことが一番だ」と内川主任。
◆現場作業にはスマホを必ず携行
CEでの受入後の品質事故防止の要は「穀温管理」だ。坂下CEでは、秋から冬、冬から春へなど、季節に合わせた穀温管理を徹底することで「焼け米」などの品質事故防止に努めている。
また、サイロへの転落などの人身事故を防止するために、点検や作業でサイロなどのある現場に行くときには、必ず「○○をするために、どこどこへ行きます」と報告してから行動することと、スマホを必ず携行することを徹底している。
スマホは連絡確認だけではなく、現場の状況を動画撮影してすぐ送信することで、的確な指示や対応が即時にできるからだ。これもいまの時代に合わせた事故対策だといえる。
そのうえで内川主任は「品質事故の防止は、基本(マニュアル)に忠実に行動することです」と言い切った。そのことをCEでの仕事に関わるすべての人たちに徹底している。
× × ×
内川主任は全国JACE協議会が実施している上級オペレーターの資格を福島県で唯一取得している(今年県内で2名合格したが)という全国でもトップクラスの優秀なオペレーターだ。だが、内川主任をそこまで押し上げたのは、米どころのJAとして、品質の高い米を生産・販売するためにCEの役割をきちんと理解し、現場の人たちを大切にしてきたJAの経営者や組合員が会津にはたくさんいるということではないだろうか。
(写真)左からJA会津よつば米穀部検査施設課斎藤勝則課長、みどり地区本部地域農業振興課筒井秀課長、坂下営農経済センター営農課水野美佐さん、内川淳一主任、鈴木義之さん、湯浅幸貴さん、JA会津よつば 長谷川専務
・事故防止は「基本に忠実な行動」から (上) (下)
(CE事故防止月間2016の記事)
・乾燥能力に応じた計画的な荷受けとオペレーターの適正な人員配置で品質事故防止を
重要な記事
最新の記事
-
【欧米の農政転換と農民運動】環境重視と自由化の矛盾 イギリス農民の怒りの正体と運動の行方(2)駒澤大学名誉教授 溝手芳計氏2024年4月26日
-
【注意報】麦類に赤かび病 県内全域で多発のおそれ 佐賀県2024年4月26日
-
【注意報】麦類に赤かび病 県内で多発のおそれ 熊本県2024年4月26日
-
【注意報】核果類にナシヒメシンクイ 県内全域で多発のおそれ 埼玉県2024年4月26日
-
【注意報】ムギ類に赤かび病 県内全域で多発のおそれ 愛知県2024年4月26日
-
「沖縄県産パインアップルフェア」銀座の直営飲食店舗で開催 JA全農2024年4月26日
-
「みのりカフェ博多店」24日から「開業3周年記念フェア」開催 JA全農2024年4月26日
-
「菊池水田ごぼう」が収穫最盛期を迎える JA菊池2024年4月26日
-
「JAタウンのうた」MV公開 公式応援大使・根本凪が歌とダンスで産地を応援2024年4月26日
-
中堅職員が新事業を提案 全中教育部「ミライ共創プロジェクト」成果発表2024年4月26日
-
子実用トウモロコシ 生産引き上げ困難 坂本農相2024年4月26日
-
(381)20代6割、30代5割、40/50代4割【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年4月26日
-
【JA人事】JA北つくば(茨城県)新組合長に川津修氏(4月20日)2024年4月26日
-
野菜ソムリエが選んだ最高金賞「焼き芋」使用 イタリアンジェラートを期間限定で販売2024年4月26日
-
DJI新型農業用ドローンとアップグレード版「SmartFarmアプリ」世界で発売2024年4月26日
-
「もしもFES名古屋2024」名古屋・栄で開催 こくみん共済coop2024年4月26日
-
農水省『全国版畜産クラウド』とデータ連携 ファームノート2024年4月26日
-
土日が多い曜日まわり、歓送迎会需要増で売上堅調 外食産業市場動向調査3月度2024年4月26日
-
鳥インフル 英国からの生きた家きん、家きん肉等 一時輸入停止措置を解除 農水省2024年4月26日
-
淡路島産新たまねぎ使用「たまねぎバーガー」関西・四国で限定販売 モスバーガー2024年4月26日