米:CE品質事故防止強化月間
「乾燥能力に応じた計画的な荷受けとオペレーターの適正な人員配置により品質事故防止を」2018年9月11日
全国農協カントリーエレベーター協議会
御子柴会長(JA上伊那代表理事組合長)
全国農協カントリーエレベーター協議会は、カントリーエレベーター(以下、CE)を設置し、米麦の生産販売一貫体制の確立をはかっているJA等との連絡を密にし、施設の管理運営について協議を行い、その改善・向上をはかることを目的に、昭和49年に設立されました。
平成30年4月現在、会員JA数は260(39道府県)施設数は748となっています。会員の施設の総貯蔵能力は200万tを超えるなど、JAグループの米麦集出荷の拠点施設として重要な役割を果たしています。
現在、各施設においては、老朽化対策および稼働率向上のための集約・再編、オペレーターの育成など様々な課題に直面しています。こうした状況を踏まえ、本協議会は、平成30年以降の米政策において、生産現場の変化へ対応すべく、様々な品目が荷受け可能となる多目的施設への転換、それに伴うコンタミ対策等が必要となると考えています。国に対し、施設の集約・整備やコンタミ防止に向けた支援、施設の用途変更許可基準の緩和等を要請した結果、国は、必要な事業が実施できるよう、産地パワーアップ事業や強い農業づくり交付金等で予算確保をはかることとしています。農家組合員の営農の安定、担い手の育成支援、および地域農業のさらなる活性化に資するべく、会員JAや関係機関と連携しつつ、様々な課題解決に向けて取り組んでいく所存でございます。
こうしたなか、公益財団法人農業倉庫基金(以下、農倉基金)によると、CEの品質事故は直近3か年で11件発生しています(米9件、麦2件)。事故発生の主な原因としては、高水分籾の過剰荷受け、長時間のテンパリング、サイロ半乾貯留時又は貯留時における穀温管理不足などが指摘されています。
過剰荷受けへの対策としては、乾燥能力以上の荷受けを行わないよう、適切な荷受計画を作成し、農家組合員の理解と協力を得ながら、計画に沿った作業を行っていくことが必要となります。また、事故防止のためには、要員の各施設への適切な配置やオペレーターの計画的な育成も必要です。CEの運転には熟練した技術が求められるため、例えば経験の浅いオペレーター単独で運転を行うことなどがないよう、JAの経営者・管理者の責任において運営体制の強化を図ってください。
また、米の生産から販売の流通(フードチェーン)においてその中間に位置し、重要な役割を担うCEに対しては、従来にも増して5S(整理・整頓・清掃・清潔・習慣)の徹底を強く求められています。5Sの徹底は現場だけ、オペレーターだけでは実現できません。経営者の理解と推進のもと組織をあげて取り組んでください。
品質事故はいったん発生すると、経済的な損失はもとより、長年にわたって積み上げてきた農家組合員や取引先からの信頼失墜につながります。オペレーターの操作ミスに起因する事故であっても、最終的に経営者・管理者の責任が問われる事態となります。
本協議会は、全農および農倉基金とともに、CE稼動の最盛期における米の品質事故防止、5Sの徹底と火災・人身事故の防止をはかるため、8月1日から10月31日までを「米のカントリーエレベーター品質事故防止強化月間」に設定しました。
各施設におかれましては、運営体制の整備、施設・機械等の点検整備・環境整備を行うとともに、マニュアルや作業手順書等にもとづく適切な運転を行い、役職員が一丸となって品質事故防止と作業安全の確保を徹底していただくようお願いします。
(関連記事)
・【現地ルポ】3CEで品種構成を変えて荷受け 岱明地区CE JAたまな(熊本県)(18.09.07)
・自主マニュアルで全職員の意識を統一 JAみい 北野カントリーエレベーター(福岡県)(17.08.08)
・「乾燥能力に応じた計画的な荷受けとオペレーターの適正な人員配置により品質事故防止を」(17.08.08)
・事故防止は「基本に忠実な行動」から(上) 現地ルポ・JA会津よつば(16.08.10)
・米のカントリーエレベーター品質事故防止強化月間 品質事故を防ぎ生産者と信頼築く JAいしのまき(宮城県)(15.08.06)
・日本一の「岩船米」づくり支えるCE 運営・管理は「基本に忠実」 JAにいがた岩船(新潟県)(14.08.08)
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】普通期水稲に紋枯病 県内全域で多発のおそれ 長崎県2025年9月5日
-
「適正な価格」の重要性 消費者に訴える 山野全中会長2025年9月5日
-
米価暴落防ぐ対策を 小泉農相に小松JA秋田中央会会長2025年9月5日
-
(451)空白の10年を作らないために-団塊世代完全引退後の「技術継承」【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年9月5日
-
【統計】令和7年産一番茶の荒茶生産量 鹿児島県が初の全国一位 農水省調査2025年9月5日
-
【統計】大豆生産費(組織法人)10a当たり0.7%増 60kg当たり1.6%増 農水省調査2025年9月5日
-
【統計】大豆生産費(個別)10a当たり0.8%増 60kg当たり10.7%減 農水省調査2025年9月5日
-
【統計】冬キャベツ、冬にんじんの収穫量 前年比2割減 農水省調査2025年9月5日
-
長野県産ナガノパープルのスイーツ「いっちょう」「萬家」全店で提供 JA全農2025年9月5日
-
『畜産酪農サステナビリティアクション2025』発行 JA全農2025年9月5日
-
「国産シャインマスカット」全国のファミリーマートで販売 JA全農2025年9月5日
-
「わたSHIGA輝く国スポ2025」参加の広島県選手団へ清涼飲料水贈呈 JA共済連広島2025年9月5日
-
「いちはら梨」が当たるSNS投稿キャンペーン実施中 千葉県市原市2025年9月5日
-
猛暑対策に高性能遮熱材「Eeeサーモ」無料サンプルも受付 遮熱.com2025年9月5日
-
農機具王とアグリスイッチ 構造再編をチャンスに「週末農業プロジェクト」始動2025年9月5日
-
鳥インフル ハンガリーからの生きた家きん、家きん肉等の一時輸入停止措置を解除 農水省2025年9月5日
-
旬の巨峰を贅沢に「セブンプレミアム ワッフルコーン 巨峰ミルク」新発売2025年9月5日
-
見る日本料理の真髄「第42回日本料理全国大会」開催 日本全職業調理士協会2025年9月5日
-
海業推進イベント「IKEDAPORTMARCHÉ」小豆島・池田港で初開催 池田漁業協同組合2025年9月5日
-
ガラパゴス諸島の生物多様性保全と小規模農家の生計向上事業を開始 坂ノ途中2025年9月5日