米:農協協会 JAの米実態調査 22年産米
【農協協会 JAの米実態調査 22年産米・6】ドローン利用増予測89%2023年9月12日
(一社)農協協会が全国各地のJAの協力で実施している「JAの安心.安全な米づくりと防除対策について」の2023年度調査結果(2022年産米)がこのほどまとまった。その調査結果から今回は米の特別栽培への取り組みや防除対策などの実態をまとめた。
薬剤成分制限は6割 新技術 普及見込む
調査では各栽培技術の普及面積と5年後の推定面積を聞いた。
移植栽培の全国平均は2104haで5年後は2010haと4.5%減る。北海道は1879haで5年後は1866haと0.7%減る。
東日本は2950haで5年後は2804haと4.9%減る。西日本は1377haで5年後は1294haと6.0%減る。九州は1590haで5年後は1545haと2.8%減る。
一方、移植栽培でも疎植栽培は増える見込みだ。全国平均は350haで5年後には417haと19.1%増の見込みだ。5年後の増加率を地域別にみると北海道26.8%、東日本25.0%、西日本9.7%、九州18.3%と北海道、東日本で増加率が高い結果となった。
その他の栽培技術では湛水直は、乾田直はともに今後増える見込みが示されている。一方で直はを普及させる課題として「苗立ち、発芽がそろわない」(58%)、「雑草防除技術が確立されていない」(49%)、「新たに機械を導入しなければならない」(42%)などとなっている
また、密苗、密ぱも増える見込みだ。密苗は全国平均で75haだが、5年後には124haと65.3%増える見込みだ。密ぱは全国平均で45haだが5年後には90haと倍増する見込みとなった。
【図1】各栽培技術の普及面積
ドローンでの農薬散布 83%
現場では労働力不足に対応し省力化も課題だ。調査ではドローンの活用実態を聞いた。JA管内でドローンを使った農薬散布をしている農家がいるとの回答は全国平均で83%となった。昨年調査の80%からやや増えた。北海道では91%、九州では90%となっている。
ドローンの活用方法でもっとも多いのは「農薬散布」(回答率98%)でそのほか「生育状況の確認、施肥時期.収穫適期の予測」(同12%)、「病害虫発生のモニタリング」(同5%)などがある。
ドローンで農薬散布する農家がJA管内で増える見込みとの回答は全国平均で89%となった。
成分と回数制限も
使用農薬の制限や散布回数を制限した特別栽培への取り組みは「成分数を制限して取り組んでいる」61%、「散布回数を制限して取り組んでいる」1%、「成分数と散布回数の両方を制限して取り組んでいる」11%で成分数を制限した特別栽培の取り組みが6割を超えた。また、特別栽培米に「取り組んでいない」と回答したJAは28%だった。
【図2】使用農薬の成分数や散布回数を制限した特別栽培の取り組みの有無
特別栽培伸び悩み
殺虫剤、殺菌剤、除草剤の成分数を合わせた特別栽培の成分数は8.8、慣行栽培は17.3(いずれも全国平均)となった。成分数を制限した特別栽培の全水稲栽培面積に対する割合は全国平均で12.7%だった。
農薬の散布回数を制限した特別栽培の散布回数は5.5回、慣行栽培は9.5回となった(いずれも全国平均)。
散布回数について「現在の回数で十分防除できている」は28%、「年によって病気、害虫の発生頻度が異なるため規定の防除回数では十分防除できない年がある」が49%だった。また、散布回数を「これ以上、減らしたくはない」は87%を占めた。
特別栽培の22年産の取り組み面積は全国平均で1JA当たり313ha。3年後の予想は「増える」13%、「減る」15%、「現状と変わらない」69%だった。この調査結果からは特別栽培の取り組みは伸び悩んでいる実態がうかがえる。
【図3】特別栽培米の3年後の予想面積
「剤型」多いほどいい
除草剤について「同じ成分を含む剤型の多さ」に対する考え方を聞いたところ「剤型が多いほどいい」40%ともっとも多く、「三つ以上の製剤が必要」28%だった。また「二つ以上の製剤が必要」4%、「参考にする程度」22%だった。
現在使用している農薬の推定使用面積を集計すると、全国平均で初期除草剤1058ha、初中期一発剤2091ha、殺虫剤.殺菌剤(本田)1923ha、育苗箱処理剤2018haとなった。
初期除草剤を剤型別にみると、フロアブル剤35%、粒剤34%、ジャンボ剤15%などとなった。初中期一発剤は粒剤41%、ジャンボ(パック)剤26%、などとなった。地域による違いと3年後の見込みを示したのが図4、図5。3年後の剤型割合に大きな変化は見込まれていない。
【図4】初期剤の剤型の推定使用面積比率
【図5】初中期一発剤の剤型の推定使用面積比率
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