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【寄稿】酪農・チーズが創造する多様な地域共生(2) 蔵王酪農センター理事長・冨士重夫氏2022年3月3日

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酪農をめぐる厳しい環境の中、宮城県の蔵王酪農センターは、地域と共生しながら飼料作りから乳牛の育成、販売力の強化などに取り組んでいる。酪農が抱える課題の克服に地域とともにどう向き合ってきたのか。冨士重夫理事長に寄稿してもらった。

(4)乳牛の育成における地域共生事業

乳牛は成牛になるのに1年、妊娠して出産して乳が出るまで約280日、合計約2年近くかけて生乳生産が始まります。

酪農経営の規模拡大に伴い、牛舎、放牧採草地等の面積や労働力、コストなどの観点から、この後継牛を自家育成するという酪農経営の重要部門を、しない、できない都府県の酪農家が増大しています。

都府県におけるギガ・メガといった大規模酪農経営は、自家育成は全くしない。全てハラミの乳牛を北海道から1頭約100万円で買って来て、3年間で償却することを繰り返しています。家族経営の酪農家においても多くが育成部門をアウトソーシングして、北海道に預託しているのが現状です。

しかし北海道としても、いずれ受け入れる限度も出てくるので地域で後継牛を育成する体制、生産基盤を強化して行かなければなりません。

当センターでは、自らの酪農経営で毎年、生産されるホルス雌子牛20頭、和子牛30頭、F130頭をキャトルセンターで買い取った形にして哺育・育成しています。乳牛の育成牛は2年分の自家育成40頭と宮城県内の酪農家からJA、みやぎの酪農協から預託された育成牛80頭程度、合計120頭ほど飼養しています。

当センターのキャトルセンターは地域の酪農家の支えとなっていますが、牛舎等の施設は耐用年数も過ぎて老朽化しており、これ以上の預託牛の受け入れ拡大ができないのが現状です。県域を越えたブロック単位で乳牛の育成部門の生産基盤、体制を整備する必要があります。

(5)地域交流、新規就農者など人材育成における共生事業

搾乳牛90頭規模、自家育成牛40頭規模、ドイツ製の搾乳ロボット、餌寄せロボット、コンポストバーン、70haの牧草地での粗飼料生産による先進的な酪農経営の実証を行っているのが、今の当センターの現状です。

現在は白石市の酪農家の後継者を准職員として雇用して育成しています。また令和4(2022)年4月からは、宮城県農業振興公社が白石牧場で和牛繁殖農家の新規就農者を育成する事業に参画し、当センターの研修施設で年間宿泊してもらい、酪農生産から生み出される和牛子牛の実態、和子牛の哺育段階における育成などの研修を行う予定にしています。

また、70haの牧草地の一角にヤギや羊、子牛などと遊びながら楽しめる観光牧場ハートランドを展開し、2階建ての体験館という施設を保有し、そこを拠点に、酪農とは、どのような農業なのか、乳が生産される仕組みなどの座学と、ナチュラルチーズやバター製造体験、様々なチーズ料理の教室などを実施し、地域の小学生、中学生、JA女性部などの人々との交流を通じて食農教育を展開しています。今後も地域の様々な機関と連携し、交流し、引き続き人材育成の拠点となっていきたいと思います。

(6)地域の農家・企業と連携した販売力強化の共生事業

蔵王町に10haの牧草地でトウモロコシとライ麦を作り酪農の経営と併せて、手作りヨーグルトを製造販売する村上牧場=(株)ゼルコバドリームがあります。牧場は乳牛の快適性を追求した飼養管理(カウコンフォート)を基本に清潔な環境を乳牛に与え、品質の良いおいしい手作りヨーグルトを製造販売しています。

このヨーグルトを当センターの直売所で販売すると共に、村上牧場の生乳を当センターのチーズ工場に持ち込み、施設機械を使って自らゴーダーチーズを作り、村上牧場で売るという形で、当センターのチーズ製造施設、技術の貸し出しのような共生事業を展開しています。

また、蔵王町は高原ダイコンの産地でもあり、毎年秋11月には大根祭りと、当センターのチーズフェアーと合同で開催し、地域の人々に親しまれています。さらに蔵王町は宮城県内でも梅、桃、梨、リンゴ、柿など多様な果樹産地でもあり、当センター敷地内に地元のエコファーマーグループが生産した野菜や果実を直売する「爽清市場」を4月から11月に開催し、販売事業の連携による共生を展開しています。

また、当センターでは、地元企業との新商品開発による販売事業の連携を展開しています。レトルトカレーなどを製造する企業とはインドチーズである「パニールチーズ」を日本国内で唯一生産し、特色あるカレーを開発して販売しています。和菓子企業とは、当センターのマスカルポーネ、クリームチーズを使った「チーズ大福」を開発し販売しています。亘理町、山元町は仙台イチゴの産地であり、このイチゴと当センターのバターをコラボした「イチゴバター」を開発し、かまぼこの企業とは当センターのクリームチーズを使った、おつまみかまぼこ「チーズボール」を開発し販売しています。地元洋菓子企業やコンビニなどとも当センターのナチュラルチーズを使った様々な商品開発を行い、販売力強化に取り組んでいます。

こうした蔵王酪農センターの地域共生事業は、酪農・国産ナチュラルチーズが抱える課題の克服と共に、地域に存在する様々な人々、企業が抱える課題と向き合い、互いに連携し、前へ進むことが、共生事業につながるということを示していると思います。

今後も地域の人々と語り合い、共有し、連携し、共生の道を進んでまいりたいと思います。

【寄稿】酪農・チーズが創造する多様な地域共生(1)

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