協同組合の理念を共有 JC総研が職員セミナー2015年1月7日
一般社団法人・JC総研は、同じ理念を持つJAや生協、漁協(JF)、森林組合などの協同組合組織と、子会社などの協同会社の職員が交流するなかで、問題意識を共有しようという交流セミナーを毎年開いている。昨年12月、千葉市幕張で開いた2014年度のセミナーでは「協同組合は地域に貢献することができるのか」のテーマで意見交換した。
◆農協、漁協、生協が実践報告
セミナーは、JA、JF、生協の実践報告や基調講演をもとに、少人数のグループに分かれ、ポストイット(付箋)にそれぞれの問題意識を書き出し、課題や問題点をあぶり出していく方法(KJ法、SWOT分析)で行う。そのうえで、取り組むべき提案をまとめる。
JAの実践報告は、愛媛県JAおちいまばりの経営理念「あったか?い、心のおつきあい。」をめざして。特に同JAは「さいさいきて屋」の農産物直売所、地域農業振興のためのJA出資法人の設立、歯科診療所および訪問診療など、特徴ある取り組みを紹介した。
「さいさいきて屋」は、直売のほか、農産物加工施設や乾燥・パウダー工房を備え、食堂や喫茶店も運営。さらに新技術・新品種の実相農園、貸農園・学童農園などを持ち、地域の農業や食育活動の拠点としての機能を果たしている。
このほかJA出資法人や農作業支援グループ(心耕隊)などを組織し、農家の農作業を受託・支援している。こうした取り組みによって、「農家の所得を上げることが、農家のJAに対する信頼につながり、利用率を高めることができる」と言う。
◆協同組合の宣伝・広報が重要
また、生協からは生活クラブ生協東京が「組合員が動く!社会を変える」で報告した。このなかで生産者とのつながりづくりに触れ、「かつては、いいものを作っている生産者を見付けて提携していたが、いまは、課題があっても理念を共有し、きちんと情報公開してくれる生産者と提携する」と指摘した。
さらに、行き過ぎた“個人化”「無縁社会」の今日、防災を意識した助け合える関係づくりが必要として、「20?40人の近隣の小さな単位でリーダーを選出し、組合員をつないでいこう」と、コミュニティづくりの必要性を呼び掛けた。
コミュニティとの関わりでは、基調講演で杉本貴志・関西大学教授もこれを強調。総合農協を多目的協同組合として評価したICA(国際協同組合同盟)のレイドロー報告や、協同組合の第7原則の「コミュニティへの関与」を取り上げ、「生産者も消費者も協同組合職員も一緒になって『食』と『職』のコミュニティの復興・再生を考える協同組合をつくりあげることが、今世紀の課題」と述べた。
これら報告と講演をもとにしたグループ討議では、組織や地域の問題・課題をそれぞれ書き出し、組合員と職員のつながり強化では、「職員と組合員間のインターンシップの導入」、人材育成では「営農・販売、信用・共済の事業間連携」、地域とのつながりでは「地元企業との連携による食育教育、新人研修」などの提案があった。
さらに協同組合運動と事業の連動性では、「使命と経済性のトレードオフ」、販売面では「価格でなく、中身・品質を消費者に分かってもらう取り組み」、担い手では「高齢者に担い手育成をしてもらう仕組みづくり」などの提案もあった。地域とのつながりでは、協同組合の宣伝・広報の重要性を指摘する報告が多かった。
(写真)
協同組合の職員同士が意見を交えるJC総研の交流セミナー
(関連記事)
・土屋 博 氏(一般社団法人JC総研 代表理事理事長)(2015.01.01)
・野菜「週1回以下」が1割以上 JC総研が調査(2014.12.01)
・食育ソムリエ養成講座 第20期生を募集中(2014.11.17)
・労働法務の相談減る JC総研26年度上半期(2014.10.29)
・米の購入、「ネット・通販」が大幅増(2014.06.30)
重要な記事
最新の記事
-
【現地レポート・JAの水田農業戦略】新たな輪作で活路(2)子実コーンの「先駆者」 JA古川2024年3月29日
-
農業者所得増加へデジタルビジネス加速 農林中金 中期ビジョンを策定2024年3月29日
-
「子ども世代に農業勧めたい」生産者の2割 所得向上が課題 農林中金調査2024年3月29日
-
東京・大阪で組合長らが 「夢大地かもと」スイカをPR JA鹿本2024年3月29日
-
全国から1,000名を超える農業の担い手が集う 「第26回全国農業担い手サミットinさが」開催 佐賀県2024年3月29日
-
家族みんなで夏の農業体験はじめよう 食農体験イベント「土袋でデコきゅうり」開催 JA兵庫六甲2024年3月29日
-
(377)食中毒1万人は多いか?【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年3月29日
-
【浅野純次・読書の楽しみ】第96回2024年3月29日
-
【人事異動】全国農業会議所(4月1日付)2024年3月29日
-
品種で異なるメロンの味わいを体験 自由が丘「一果房」で29日から 青木商店2024年3月29日
-
第160回勉強会「レジリエントな植物工場運営・発展に向けて~災害からの復旧・復興事例から学ぶ」開催 植物工場研究会2024年3月29日
-
創立55周年記念 ガーデニング用 殺虫・殺菌スプレーなど発売 住友化学園芸2024年3月29日
-
「核兵器禁止条約」参加求める26万の署名 藤沢市議会が意見を採択 パルシステム神奈川2024年3月29日
-
尾鷲伝統の味「尾鷲甘夏」出荷開始 JA伊勢2024年3月29日
-
令和6年能登半島地震 被災地農家を応援 JA全農石川へ寄付 KOMPEITO2024年3月29日
-
林木育種センター九州育種場 九州育種基本区の「スギエリートツリー特性表」公表 森林総研2024年3月29日
-
農業フランチャイズのクールコネクト シードラウンドで3200万円を調達2024年3月29日
-
鳥インフル 米メイン州からの家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年3月29日
-
畜産施設の糞尿処理で悪臭対策 良質な堆肥化を促進 微生物製剤を開発 B・Jコーポレーション2024年3月29日
-
水田のスマート水管理で東大大学院農学生命科学研究科と共同研究開始 ほくつう2024年3月29日