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2016.12.21 
次世代担う人材育成を JAひとづくり研究会一覧へ

重要な非常勤理事の役割
農業と地域の総合リーダーに

 全国のJAや連合会の常勤役員で構成するJAひとづくり研究会(代表=今村奈良臣東京大学名誉教授)は、12月13日、東京都千代田区のコープビルで開いた第27回の研究会で、「JA改革のため、次世代を担う人材育成をいかに進めるかー地域リーダーづくりを中心にー」をテーマにJAの経験・実践報告、それをもとに意見交換した。特に今日、農業、JA、そして地域は相互に密接な関係があり、またJAの自己改革を進めるなかで、総合的な地域コーディネーターとして、リーダーシップを発揮できる人材が求められているとの認識を強めた。

地域のリーダー育成で活発な意見が出た研究会 冒頭のあいさつで今村代表は、これまで地方で自らが立ち上げた「農民塾」や「村づくり塾」の取り組みを紹介し、「この人づくり研究会は、主として役員を対象とした農協塾といってもよい。役員に頑張ってもらい、次世代の若手を育てていくことが大事だ」と、人づくり研究会の意義と役割を強調した。
 また持論の6次産業界について、「1次産業×2次産業×3次産業=6次産業」について、最近の政府の農業・農協改革はこれを逆にして「3次×2次×1次」になっているのではないかと批判。「全農改革も商社のようにやれと言い、できなければ商社を新設しろと言う。TPPのもとでの輸出は、これまでの農政ではだめだと考えたのだろうが、『3×2×1』は農民や市民のためになるのか、今一度考える必要がある」と指摘した。
 その上で「農業を基本としながら各産業と連携し、どれだけ展開して行けるかがポイント。高齢化で担い手が少なくなる中でこれをやっていかないといけない。この鍵を握るのがJAだ」と、農業や地域におけるJAの役割、およびそれを担う地域リーダーづくりの重要性を強調した。
 その地域リーダーづくりについて、同研究会副代表で、群馬県JA甘楽富岡の元理事の黒澤賢治氏は、JAの非常勤理事の役割の重要性を挙げる。地域リーダーの基本は、「地域選出の非常勤理事が地域の意向に沿って事業運営をすることだ」と指摘。JA改革の論議のとき非常勤理事がお客さんのような顔で出席しているのをみて、これは農協ではないと感じたという。JA甘楽富岡では非常勤理事を「一人一役制」にして役割を明確にし、JA運営への参加意識を持たせた。
 地域のリーダーとして、JAの営農指導員の役割も大きい。営農支援センターを核に営農指導だけでなく、支所を中心としたさまざまな地域の協同活動が求められており、営農指導員は営農だけでなく、「地域の多目的リーダーとして位置づける必要がある」という。そのためには、営農指導事業を一元的に統合し、指導・販売・購買・利用・加工・直販・地域営農センター等を人事異動で循環させながら、人材を育成するシステムの構築を急ぐ必要があると指摘した。
 JAの取り組み報告では、岩手県JAいわて花巻の高橋勉・副組合長が、「地域ぐるみ農業」展開の必要性を指摘。そのためのリーダーを育てる農家組合活動強化の取り組みについて報告した。その中でも平成20年の広域合併の際に60%の減資があったことを踏まえ、組合員の意識統一のために、支店ごとの座談会や総代研修会を実施する中で、農家組合再編と農家組合長を育成するため研修会やその充実に取り組んできた。
 その結果、全368農家組合で集落営農ビジョンが策定されるとともに、生産法人による米乾燥貯蔵施設が4つ自主運営され、米200万袋集荷を実現した。
 また、来年度からは現在2人の女性理事を4人に増やすとともに、27支店の内10支店は女性支店長を登用して、女性が活躍する中で、これまでの経験を踏まえた「農協改革への取り組み組を進めていきたい」と語った。
 仲野隆三・千葉県JA富里市元常務はJAの人材育成について、農協後継者(次世代組合員)、協同運動や事業を推し進めるリーダー、組合員の営農・生活を支える専門職員の養成の3つを挙げる。
 その上で人材育成のプロセスを5段階に分ける。販売専門農協とシェア争いしていたJA富里市での経験から、第1ステップは「若者ととことん話す」。集落公民館などで夜間塾を開き、農業者が納得するまで説明し、その中からリーダー的な資質を持つ若者を育てた。第2ステップは「次世代組合員の養成」。第1ステップで得た後継者の信頼のもとに18~35歳の約450人の主業農家を対象に、農業技術を学びながら仲間づくりの受け皿をつくった。 
 そして第3ステップが「青壮年部の受け皿となる生産部会と教範体制の強化」、第4ステップが「青年部OBによる農業指導者への道」。そして仕上げの第5ステップが「プロ農業者が役員になる日」だ。「平成27年、50歳代の主業農家組合員11人が39農家組合から選出され、その多くが農業後継者や青年部員で、43年の時間軸を経て、役員までのぼりつめてきた。多くの仲間の思いをJA事業に反映させている」と仲野氏は振り返る。

◆    ◇

 意見交換では、農業や農村におけるリーダーとしての人材枯渇を危惧する声があった。「若い職員は非農家出身が多く、組合員のためではなく『クライアントのために仕事をしています』と平気で言う。どう教えたらいいのか」、「農事組合長でさえ、農業に関心が薄い人が選ばれる。支所に営農指導員を張り付けて巡回しているが、職員のパーソナルコミュニケーションがうまくできない」、「会議で伝えても内容を理解できない職員がいる。会議文化の見直しが必要」などの悩みが聞かれた。
 また、政府の農協改革について、「(規制改革推進会議の提言のような)ビーンボールでなく、これからは直球がくるだろう。JAも様々な面で仕組みを変えなければならない。それを評価するのは、政府でなく組合員と地域の人だ。組合員と地域のリーダーを育てることが喫緊の課題だ」などの発言があった。

(写真)地域のリーダー育成で活発な意見が出た研究会

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