自己改革加速化を-JA営農・経済フォーラム2017年8月24日
JA全中は8月24日、横浜市内でJA自己改革を加速させるためJAの営農・経済担当常勤役員と幹部職員を対象にした第3回JA営農経済フォーラム(東日本地区)を開いた。改革を実践し、組合員から「なくてはならない組織」として評価されるための販売・購買事業を中心にした改革実践について、識者の講演や実践報告、分科会で議論した。
(写真)基調講演を行う日本大学商学部の川野克典教授。JA営農・経済フォーラム(横浜市内)
JA営農・経済フォーラムは自己改革の最大の目的である「農業者の所得増大」、「農業生産の拡大」の実現に向けた取り組みを加速させるための研修会で一昨年から始まった。
JA全中の肱岡弘典常務はあいさつで「農協改革の集中推進期間は31年の5月まで。残り2年を切っている。徹底した自己改革でJAはなくてはならない存在だと組合員から評価されることが重要。組合員のニーズや願いを実現することはそもそも協同組合としての目的。危機感をもって実践を」と強調した。
とくに指摘したのは農水省が実施した自己改革に関するアンケート結果。担い手への調査では3割しかJAの改革取り組みを認識していないという結果だった。
肱岡常務は「JAと大きなかい離があるのはコミュニケーション不足で担い手に伝わっていないから。これまで以上に説明責任を果たし組合員と一体となり、スピード感をもって取り組むことが求められている」と呼びかけた。
JA全中のJA支援部は情勢と取り組み課題を報告。これまでのJA自己改革の成果について、「優良事例はみられるものの組合員を巻き込んだ具体的な行動につながっていない」として、今後の現場での取り組みとして「組合員との徹底した話し合い、取り組み成果の共有」によって組合員の評価を得ることを最重点にすべきだとした。
そのうえで具体策として、販売事業の徹底した強化とリスク管理の強化、生産部会の活性化など組合員参画・事業間連携の強化などを挙げた。
基調講演は日本大学商学部の川野克典教授による「JA自己改革の戦略的展開について」。
川野教授は「創造的自己改革」について「天地創造に近いぐらい、すべてをゼロから新しいJA、農業を創るという決意を意味するもの」と述べ、組合員のニーズに応えることは重要だが、「期待を超える成果を出さなければ評価はされない」と指摘した。
そのためのJA部門間の壁を取り払う組織改革と、失敗を恐れず挑戦する文化を創ることや、ICTの積極的な活用によるデータに基づく農業生産と販売の実践、直売所事業の高度化などを提唱し、スピード感とアピール力のある自己改革の実践を求めた。
実践報告はJA加美よつば、JAなすの、JA埼玉中央の3JAが行い、新潟大学農学部の清野誠喜教授が「販売事業の事例をふまえた営農・経済事業改革のヒント」をテーマに講演した。25日は分科会でJAの取り組み発表とグループワークを行う。
なお、中日本地区は9月4日に大阪市で、西日本地区は9月13日に福岡市で開く。
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