事業総利益の伸び、再びマイナス-JA経営2017年11月20日
JA全中は平成28年度総合JAの決算概況を集計し、11月9日結果を発表した。事業総利益は依然として、対前年度比で減少が続いており、信用事業も3年連続の減少となった。事業利益、経常利益ともに減少しており、高齢化や人口の減少、金融環境の悪化を反映して、JAの厳しい経営状態を示している。ただ、販売事業はJAの努力もあり、2年続いて前年度を上回った。
事業取扱高は、貯金が前年度比で2.6%増だが、貸出金2.6%減、長期共済保有高も2.4%減り、減少傾向が続いている。貯金は46県域、556JAでそれぞれ増えた。貸出金は、住宅ローンが日本銀行のマイナス金利政策を背景として比較的堅調だが、地方公共団体等への貸出金の減少傾向がそれを上回ったため、28年度は40県域、514JAでそれぞれ減少。長期共済保有高は満期到来による消滅、契約転換などによる減少傾向が続き、46県域、609JAで減少となった。
購買事業は、複合肥料の原料の値下げや円高による配合飼料価格の低下等から、購買品供給・取扱高が45県域、495JAで減少となった。また販売事業は、青果・畜産市況の好調を受けて、販売・取扱高は40県域461JAで増えた。米は前年度と比較して価格が上昇し、販売・取扱高の全国実績は増加した。
事業総利益は平成15年度決算から26年度まで12年連続で減少し、27年度は前年比プラスに転じたが、28年度は再び1.9%の減少となった。事業別では信用事業が2.6%、共済事業が0.4%、購買事業4.5%それぞれ減少したが、販売事業は3.5%の増加となった。
共済事業総利益は、過去10年以上にわたって減益傾向にあり、27年度は増益に減じたが、28年度は再度減益に転じた。これは共済付加収入が増え、共済保全費が減ったものの、共済推進費の増加がそれを上回ったため。
一方、事業管理費は1.3%の減少で、うち人件費が1.5%減った。事業総利益の減少幅が事業管理費の減少幅を上回ったため、事業利益は6.8%減の1859億円だった。県域、JA別の事業利益は、21県域で前年比増加となり、黒字を計上したのは650JA(うち284JAで前年比増、366JAで前年比減)、赤字を計上したのは6JAだった。19県域、642JAで当期剰余金を計上し、うち280JAが前年比増、362JAが前年度比減だった。なお14JAで当期損失を計上した。
(表)平成28年度総合JAの組合員数
なお、この集計では、正組合員が1.5%減って436万5004人、准組合員が2.5%増えて608万4262人。組合員総数は差し引き8万1716人増えて1044万9266人だった。役員数は2.6%減の1万7479人で、正職員数は0.7%減の19万2484人となった。JA財務モニタリングで報告のあった全国の656総合JAのデータを用いた。
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