「米×コメ複合」さらに推進を-JAグループの令和2年産対策2020年1月28日
JAグループは1月のJA全中理事会で「令和2年産水田農業対策にかかるJAグループの取り組み方針」を決めた。主食用米の需給を安定させ、水田をフル活用していくため主食用米以外の生産をさらに推進していくことが重要としている。
令和元年産の主食用米の生産量は作況指数99で726万tとなった。JA全中は、かりに作況指数が100だったとすれば生産量は733万tとなり、国が示した生産量見通し(718万t~726万t)を7万t~15万t程度超過したと試算し、作柄次第では生産過剰となっていたと指摘している。
今後の需要見通しは1人あたりの米消費量の減少に人口減少も影響して毎年10万t減るとみられている。このため令和3年6月末の民間在庫量を適正水準の180万t~188万tとするには、令和2年産の生産量は708万t~717万tとする必要がある。令和元年産生産量の726万tより、9万t~18万t減らすことが求められている。
しかし、令和2年産の生産量目安を設定した44道府県を合計すると、全中の試算では削減幅は5.1万t~6.4万t程度にとどまっており、削減目標が未達の可能性がある。このままでは生産過剰で需給が緩和し米価が下落、所得減少につながりかねない。
こうした状況のなかJAグループは取り組み基本方針として、適正在庫に向けて米の需給を安定させるとともに、食料安全保障の確立に向けて小麦や大豆の生産振興や、飼料用米などの生産拡大が必要だとしている。
そのために水田活用の直接支払交付金など支援策を最大限活用していく。
令和2年度予算案では、麦・大豆を作付拡大するために、これまでの都道府県単位ではなく、新たに地域農業再生協議会を単位として地域の取り組みを支援する(10aあたり1.5万円)。
また、飼料用米・米粉用米については、より安定的な生産と供給を行うため、これまでの多収品種加算を見直して、複数年契約加算を創設する(10aあたり1.2万円)。
水田の汎用化し野菜や果樹などの栽培を推進する水田農業高収益化推進助成も新設する。高収益作物には10aあたり2万円を5年間、子実用トウモロコシには10aあたり10万円を助成する。輸出用米・加工用米等をより作付拡大するための高収益作物等拡大加算(10aあたり3万円)は、拡大計画に基づき年度当初(4月)に配分される。こうした支援策を活用し水田フル活用をより推進することが課題となっている。
◆生産基盤の強化を
水田農業の生産基盤の強化を図るために、地域で人と農地をどう考えるかが課題であり、農水省は「人・農地プラン」について今後2年程度で全国の8割の集落で「実質化」することを推進する。将来見込みに関するアンケートを実施するなどで、地域で中心となる経営体への農地集約化に関する方針を作成することが求められるが、地域実態を把握しているJAがコーディネート機能を発揮していくことが水田農業対策としても必要になっている。
また、中小・家族経営の安定を図るため、農地維持支払いなど日本型直接支払制度や、米や畑作物などへのゲタ・ナラシ対策も活用して集落営農の組織化や法人化を進めることも基本方針に掲げている。
さらに今後の水田農業経営を考えるうえで、水田活用の直接支払交付金などを活用して10aあたりの所得に着目することが必要になっていることを強調している。1俵あたりの価格に注目しがちだが、米価は需給に左右され所得も左右されることから、主食用だけの生産ではなく飼料用米をはじめとした非主食用米の生産を組み合わせていく「米×コメ複合」による経営を進めていくことが必要だとしている。
そのほか、国産米の需要拡大に向けた米の機能性についての情報発信などの取り組み強化にも取り組むことにしている。
令和2年産水田農業対策にかかるJAグループの取り組み方針(クリックで拡大)
(関連記事)
・食料安保の確立へ具体策を-JAグループがフォーラム(19.11.20)
・【クローズアップ・水田農業政策】飼料米・麦・大豆へ 確実な作付け転換を(19.11.13)
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