リーダー育てる「組合員大学」 10年、20年先を見据えて JA全中2022年2月14日
組合員を対象にした「組合員大学」を開講するJAが増えている。農業やJA、地域の次世代リーダーの育成を目的とするもので、協同組合の主人公である組合員の協同の意識を高め、「アクティブメンバーシップ」の強化によるJAの組織基盤の強化をめざす。JA全中は2月9、10日、組合員大学を開講している全国のJAを対象にオンラインで研究会を開き、それぞれの経験を交換するとともに、意義や運営方法などを検討した。
組合員のリーダーを育成する組合員大学(JA松本ハイランドの「協同活動みらい塾」)
組合員大学の対象者は組合員が中心だが、その目的によって、集落営農の構成員や年齢を絞ったり、職員も含めたりするなど、さまざまなやり方がある。モデル的事例として、研究会で報告のあった福岡県のJA柳川、滋賀県のJAこうか、長野県のJA松本ハイランドの3JAの取り組みから、組合員大学の意義と運営方法なその特徴をみる。
自前・自学の人材育成
経営体であるとともに運動体でもあるJAには、多様な組合員を統率し先導するリーダーが不可欠だ。しかし、基礎組織である生産者の部会や集落組織などが年々弱体化しており、組織継続のための次世代のリーダー育成は喫緊の課題になっている。日本協同組合連携機(JCA)の西井賢悟主任研究員は、組織を担う組合員リーダーの育成について、「組合員のリーダーを育てるには〝自前〟で、長期的・継続的な〝自学〟が必要」という。
求められるリーダーの性格もさまざまで、地域の農業やJAの置かれた環境に合わせて〝自前〟で育てるしかない。そうした〝自学〟のスイッチを入れるのが組合員大学だというだけだ。
あるべきJA描いて
JA柳川の組合員大学は、開講の前段に「JA柳川マネジメント研究会」がある。経営幹部職員養成講座や女性ビジネスカレッジの修了者などで構成し、将来のJA経営管理全般について検討し、組合長に答申する研究会で、JAの将来あるべき姿を探る。そのなかで正組合員は「JAの必要性を感じる若い正組合員が増え,JAとともに成長し、深く結びついている」状態を想定し、これを組合員大学のめざす方向とした。
同JA新谷一廣組合長は「参加した受講生の目は輝いていた。もっと早く始めるべきだったと感じた。一方で受講生の関心は多様化している。内容の幅を広げるとともに、基本をしっかり据えて取り組まなければならないと思った。10年、20年先を見据え、継続したい」と決意を述べた。
集落営農従事者に限定
JAこうかの組合員大学「忍(しのび)★あすてる」(〝忍〟はJAブランド野菜の愛称)も、JAリーダー育成プロジェクトから生まれた。組合員のJAへの親近感や帰属意識の低下、支所の減少でJAに集まる機会の減少、協同組合への理解や認識の不足という危機感が背景にある。
「農業経営への知識・情報・技能・創造力の向上などの自己研鑽」という目的に沿って、組合員大学の受講者は集落営農法人の構成員に限定した。従って対象はJA管内に農地または施設を持ち、将来の農業を担う意欲のある40~50歳代とした。実践や現地視察を重視し、受講料(1万円)を徴収する。
同JA組織広報課・山城昭樹課長は「同じ地域の農業者が仲間としてベクトルを一つにして一緒に歩みができたことが最大の成果」と言う。2020年度から卒塾者による「協同組合塾プラス」(忍★あすてるネクスト)がスタート。将来「地域営農組織次世代部会」の設立も視野に入れている。
地域活動の先導者育てる
JA松本ハイランドの組合員大学「協同活動みらい塾」は、その充実した内容から、全国のモデル的な存在になっている。塾の目的は「地域をけん引する人材を育てる」ことにあり、対象は40歳以上。内容は一方通行の講座形式でなく、協同組合論、地域の農業、地域づくり、6次産業など、幅広いテーマに沿った事例紹介を基に、塾生同士が話し合いながら結論を探し出すケーススタディのワークショップを重視する。
卒塾後のフォローも徹底している。特に地域を越えた仲間づくりのため、卒塾時にOB会を立ち上げ、地域を越えた仲間づくりを促す。このため卒塾期を超えた合同講座や卒塾生が塾の講師を務めるなど、卒塾生の一体感を育てる。2014(平成16)年から始まった「みらい塾」の卒塾者からJA理事やJA青年部正副部長、生産部会正副部会長、支所農家組合長会長など、JAの協同活動を支える人材が多く出ている。
同JA組合員文化広報課の臼井真智子課長は「塾の同期生による横のつながりと、同じ地区の縦のつながりによって、みらい塾でできた一本の道、仲間とのつながりはずっと続いていく」と、組合員大学の意義を強調する。
なお、JA組合員大学の実践事例についての情報は家の光のウェブサイト「教育文化活動JA実践事例データーベース」のなかで公開している。
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