JAの組織基盤強化 「組合員を知る」ことから 全中が研修会2022年3月28日
JAグループは第29回JA全国大会決議で「組合員の拡大とアクティブメンバーシップの確立」を掲げている。その実践に向けて、JA全中は都道府県中央会の担当者を対象に、JAとの関係強化をすべき組合員層をどう選び、どのような働きかけをしていくべきかを検討する研修会を開いた。
3月23日にオンラインで開いた研修会では、組織基盤強化を進めるうえで有効なツールと位置づけている「組合員のメンバーシップに関するアンケート」(MSアンケート)の活用がテーマ。
このアンケートは正組合員、准組合員のさまざまな類型について、JAの事業利用や、組合員組織への参加度合いなどを点数で集計し、「組合員類型を見える化」するもので組合員のニーズを把握するためのツールともなる。
組合員の類型については、たとえば准組合員でも農家出身か、非農家かなどの類型化する。それをふまえたJAの事業利用の違いなどを抽出することで、組合員類型ごとにJAとして講ずべき施策を検討しようというのが狙いだ。
このアンケートはすでに100以上のJAで実施され、研修会では具体的な調査結果をもとに活用法を考えた。
JCAの西井賢悟主任研究員が九州のあるJAが実施したアンケート結果をもとに活用法を検討した。
アンケートをもとに点数化するとJAに対する意識や、事業利用や活動参加などの点数から、たとえば「准組合員よりも点数の低い正組合員類型」というものが浮かび上がる。具体的な分析から、それは「多様な担い手」ではあるものの「農産物の販売はない」という層だった。正組合員ではあるものの、農業生産の面からすればJAの生産資材の利用の農産物の出荷もないという低利用の組合員となる。
ただし、詳細に分析するとこの層は7割がJA広報誌を読み、4割以上が週に複数回、Aコープを利用していることが分かった。また、年金友の会には4割、女性部には1割が加入しているという実態もあった。
こうした分析から、この「多様な担い手・農産物販売なし」層をJA組織基盤の強化の「ターゲット層」だとした場合、どんな施策をJAとして打ち出すべきか、と考えるのがこのアンケートの活用法だ。
たとえば、高齢者のいきがい作りの場として、シルバー向けの家庭菜園講座を企画する。Aコープの利用率から支店単位で開催することにし、この層がよく読んでいる広報誌で告知する。また、加入者の多い年金友の会でも参加を呼びかける。
こうした特定少数型活動の立ち上げを通じて、さらに目的別グループづくりに発展させるなどへと視野を広げていくことなどの考え方を西井主任研究員が話した。
組織基盤強化の取り組みはJAの事業利用にすぐに反映されるものではないが、組合員の声を聞いて自己改革を進めるうえでは組合員が参画する仕組みづくりは必要だ。
その意味で将来を考えて、次世代層をターゲットにした取り組みも必要だ。
研修では、アンケート結果から若い准組合員の類型を浮かび上がらせ、それに対する施策も議論された。この層は住宅資金の借り入れなどで他の金融機関として比較してJAを選んだ。その意味で信用・共済を中心としたJAの事業には関心が高いが、JAの活動には関心が低い。しかし、アンケートの結果、この層は子育て層で子どもたちに農業体験をさせたいという要望が強いことも分かった。JAとしてはそれを起点に農業体験講座を企画することも考えられる。
一方、これまで実施されたアンケート分析で示されたことにひとつに、「担い手経営体」が中核的担い手や多様な担い手にくらべて、事業利用意識が低いがある。JAによってもちろん差はあると思われるが、しばしば指摘される「経営体が育つとJAから離れる」(JA全中)ことを示す結果でもあり、こうした実態を把握するためにもMSアンケートは重要になりそうだ。
研修ではMSアンケート結果から、組合員参加のための組織づくりや、そのための効率的な情報発信方法などが議論されたが、西井主任研究員は「メンバーシップを強化するために具体策に正解はない。アンケートからどれだけ組合員の情報をつかむかが大事」と話した。
JA全中は今年8月に2年ぶりとなるJA組織基盤強化フォーラムを東西2地区で開催する。
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