秋肥の必要量は確保も厳しい価格に 円安にも懸念 ウクライナ情勢めぐり全農2022年3月31日
JA全農は3月30日、臨時総代会後の記者会見で、ロシアのウクライナへの侵攻による事業への影響や対応について説明した。この中で、懸念されている秋の肥料原料の調達について、調達先の多元化などにより必要量は確保できるものの、「価格が下がるとの見通しが立てづらく、非常に厳しいものになる」との見通しを示した。また、円安基調が進んでいることについて、「本会の事業は輸出より圧倒的に輸入が多く、経営的には厳しい要因とみている」と懸念を示した。野口栄理事長は、生産資材などの高騰で生産者が不安を抱える中、積立金の取り崩しや政府の諸制度の周知などを通して農家を支援したいとの考えを示した。
ウクライナ情勢への対応について説明したJA全農の会見
JA全農の野口理事長は会見の中で、ウクライナ情勢の肥料事業や飼料事業などへの影響と対応について説明した。肥料事業については、ロシアとベラルーシで世界の塩化加里の輸出量の40%を占め、日本も17%がを両国から輸入しているが、主要取引先のカナダからの増量や中東など別ソースの確保に取り組んでいると述べた。また、リン安や尿素なども含めて原料調達先の多元化などで安定供給に努めるとともに生産現場での肥料コスト抑制などにも取り組んでいくと述べた。
飼料事業については、トウモロコシ価格などの定期先物相場や海上運賃など原料調達コストが上昇しており、ロシアやウクライナからの輸入はないものの、国際先物相場の影響を抑えるため、生産コストの抑制を進めるとともに、ブラジルなど協同組合間貿易などを活用して対応していると説明した。
エネルギー事業については、日本のロシアからの原油輸入は少なく、影響は限定的としつつも、沿岸基地やJA石油中継基地の在庫を高水準に保ち、安定供給体制を構築する姿勢を示した。さらに原油高騰時に農家が使用する施設園芸重油の負担を軽減する農水省の「施設園芸セーフティネット構築事業」への参加も促していきたいと述べた。
会見では、懸念される秋の肥料原料の調達や価格の見通しを問われたのに対し、安田忠孝専務が「世界的に食料増産が求められている中、肥料の国際的な需要が逼迫しているが、さらにウクライナ情勢が加わって厳しくなった。秋の肥料は調達先の多元化や従来の取引先との関係強化でほぼ必要な量が調達できているが、現状で価格が下がるとは見通せず、非常に厳しいものになると考えられる」と述べ、価格が高水準で推移する可能性に言及した。
また、為替相場で円安基調となってきていることについて、安田専務は「円安基調が進むかどうかの確固たる見通しは持っていないが、本会の事業は輸出入の比率でいうと圧倒的に輸入が多いことを考えると円安は経営的にはどちらかというと厳しい要因とみている」と懸念を示した。
生産資材の高騰で農家が不安が抱えていることについて、野口理事長は「積立金の取り崩しや政府の諸制度も含めて対策を周知して対応したい。また、肥料や配合飼料、燃料について独自に生産者対策を実施しており、今年の課題も踏まえて地域や品目に応じて来年度以降も取り組みたい。さらに新しい販路開拓なども進め、生産者などの手取り収入に反映させられる取り組みも進めたい」などと述べ、農家を支援したいとの考えを示した。
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