創刊100周年 第66回全国家の光大会レポート 2025年3月4日
(一社)家の光協会は2月13日、横浜市のパシフィコ横浜・国立大ホールで「『家の光』創刊100周年記念 第66回全国家の光大会」を開いた。全国からJAの役職員や女性組織メンバー、愛読者ら約2000人が参加した。
今年5月号で『家の光』創刊100周年を迎えることを記念した今大会のスローガンは「みんなで手をつなぐ協同の輪 食・農・地域に生まれる好循環」。
開会で栗原隆政会長は「JAの組織基盤を強化するため組合員や地域住民との接点が重要となっている」と述べ、「『家の光』の記事活用を今まで以上に進めることで「協同する仲間づくりを進めていきたい」とあいさつ。また、『家の光』創刊100周年記念の取り組みとして、JA女性組織の活性化や仲間づくりの促進を目的としたダンスコンテストの実施についても述べた。
来賓のJA全中の山野徹会長は今年が2回目の国際協同組合年であることに触れ、「協同組合の魅力を社会に発信するまたとない機会。家の光協会と連携して取り組んでいきたい」とあいさつ。JA神奈川県中央会の平本光男会長は「参加者が交流し、それぞれが新たな一歩を踏み出すこの大会は意義深い」などと語った。
大会では石破茂内閣総理大臣がビデオメッセージを寄せた。総理大臣が本大会にメッセージを贈るのは初めて。石破氏は「地域の力を最大限に引き出して多極分散型の社会を作っていきたい」と話し、「その基盤となるのが地域のコミュニティー。JAの役割は大きい」とJAの教育文化活動に期待を寄せた。
大会では第75回家の光文化賞の表彰が行われた。家の光文化賞は1949年に制定され、これまでに延べ290組合を顕彰してきた。創意工夫に富んだ教育文化活動に取り組み、家の光事業がJAの事業・活動のなかで明確に位置づけられ成果をあげているJAを顕彰する。第75回はJAマインズ(東京都)とJAグリーン大阪(大阪府)が受賞した。
また、教育文化活動をJAの事業・活動のなかに明確に位置づけ「家の光文化賞」にチャレンジするJAを育成しようと制定された「家の光文化賞促進賞」はJA南さつま(鹿児島県)が受賞した。
大会ではJA普及活用実績表彰も行われ、全国で45JAが表彰された。そのなかで過去10年間において『家の光』の普及に関する部門で最多の表彰実績をあげた神奈川県のJAあつぎが『家の光』創刊100周年記念表彰を受賞した。
誌面をヒントに
大会メインの体験発表では前日の都道府県代表体験発表大会で選出された9人(記事活用の部6人、普及・文化活動の部3人)が発表した。
審査の結果、記事活用の部で最優秀賞の志村源太郎記念賞に選ばれたのは和歌山県JAありだの川瀬彰子さん。
JA職員が届ける『家の光』を家族で読むという川瀬さんは同誌を活動に生かし、ボッチャ大会の企画や、防災活動に取り組み、それが地域を超えて県、全国にも広がっていく活動に取り組んでいる。審査委員長の石田正昭京都大学学術情報メディアセンター研究員は「これらの活動が地域とJA、そして全国へと広がっている点が高く評価された」と講評した。
普及・文化活動の部でJA全中会長賞に選ばれたのは岡山県JA晴れの国岡山の福原正恵さん。高齢化率40%を超える真庭市で、若い女性をJAやフレッシュミズに参加してもらうため、ライフプランセミナーを企画したところ、参加者がフレミズの部員となるなど、組織基盤の強化につながった。なお、発表者には、家の光協会会長特別賞が贈られた。
また、『ちゃぐりん』愛読者特別発表は滋賀県東近江市立市原小学校5年の今村姫菜さんが発表した。大会は最後に申し合わせを採択した。来年の第67回全国家の光大会は福岡県福岡市で開催される。
◇
家の光協会会長特別賞は以下の通り。
〈記事活用の部〉
▽『家の光』からはじまる 地域のつながり=JAならけん・中谷佳津代(奈良県)▽夢ある未来へ 思いをつなぐ=JAあつぎ・難波千賀子(神奈川県)
▽プロジェクト めだかの学校の挑戦=JA土佐くろしお・深瀬夏枝(高知県)▽『家の光』とともに ~変わらぬものそして変えていくもの~=JAありだ・川瀬彰子(和歌山県)▽みどり会活動を通して育まれる心と絆=JAうつのみや・半田敬子(栃木県)▽地域に女性部あり!~地域に根ざす女性部活動~=JA周桑・越智仁子(愛媛県)
〈普及・文化活動の部〉
▽"最強の武器"を手に次世代へ つなげる広がるワクワクを!=JA晴れの国岡山・福原正恵(岡山県)▽組織活動「日本一」への挑戦=JAあいち中央・吉村由紀子(愛知県)▽組合員といっしょ!=JAセレサ川崎・弓削田勝(神奈川県)
◇
最優秀の川瀬さんと福原さんの発表内容の要旨は別項の通り。
読むだけではもったいない
『家の光』とともに~変わらぬものそして変えていくもの~ 和歌山県JAありだ 川瀬彰子さん
JA職員が明るいあいさつとともに届けてくれる『家の光』。夫はうれしそうに家族の誰よりも先に読みます。『家の光』はわが家とJAをつなぐ大事なコミュニケーションツールであり、待ち遠しいひとときです。
わが家はミカン栽培を営む専業農家。女性会には嫁いですぐ近所の人に誘われて入会しました。以前は『家の光』に載っている他の女性会活動をそのまま拝借していましたが、なんと最近、私の活動が掲載されました。地域の子どもたちに食農おうえん隊として大人気の有田みかん大福づくりの活動で、記事を読んだ地域の人から私も参加したいといった反響もいただきました。
これをきっかけにJAありだ女性会の活動も大きく広がりました。県内に広がったのが「もったいない大作戦」。もったいないをテーマに家にある使わなくなったものをリメイクした作品や、食材を使い切るアレンジ料理の募集などを行いました。コロナ禍での活動自粛時期に行ったこの活動も記事掲載され、県内から自分たちもやってみたいとの声が上がり、県内統一企画として開催することになりました。
全国に広がった活動はボッチャです。運動会の代わりにマスクをつけてもできる運動として開催、ルールも簡単なため誰でも楽しめフレミズから高齢層まで参加、大いに盛り上がりました。
この活動も記事掲載され、いろいろな地域で開催されるようになりました。来年度の県1JA合併を機に県でボッチャ選手権大会を開くことが決まりました。他県から足を運んでこられるJAの方もあり、ボッチャの輪が大きくなりました。
女性会の最重要活動は防災活動です。ハザードマップを使った学習会や「簡単マイトイレ」作りとその備蓄などを行っています。3年前和歌山市で1週間の断水があり、今こそ私たちの出番だ、と1000個の簡単マイトイレを提供しました。これを機に県内各地区でも備蓄が始まりました。
時代が変わっても私にとって『家の光』はJAや家族とのつながりであり、この先もずっと変わらないもの。しかし、時代とともに変えていかなければならないこともあり、それは私たちの活動です。そのためにも『家の光』を読むだけではもったいない。組織が濁らぬようにかき混ぜ、活動も同じところにとどまらないヒントがたくさんあります。未来に向かって変革の歩みを止めることなく、『家の光』とともに自慢の活動を続けていきます。
世代のつながりに手応え
"最強の武器"を手に次世代へ つなげる 広がる ワクワクを! JA晴れの国岡山 福原正恵さん
真庭南部アグリセンターで女性部事務局を務め、食農教育活動、健康増進活動、『家の光』の普及推進などの業務に携わっています。
真庭市は高齢化率が40%を超え、年々高まっています。若者の県外への流出も多く、JAとしても若い世代とのつながりが課題となっています。
取り組みの一つがフレミズ世代とJAの共済担当との接点となる「ライフプランセミナー」です。これが実現したのはフレミズが一気に13人増えたからです。女性部が運営しているカフェに若いママさんグループが安心安全な弁当を求めて来店したことがきっかけです。
地域住民の暮らしに寄り添うこともJAの大切な役割であり、JA事業を知ってもらういい機会ではないかと「ライフプランセミナー」の開催を考えました。多くの人に気軽に参加してもらえるように、女性部の協力を得ておしゃべりを楽しみながらの勉強としました。託児所も準備し子育て世代も参加しやすい環境を作りました。
その結果、13人の参加申し込みがあり、そのうちフレミズ部員でない方が7人参加しました。セミナーがJAとフレミズとのいい橋渡しになればと、当日は共済担当の職員に協力を依頼、司会進行とともに、ライフプラン作成のアドバイザーとしてグループの輪にも入ってもらいました。
終了後には「人生でのお金の流れを考えるきっかけになった」「夢を描くよい機会となった」などセミナーを通して人生設計のヒントを与えることができ、2人が新たにフレミズに参加、このセミナーはJA事業を強化する基盤になると確信しています。
『ちゃぐりん』を活用してJAとの接点づくりにも取り組んでいます。フレミズ21人全員に『ちゃぐりん』をプレゼント、共済担当者を帯同し食農教育の大切さとそれを支えるJAをPRしました。JAは農業だけでなく信用共済事業も展開していることを理解してもらえるいい機会となりました。
共済担当者は建更や自動車共済の契約に結びつけただけでなく、何より若い世代と接点を持てたことが収穫になったとのことです。このように他の部署と連携することでJAのPR請負人になれます。そのツールとして「家の光三誌」という最強の武器を私たちは手にしており、事業の好循環を実現できることを身を持って体験しました。
これからもJAのファンを作り、つなげ、ワクワクをもっと広げていきたい思います。
【大会申し合わせ】
▽「協同活動と総合事業の好循環」によって食と農を支え、組合員の豊かな暮らしの実現と仲間づくりをすすめます。
▽「食」「農」「協同組合」についての理解醸成に資する情報を発信し、持続可能な農業と幸せで暮らしやすい社会の実現に向けて、地域とともに歩むJAをめざします。
▽『家の光』『地上』『ちゃぐりん』『やさい畑』「家の光図書」の普及活用運動をすすめ、記事活用と文化活動の実践によって協同の輪を広げます。
(令和7年2月13日『家の光』創刊100周年記念 第66回全国家の光大会出席者一同)
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(146)-改正食料・農業・農村基本法(32)-2025年6月14日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(63)【防除学習帖】第302回2025年6月14日
-
農薬の正しい使い方(36)【今さら聞けない営農情報】第302回2025年6月14日
-
群馬県の嬬恋村との国際交流(姉妹)都市ポンペイ市【イタリア通信】2025年6月14日
-
【特殊報】水稲に特定外来生物のナガエツルノゲイトウ 尾張地域のほ場で確認 愛知県2025年6月13日
-
【注意報】りんごに果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 岩手県2025年6月13日
-
SBS輸入 3万t 6月27日に前倒し入札2025年6月13日
-
米の転売 備蓄米以外もすべて規制 小泉農相 23日から2025年6月13日
-
46都道府県で販売 随意契約の備蓄米2025年6月13日
-
価格釣り上げや売り惜しみ、一切ない 木徳神糧が声明 小泉農相「利益500%」発言や米流通めぐる議論受け2025年6月13日
-
担い手への農地集積 61.5% 1.1ポイント増2025年6月13日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】生産者米価2万円との差額補填制度を急ぐべき2025年6月13日
-
井関農機 国内草刈り機市場を本格拡大、電動化も推進 農機は「密播」仕様追加の乗用田植え機「RPQ5」投入2025年6月13日
-
【JA人事】JA高岡(富山県)松田博成組合長を新任(5月24日)2025年6月13日
-
【JA人事】JAけねべつ(北海道)北村篤組合長を再任(6月1日)2025年6月13日
-
(439)国家と個人の『食』の決定権【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年6月13日
-
「麦とろの日」でプレゼント 東京のららぽーと豊洲でイベントも実施 JA全農あおもり2025年6月13日
-
大学でサツイマイモ 創生大学と畑プロジェクト始動 JA全農福島2025年6月13日
-
JA農機の成約でプレゼントキャペーン JA全農長野2025年6月13日
-
第1回JA生活指導員研修会を開催 JA熊本中央会2025年6月13日