千葉米粉工場の竣工式 専用品種と湿式気流粉砕製法で米粉事業に新規参入 全農パールライス2025年9月3日
全農パールライスは9月2日、千葉県千葉市に建設していた千葉米粉工場の竣工式を行った。JA全農は国産米の消費拡大に向けて、多様化する食へのニーズに対応した米加工事業を強化している。パックごはん事業、炊飯事業に加え、米粉製造工場を新規取得したことで、令和7(2025)年度はグループ全体で米加工品の売上高90億円を目指している。
関係者によるテープカット
工場は鉄骨造2階建てで、延床面積は737平方メートル。生産能力は年1152t。10月から本格稼働し、2026年3月までの初年度は130t程度を生産し、「4年後のフル稼働」(生形俊之東日本事業本部営業本部営業開発部部長)を目指している。隣接する炊飯工場とは排水浄化設備を共用する。
千葉米粉工場の外観
農水省推奨の米粉専用品種を使い、湿式気流粉砕製法により高品質な米粉を製造する。米粉専用品種は「笑みたわわ」「ミズホチカラ」「亜細亜のかおり」を中心に、JA全農を通じて契約栽培で調達する。製法は、白米に水分を浸透させ、水切りコンベアと脱水機で表面の余分な水分を除去した後、気流粉砕機にかける。これにより「粒度75ミクロン以下、デンプン損傷率10%以下」の米粉を製造できる。
気流粉砕機
販売はJA全農の営業開発部と連携したパンや菓子などのメーカー向けや、家庭用を含めたネット販売など実需者向けも行う。令和6(2024)年度は外部に委託製造した米粉で販売実績があり、輸出も「実績はないが、JAグループのネットワークを通じて取り組む」。米粉は重量ごとに業務用が10kgと20kg、家庭用は300g、500g、1kgの5種類を梱包し、JA物流の低温倉庫に保管して全国に配送する。
課題の1つは原料米の確保。令和6年産は関東中心に作付けされている「笑みたわわ」を一定量確保したが、「米価上昇で主食用米への転換」が進んでいる。そのため、令和7年産米は「要望通りの入手が難しい」状況で、現時点では大半が「笑みたわわ」になる見通し。また、米価上昇の影響を抑え、小麦との価格差を縮小する技術開発で、生産効率を向上することも課題だ。
全農パールライスの山本貞郎社長
全農パールライスの山本貞郎社長はあいさつのなかで、米粉事業への新規参入により「国産米の消費拡大で日本の水田や米作りを守る」と強調。一方、生産性向上のための技術開発や「主食用米との価格差が広がり、原料確保が難しくなっている」ことを課題に挙げた。今後は「グルテンフリー市場は海外が大きく、輸出を含めた販売拡大」や「カスタードクリームなど小麦以上の優位性が確認されている」分野で「小麦代替を進め、米粉で日本を元気にしたい」と語った。
来賓として出席した農水省の山口靖農産局長も「新工場は米粉市場の起爆剤になると期待している。今後も米粉製造支援や専用品種普及など利用拡大を後押しする」と述べた。
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