【全中・経営ビジョンセミナー】新潟から「食・農・地域」の課題解決を 起業家育成と女性農業者の自立支援に学ぶ(1)2025年11月19日
JA全中・教育部は11月12、13日、新潟市で2025年度「経営ビジョンセミナー」の第3セッションを実施した。テーマは「『食・農・協同』領域のJA事業を起こす 新たな種の着想から育てる環境を問う」。新潟における起業家育成や女性農業者の自立支援といった課題解決の実例を取り上げ、議論を深めた。
講演に聞き入る参加者
12日は朱鷺メッセ新潟コンベンションセンターで「食の国際総合見本市 フードメッセ in 新潟」を視察し、その後、市内ホテルに移動して講演を行った。
「フードメッセ in 新潟」を視察
起業家支援の「新潟フードテックタウン構想」
オイシックス・ラ・大地 経営企画本部新潟プロジェクト準備室の吉田美穂コミュニティーマネージャー
オイシックス・ラ・大地は、NSGグループと協働し、起業家育成を目的とした「新潟フードテックタウン構想」を進めている。経営企画本部新潟プロジェクト準備室の吉田美穂コミュニティーマネージャーが取り組みを説明した。
フードテックとは、食(Food)と技術(Technology)を組み合わせ、食の生産・加工・流通・消費における課題を解決する分野。構想では「新潟を世界屈指のフードテックタウンに進化させ、500社のスタートアップと関わり、世界的企業を生む」ことを目指す。インパクトとして、新規雇用5000人、売り場100社、累計売上5000億円を掲げる。
吉田氏は新潟を選んだ理由として、①米と発酵産業が盛ん、②水産練り物など水産業の集積、③地域を代表する食品企業が多い、④大学や食品研究所が存在する――の4点を挙げた。このうち事業創造大学院大学や新潟食料農業大学はNSGグループに属する。
エコシステム構築では、①資金を支援するファンドや金融機関、②スタートアップを積極活用しM&Aも視野に入れる大企業、③技術面を担う大学・研究所、④海外展開を視野に入れた国内外パートナー、⑤シェアオフィス・キッチン・売り場などリアル拠点、⑥成長を加速するアクセラレーター、これらを揃え、起業家を継続的に支援する。オイシックスも社内VCとして「フューチャー・フード・ファンド」を運用し、次期3号ファンドは100億円規模での組成を予定している。
構想はフェーズ1〜3で進める。現状はフェーズ1の骨格づくり。フェーズ2では成功事例創出に向けたクイックウィン候補の招致や立ち上げ、フェーズ3ではエコシステムの機能拡充とプレイヤーの増加を図る。
吉田氏は「発酵・微生物、培養肉、副産物のアップサイクルなど、日本の技術は海外でも注目が高い。スタートアップが生まれやすい環境を整えたい」と話した。
「干し芋加工」から始まる女性農業者の自立支援
ウーマンファーマーズジャパンの佐藤友美代表取締役
women farmers japan(wofa、ウーマンファーマーズジャパン)は新潟県十日町市の里山を拠点に、サツマイモ栽培と干し芋加工・販売を行う農業法人。「里山農業を心うごく世界に 地方からイノベーションを」をテーマに佐藤友美代表取締役が講演した。
wofaは干し芋ブランド「雪の日舎」、女性農家コミュニティ「wofaラボ」、小規模農家が挑戦できる「チャレンジ加工室」などを展開し、女性農業者の自立と冬季雇用づくりを進めている。
豪雪地では冬季の畑仕事ができず、男性は除雪やスキー場勤務が可能でも、子育て中の女性は遠方勤務や夜間勤務が難しい。家業を支えても「家の手伝い」と扱われ、給料や通帳を自分名義で持てない実態もあった。
そこで佐藤代表らは空き家を改修し干し芋加工場を整備。約20人の女性が冬季雇用として働き、昼には自家野菜の郷土料理を囲むなど、世代を超えた学び合いも生まれている。
少量生産の女性農家が自分のレシピで加工品づくりに挑戦できる「チャレンジ加工室」も開設し、すでに2人が自前の加工所を創業した。「家の手伝い」から「一人の農業者」へ踏み出す仕組みである。
特徴的なのは、ビジネスと同じ重さで「内面へのアプローチ」を重視する点だ。「女には無理」「私は無能だ」といった無意識の思い込み(メンタルモデル)を言語化し、仲間と共有して手放す。コーチングやワークショップを通じ、「主語を家族から私へ戻す」プロセスを支えている。
こうした取り組みは家族にも変化をもたらし、「父の機械だと思っていた」女性が経営継承へ踏み出すなど、地域の意識変化も確認されている。小さな加工場から、農村の"見えない痛み"を変える挑戦が続く。
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