JAの活動:新世紀JA研究会 課題別セミナー
トップの「想い」中計に【水谷 成吾・有限責任監査法人トーマツJA支援室】2019年3月29日
”目指す姿”自分の言葉で
有限責任監査法人トーマツJA支援室水谷成吾氏
◆近視眼的になる中計
改革という大きな変化に直面している現在の農協には、大局的見地から農協の将来を見通した上で、役員が本当に挑戦したいと思える"目指す姿"が必要です。しかし、どれだけの役員が自らの"目指す姿"を自分の言葉で組合員や職員に語り掛けているのでしょうか。
役員の想いが見えない中で出来上がる中期経営計画は、いくつかの数字を更新しただけで基本的には前年踏襲型の中期経営計画であり、短期的な数字づくりのための中期経営計画です。"自己改革"を掲げてはいるものの、結局、多くの農協において大切なのは短期的な財務目標(ノルマ)を達成することであり、中期経営計画はノルマ達成のためにやるべきことを列挙した行動計画が3年度分並んでいるだけです。そのような中期経営計画に対して、どれだけ魅力的な言葉やスローガンで飾り付けたとしても、組合員や職員の心に響くことはありません。
◆場当たり対応策排し
このような状況のもと、これまでとは違う中身のある中期経営計画を作成したいと考えているのであれば、書店に溢れる「中期経営計画のつくり方」に関する書籍も、連合会等が提供する中期経営計画作成マニュアルもあなたの悩みを解消してくれないでしょう。求められているのは、中期経営計画作成マニュアルを活用して必要な情報や分析を積み上げて、中期経営計画としての体裁を整えることではありません。
農協の中期経営計画に足りないのは、情報でも、分析でも、ノウハウでもなく役員の「想い」です。連合会等の指示に従って体裁だけを整えた中期経営計画には、中期経営計画の最重要要素である役員の「想い」が注入されていません。皆さんの中期経営計画は、見ればそこから役員の「想い」が読み取れるでしょうか。組合員から必要とされる農協の姿がそこに書かれているでしょうか。政府の"農協改革"に応えることを主眼に置いた場当たり的な対応策の列挙ではなく、役員として組合員に対して「何がしたい」「何をすべき」と考えているかが伝わってくるでしょうか。
◆先が読めぬからこそ
最近では、環境変化が激しいことを理由に中期経営計画を否定し、「環境変化が激しく3年後を見通すことは困難です。このような状況において3年の中期経営計画をつくることは、環境変化に対する柔軟性を損なうだけ」など、場当たり的な経営を正当化する役員もいます。そのような意識だから、自律的に考え、創造し、改革するという発想になれず、政府の進める"農協改革"に右往左往するばかりで、言われたからやるという受け身の改革になっているのです。
変化する環境下だからこそ、役員が本当に挑戦したい中期経営計画をつくることが重要であり、役員の「想い」が何よりも大切です。役員自身のゆるぎない決意・やると決めたことはやりきるという覚悟に裏打ちされた中期経営計画が、役員自身・職員・組合員を突き動かすのです。環境分析資料にもとづいて中期経営計画をつくっても、前提となった環境が簡単に変化する時代です。
今の環境を前提に正しい中期経営計画をつくることにあまり意味はありません。そうであるならば、人口減少、高齢化の進展、国内農業産出額の減少など、外部環境変化に対応するために「こうしなければならない」と考えるのではなく、農協の役員として「こうしたい」、「こうすべきだ」という「想い」を優先するべきです。
夢は人を引きつける
役員に選任されたときに、あなたにはどのような「夢」がありましたか。それぞれが役員になったら「こんなことに挑戦してみたい」、「こんな風に地域農業に貢献したい」など、夢や理想を掲げて役員に就任したのではないでしょうか。それでも、いったん役員(経営者)になると、目の前に経営課題が山積であり、「やりたい仕事」の前に「やらなければならない仕事」が押し寄せてきます。
気が付けば夢や理想を綺麗ごとと切り捨て、目の前の仕事に取り組む毎日であり、日々繰り返す意思決定に対する不安やストレスを誰も理解してくれません。いつしか、組合員や職員から寄せられる夢や理想も「現実を見ずに勝手なことを言う人のわがまま」にしか感じられなくなっているのではないでしょうか。
夢や理想だけでは経営できないのは事実ですが、それでも役員が描く夢や理想に対して人やお金が集まってくるのも事実です。それなら自分の夢を追いかけてみませんか。あなたが本気になって実現したい将来像・実現すべきと考える将来像を組合員と話してみてはいかがでしょう。貯金残高や共済保有高ではなく、役員の「想い」を聞いた組合員は"自己改革"を実感するのではないでしょうか。「想い」が強ければ強いほどそこには人が集まってくるはずです。それこそが"自己改革"のスタートです。
※このページ「紙上セミナー」は新世紀JA研究会の責任で編集しています。
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