JAの活動:今さら聞けない営農情報
みどりの食料システム戦略19【今さら聞けない営農情報】第115回2021年9月4日
令和3年5月12日に決定された「みどりの食料システム戦略」(以下、「みどりの戦略」)では、「食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現」を目指し、2050年までに目指す姿と取り組み方向が示されました。
前回から「有機農業」に関する技術的戦略戦略(1)~(10)(図参照)のうち、2030~2040年に実現・普及を目指す取り組み課題を掘り下げています。今回は、(6)「AIを活用した土壌病害発病ポテンシャルの診断技術」です。
土壌病害は、野菜栽培等で問題となる連作障害の主原因でもあり、防除が難しく厄介な病害です。この技術は、その土壌病病害の発病に至る過程の土壌水分や温度、地上部の葉の様子など病害発生に関わる様々なデータを収集し、それをAIに覚えさせて正確に発病の可能性を診断をさせようというものです。
土壌病害は、目に見えない病原菌が土壌中で密かに活動することによって発生するので、発病の始まりを把握するのは難しく、気づいた時には、「既に作物の根部が侵されるなどして、株が萎れたり、葉が黄化したりと作物の地上部に影響が既に出てしまっている」状態であることが多いものです。そのため、発病の可能性が高い時や初期発生したようだといった情報が病害の発生する前に判明すれば、速やかに対処することができ、その結果土壌病害の被害を最小限に食い止めることもできるようになります。
土壌病害防除の基本は、「発生させない」か「初期の段階での蔓延防止対策の実施」ですので、発病の可能性をAIが事前に診断してくれるのは大いに役立ちます。
特に後者の方法としては、発生株を見つけたら病原菌が大量増殖する前に引き抜くことや、土壌湿度を下げたり、温度を下げたりして病原菌が嫌がる栽培環境を作るなど限られた方法しかなく、地上部の病害ほど対処法は多くありません。ですので、土壌病害の蔓延防止のためには、早期発見が何より重要なのです。
現在、農研機構を中心に技術開発が行われているとのことですが、まだ病害数が少ないようです。開発が進み、診断できる土壌病害が多くなり、全ての土壌病害の診断ができるようになることを期待します。
またその際には、「発生しそうだぞ!」という情報だけではなく、「発生しそうなので、このような対処をして下さい」などと対策もセットで教えてもらえるようにしてほしいと願っています。診断やアラートは重要な技術ですが、その後の対処法が示されないことには営農現場では片手落ちになってしまいますので、是非ともお願いしたいものです。
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