JAの活動:今さら聞けない営農情報
有機農業とは11 【今さら聞けない営農情報】第130回2021年12月18日
令和3(2021)年5月12日に決定された「みどりの食料システム戦略」では、有機農業の推進が大きな目標となっているようです。そこで、本稿では「有機農業とは何か」をひも解いており、その大本となる有機JAS規格について解説しています。現在、第1条から第3条「用語の定義」まで終了し、現在、第4条「有機農産物の生産方法」を解説中です。
今回は、「収穫、輸送、選別、調製、洗浄、貯蔵、包装その他の収穫以後の工程に係る管理」です。この項は、収穫以後のあらゆる行程において守らなければならない条件、(1 )JAS規格以外のあらゆる農産物と混ざらないようにすること(2)有機JAS規格で禁止されている資材等に汚染されないようにすること(3)放射線を照射しないこと――が示されています。
最初の原文「1 この表ほ場の項、栽培場の項、採取場の項、ほ場に使用する種子又は苗等の項、種菌の項、ほ場における肥培管理の項、栽培場における栽培管理の項、ほ場又は栽培場における有害動植物の防除の項、一般管理の項、又は育苗管理の項の基準(以下「ほ場の項等の基準」という)に適合しない農産物が混入しないように管理を行うこと。」は、収穫時のコンテナや収穫後の出荷調製する場所等で、有機JAS規格以外の作物とはきちんと隔離して管理し、決して有機JAS規格以外の作物と混ざらないようにしなければならないことを示しています。
次の原文「2 有害動植物の防除又は品質の保持改善は、物理的又は生物の機能を利用した方法(組み換えDNA技術を用いて生産された生物を利用した方法を除く。以下同じ)によること。ただし、物理的又は生物の機能を利用した方法のみによっては効果が不十分な場合には、以下の資材に限り使用することができる。(1)有害動植物の防除目的別表2の農薬及び別表4の薬剤(ただし、農産物への混入を防止すること) (2) 農産物の品質の保持改善目的別表5の調製用等資材(組み換えDNA技術を用いて製造されていないものに限る)」は、貯蔵病害など収穫後に発生する有害動植物の防除、品質保持のために使用される資材に関する規定です。有機JAS規格のほ場での防除と同様に物理的防除や生物的防除を中心に行い、どうしてもダメな場合にのみ別表2,4,5に定める資材を使っても良いことになっていますが、有機JAS規格農産物に付着したり混入したりしてはなりません。もし、有機農産物を出荷調製する作業場などに一般農産物の生産に使用する農薬などを保管しているような場合には、作業場所を明確に分けたり隔壁を設けるなどの措置が必要になります。
次の原文「3 放射線照射を行わないこと」は、説明不要ですね。
最後の原文「4 この表ほ場の項等の基準及びこの項1から3までに掲げる基準に従い生産された農産物が農薬、洗浄剤、消毒剤その他の資材により汚染されないように管理を行うこと」は、収穫された有機農産物が、有機JAS規格で認められていない農薬等の資材に汚染されてはならないことが示されています。
(つづく)
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