JAの活動:今さら聞けない営農情報
農薬の正しい使い方(43)【今さら聞けない営農情報】第309回2025年8月2日
「いまさら」では農薬を正しく、安全に、しかも高い効果を得るため、農薬の正しい使い方の基礎知識をご紹介しようと考えています。農薬の防除効果は、有効成分をいずれかの方法で作物に付着または吸着させることができてはじめて発揮されますので、高い効果を発揮させるには、有効成分をいかに効率よく作物に付着させるかが鍵となります。前回、濃厚少量散布機械の一つであるドローン散布に際し、農薬の選択で注意事項があると紹介しました。今回はその注意事項について少し掘り下げて
紹介します。
ドローンで使用する農薬は、農薬の使用方法に「散布」あるいは「無人ヘリ散布」と記載のあるものが使用できることは前回ご紹介したとおりです。
今回は、「散布」の登録を使用して農薬をドローンで散布する場合の特性とメリット・デメリットをご紹介します。
ここでいう「散布」とは1000倍とか2000倍あるいはそれ以上の倍率の薄い薬液を、10aあたり100ℓ程度以上から果樹では700ℓといった大量の水量で散布するもの(以下、希薄多量散布と呼びます)がほとんどです。
例えば、水稲に1000倍液を100ℓ/10aを散布する農薬をドローンで散布する場合、10ℓ搭載できるドローンであれば、1回の飛行(積載が無くなるまで)で散布できる面積はわずか1aになります。ということは、この農薬を10aの水田に均一に散布しようとする場合は、10ℓの薬液を合計10回もドローンに追加しなければならなくなり、そのためにドローンの離着陸を10回も行わなければならないことになります。この離着陸を繰り返す動作は、ドローンの特性上離着陸に多くの電力を消費するため、バッテリーの持ちが悪く、何度もバッテリー交換が必要になり作業上大変不効率です。
また、散布が終了した部分と未散布の部分の境目を把握するのが手動ドローンでは難しく、散布モレを避けるために境界部を重複散布する部分が大きくなります。正確かつ効率的な散布を実施するには、境目の位置情報(ポリゴン)を取得できる機能を持った全自動飛行ドローンが必要になり、全自動飛行ドローンは機体価格も高く導入コストが高くなってしまうのが難点です。
これらが、ドローン希薄多量散布を行う場合のデメリットになります。
一方、希薄多量散布は、作物に散布ムラなく均一に散布することができますので、作物体上に農薬が付着していない部分を無くすことができるので農薬の効果を安定させるのに役立つことがメリットになります。整理すると、ドローンで希薄多量散布をする場合は、小面積で薬液をしっかりと付着させたい場合などに用途を絞った方が良いようです。
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