JAの活動:今さら聞けない営農情報
農薬の正しい使い方(58)害虫防除の考え方【今さら聞けない営農情報】第324回2025年11月15日
「いまさら」では農薬を正しく、安全に、しかも高い効果を得るための農薬の正しい使い方の基礎知識をご紹介しています。農薬の防除効果は、有効成分をいずれかの方法で作物に付着または吸着させることができてはじめて発揮されますので、高い効果を発揮させるには、有効成分をいかに効率よく作物に付着させるかが鍵となります。しかし、農薬をより効率よく正しく使用するためには、製剤の選択の他に散布対象となる作物やその生育ステージ、あるいは病害虫雑草の生態に合わせた使い方も重要になります。前回までに病害の生態に合わせた防除の考え方を紹介しましたので、今回より害虫の生態に合わせた防除の考え方を紹介します。
害虫防除を考える際には、まずはその生態を知っておく必要があります。害虫特有の生態で最初に知っておく必要があるのが、発育段階で大きな形態的変化を起こすことです。
このことを変態といい、卵から幼虫が生まれ、幼虫が脱皮を繰り返しながら成長し、やがて成虫へと変身することを指し、害虫体内の器官から内分泌されるホルモンによって脱皮がコントロールされ、脱皮を繰り返すごとに幼虫の身体が大きくなっていきます。変態の仕方には、卵→幼虫→蛹→成虫と姿を変える完全変態(チョウ目、コウチュウ目、ハチ目、ハエ目など)と、卵→若虫(仔虫)→成虫と蛹を経ないで成虫になる不完全変態(バッタ目、アザミウマ目、カメムシ目、ダニなど)の2つがあります。この1過程を1世代といいますが、多くの害虫は1年に1世代のところ、ニカメイチュウやモンシロチョウなどのように、1年に2世代とかあるいはそれ以上の世代を繰り返す害虫もいます。
次に知っておくべき生態は、害虫は変温動物でありその発育は温度に大きく左右されることです。害虫ごとに生育適温があり、その範囲内で低温では生育が遅く、高温では早くなります。反対に、適温を外れるような温度になると害虫は生育を停止して死亡したり、冬眠などのように環境に抵抗するようになります。一般的には作物が生育できる期間と害虫の生育期間は合致することが多いので、作物の作付が始まる頃には害虫も越冬等から目覚めて活動を開始し、個体数を増やしていきます。
この害虫の生態を逆手に取って、害虫が発生・生育しにくい環境を整えて害虫の発生量を抑えたり、農薬が効きやすいタイミングで農薬を施用することが害虫防除の基本になります。
次回、この害虫の生態に合わせた害虫防除の考え方を整理してみます。(つづく)
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