JAの活動:持続可能な社会を目指して 希望は農協運動にある
【特集:希望は農協運動にある】農家に寄り添い基盤強化 JA全農 菅野幸雄経営管理委員会会長に聞く(2)2020年10月21日
コロナ禍でもわが国では食料の安定供給が維持された。そこには各地の生産者、JA、JA全農などJAグループが一体となった取り組みがあった。JA全農の菅野幸雄会長は「むしろ新たな営農振興に向け、農家がやる気になるような環境づくりにJAグループの強みが再確認できた」と話し、生産者に寄り添い生産基盤の強化を図ると意気込みを語る。聞き手は白石正彦東京農業大学名誉教授。

農家に寄り添い生産基盤を強化
白石 さて、JA全農の生産から販売までの機能はJAや生産者を補完する機能として期待されると同時に、消費者からも安心、安全な食料供給に期待されていると思います。
そうした観点で昨年度からスタートしたJA全農3か年計画の実績と今後の課題などをお聞かせください。
菅野 今年度は3か年計画の2年目を迎えていますが、生産基盤の強化に向けて現場JAや農家に寄り添ったかたちで取り組んでおり成果も出ていると思います。たとえば必要な機能を絞り込みコストを下げた共同購入トラクターの取り組みが実績を挙げ先日は第2弾の取り組みも発表しました。
海外戦略についても、今はコロナの影響で実績がなかなか伴うというところまで行っていませんが、もともとニューヨークやロンドン、東アジアなどに海外拠点を広げてきており、今年は上海に中国の拠点を開設しました。今後、大消費地である中国への販売が回復していけば、実績の拡大に伴い、更に相互の交流が進むものと考えています。
元気な地域づくりへの支援も最重点事項の1つです。やはり地域が元気にならないと国全体の農業生産力も上がりません。こうした事項1つ1つに取り組み、種を播いています。今後とも現場の支援を充実させていきたいと考えています。これは地域ごとに品目も違いますから、それぞれの課題を県本部などで吸い上げて解決策を探り生産振興に結びつけていくことが大事ですし、本所としても現場のJAや生産者を支援していきます。
同時に、農家に供給していく生産資材の価格を下げたり品質を上げていくという大きな機能も発揮していかなくてはなりません。
また、全農グレインによる海外からの配合飼料原料の安定的な調達のための産地の多元化や遺伝子組換え作物ではない原料の調達などで安心を届けるという海外事業は引き続き重要です。
それに加えてファミリーマートとの提携といった国内の他産業との連携で国内産の農畜産物の販売を広げていくということも重要です。全農にはこうした大きな機能があります。
高齢化の進展、少人数世帯・共働き世帯の増加など消費構造も変わってきていますから、その変化に対して先に、先に対策を打ち出し、当然、農家のみなさんにもプラスになるような事業をどんどん提案していきたいと考えています。
たとえば、コロナ以降、店舗に行って買うのではなくて、Eコマースによる販売方法を利用する人も増えています。全農は全国の産地を持っているわけですから、産地でセットにした野菜を販売したり、あるいは今日の夕食分のカレーライスの原材料だけパック詰めにして販売するといったこともできるのではないかと思います。こうした機能を発揮するのがJA全農であり、われわれは時代の要求を見通すことが必要ではないかと考えています。
座右の銘は「温故知新」
白石 最後に菅野会長の「座右の銘」と今後のJA全農の自己改革に対する思い、JAグループの組合員・役職員への期待、国民の皆様へのメッセージをお聞かせください。
菅野 私はよく「温故知新」を挙げます。やはり今があるのは、過去の先人たちの活躍があったからだと思います。これから前に進もうというときには後ろを振り返ったではだめだとしばしば言われますが、過去の取り組みのなかには将来に向けてスタートを切るときに役に立つことが大いにあると思います。ですから今でも古い書物を読んだりすることは大切なことだと考えています。捉え方は時代、時代によって違うと思いますから、今は今の感覚でいいと思いますが、古きを学んで新しき知る、新しくチャレンジに向かうということが大事だというのが私の気持ちです。
私自身、農協職員時代から尊敬する先輩がいますが、あの人だったらこれはどうするだろうなということを考えながら、今も日々職務にあたっています。
白石 そのようにバトンを繋いでいくというのが農協運動だと思います。ありがとうございました。
【インタビューを終えて】
菅野会長は愛媛県の農協職員として20歳頃から専門農協的総合農協として有名な温泉青果農協(合併後、現在はえひめ中央農協)で、温州ミカン危機の産地を伊予柑とキウイの先進産地に15年かけて再生・大転換に尽力された。菅野会長には、「座右の銘」を大切にされ、国際協同組合運動の一翼として注目されるように家族農業を中核とした組合員・単位JAとJA全農等の連合組織の双発的ネットワーク力の発揮で自給率向上を包含したJAらしい持続的イノベーションの成果達成への舵取りを期待したい。(白石正彦)
国産食料の安心を安定供給 JA全農 菅野幸雄経営管理委員会会長に聞く(1)
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