JAの活動:守ろう都市農地! 指定期限迫る「特定生産緑地」
【解説】特定生産緑地 意向「未定」が13% 指定促進 待ったなし2021年12月1日
JAグループは、2015年の都市農業振興基本法の制定以来、関連するさまざまな法制度・税制が実現したことをふまえ、それらを活用した都市農業の振興に取り組んできた。
このうち三大都市圏の生産緑地については、その8割が1992年に指定されているため2022年に指定期限を迎えることから、特定生産緑地制度への指定促進が喫緊の課題となっている。
図・国交省の円グラフ
生産緑地の指定から30年を経過した場合、どのような理由があっても特定生産緑地への指定は認められない。そのためすべての対象組合員が特定生産緑地制度を理解するよう徹底した情報の周知が必要となる。
JA全中は2020年12月の理事会において、「2021年の取り組みが鍵を握る」として、組合員への徹底的な周知と自治体等関係機関と連携した指定促進の対応検討を提起し、実践してきた。
国土交通省の調査によると、2021年9月末時点で特定生産緑地に「指定済・指定見込み」は71%、「意向あり」が9%、「意向なし」が7%、「未定・未把握」が13%だった(図)。
今後は指定意向を示した組合員の確実な特定生産緑地への移行を支援するとともに、1割強を占める指定意向が「未定」等の組合員への働きかけが重要となる。
JA全中は2021年9月の理事会で改めて今後の取り組み方針を決め、地域の取り組み実態をふまえ「指定意向未定者や未申請者への最後の追い込みをし、可能な限り特定生産緑地への移行を促す」としている。
一層の取り組みを進めるため、特定生産緑地指定のメリット(表)や手続きなどを記載したチラシの配布、JA広報誌(紙)の活用、戸別訪問時の確認など、他部門、行政と連携し、すべての対象農家が特定生産緑地に関する情報に触れ、適切な判断が行われるようにあらゆる機会を創出し、徹底的な制度説明を行うことが必要だ。
また、場合によっては行政に指定申請機会の再設定を求めることや、行政と指定意向未定者や未申請者に関する情報を共有し共同して取り組むことも検討する。指定の期限が迫るなか、情報共有によりターゲットを絞った働きかけが重要になる。
表・特定生産緑地指定のメリット・デメリット
2022年以降を見据えて
2022年が大きな節目となるが、この問題はそれ以降も取り組みが必要だ。1992年以降に順次指定された生産緑地についても、今回と同様な指定支援の取り組みが必要となることに加え、さらに、今後は10年ごとに期限を迎える特定生産緑地の継続に向けた支援も必要になる。
一方、JA全中が実施したJAへのアンケートによると、特定生産緑地への指定促進に取り組むうえで「生産緑地に関するデータの把握」が大きな課題であることが浮かび上がった。このため、今回収集した生産緑地に関する情報や組合員データを整理、管理するとともに、引き続き必要な情報の収集に努めることが重要となる。
また、10月に開催された第29回JA全国大会では「次世代総点検運動」への取り組みを決議した。都市農業でもこの運動は重要であり、次世代の正組合員数を確保するため、今回得られた情報やデータを活用しながら、正組合員の後継者の状況等について総点検を行い、個々の実態をふまえて後継者の確保・育成策、相続対策等の支援策を展開する取り組みも求められている。
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