【韓国特派員レポート[3]】政府、米の生産拡大に政策転換 実効性は未知数 韓国農民新聞社・郭重燮2013年1月7日
米の需給に危機信号が鳴るなかで、政府は減産政策から増産政策に方向を転換する雰囲気だ。最近3年連続でのコメ生産の減少で政府米在庫が急激に減って、国際穀物価格も急騰するなど、国内外の食料需給環境が悪化し、米の生産拡大に乗り出すのだ。
多収穫・耐災害性品種の普及もっては限界
農家所得の安定化のための栽培誘導が望ましい
農林水産食品部は、減産政策の核心だった“田んぼの所得ベースの多様化事業”の面積を大幅に減らすという方針であると伝えられた。また、稲の栽培面積の減少分を高品質多収穫品種の拡大で補完するという計画だ。これと共に台風などに強い耐災害性品種を現在の17個から2015年まで29個に増やし、冬に二毛作が可能な優良農地の転用許可をなるべく出さない方針だ。
しかし、政府がコメの生産余力拡充を狙って出した対策が実質所得の低下傾向を防ぐかどうかより、米の生産調整面積の縮小や多収穫品種の普及拡大、耐災害性品種の開発・普及などに焦点が当てられた実効性論議がおきている。
農林水産食品部は米の生産余力を拡充するため、2011~2013年、毎年4万haを対象に水田に他の作物の栽培を誘導していた“田んぼの所得ベースの多様化事業”の規模を来年に5000haに縮小することにした。また、公共施設等やむを得ない場合に限り、農地転用を許可して優良農地を保全し、単収が600kgに達する多収穫品種の栽培拡大で生産量の減少を補完することにした。
これと共に、農林水産食品部は最近の米の生産量の減少は、気象悪化の影響も大きいと見て、病虫害・高温などに抵抗性を備えた耐災害性品種12個を2015年までに追加で開発し、普及する計画だと明らかにした。
しかし、穀物業界関係者と糧政の専門家たちは、このような対策が中長期的に米の生産を増やすには多少の助けにはなるだろうが稲の栽培減少傾向を戻すには力不足だと評価している。
田んぼの所得ベースの多様化事業の場合、農家の約定面積がすでに今年7800haに減った状態で、来年に事業対象を5000haに縮小するとしても、生産に意味のある変化を期待することは難しいのが実情だ。
優良農地の保全の問題も同じだ。政府は、公共施設等やむを得ない場合に限り農地転用を許可することで、稲田面積の減少を防ぐという立場だが、具体的な実行計画は見えない。2009~2011年の3年間、年平均9870haの水田が公共施設など、他の用途に転用された点を勘案すれば稲田面積の減少を防ぐための実質的な制度の補完なしに成果を出せるかどうかは未知数だ。
また、高品質の多収穫品種の栽培拡大と耐災害性品種の開発・普及計画も当面は米の生産を増やす誘引対策には限界があるという指摘を受けている
結局、実質的な米の生産拡充のためには、米の所得を安定させ、農家の栽培意欲を引き出さなければならないが、そのための米直接支払い制度の改善の議論は、それほどの進展がない。現在、政府と国会は、米固定直払金の値上げにはある程度意見の接近を遂げているが、目標価格引き上げ調整には交錯した立場をとっている。
(終わり)
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】ねぎにシロイチモジヨトウ 県内全域で多発のおそれ 徳島県2025年8月6日
-
動画講座と体験キットで組合員活動を支援 新規事業「JAサテライトプラス」 家の光協会2025年8月6日
-
必要なのは自責史観【小松泰信・地方の眼力】2025年8月6日
-
農福連携に取り組む優れた事例を表彰「ノウフク・アワード2025」募集 農水省2025年8月6日
-
福田屋百貨店で日本一の「とちぎ和牛」特別販売イベント JA全農とちぎ2025年8月6日
-
人気アニメ「【推しの子】」と福島県産モモがコラボ 描き下ろしデザイン箱&ステッカー入り JA全農福島2025年8月6日
-
スマート農業技術の実演会開催 キャベツ栽培で可変施肥に活用 JA全農岐阜2025年8月6日
-
和牛焼肉 信州そだちで「長野県産花の日フェア」7日に開催 JA全農2025年8月6日
-
「たすけあい story」アニメ第1話を8月29日公開 浜辺美波さん・福原遥さんが"実体験"を演じる JA共済連2025年8月6日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」JA‐SSで洗車や給油を体験 JAタウン2025年8月6日
-
地域農業への理解深める食育活動 地元小学生にキャベツの出前授業 JA熊本市2025年8月6日
-
「令和7年カムチャツカ半島付近の地震に伴う津波」農業経営収入保険の支払い期限を延長 NOSAI全国連2025年8月6日
-
極早生で良食味のニホンナシ新品種「蒼そう月げつ」育成 農研機構2025年8月6日
-
ニホンナシに出現するミルキーな香りの正体 香りを新たな育種ターゲットに 農研機構2025年8月6日
-
アフリカ開発会議の併催イベントに出展 サタケ2025年8月6日
-
鳥インフル 米サウスダコタ州などからの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年8月6日
-
鳥インフル 英国からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年8月6日
-
鳥インフル ブラジルからの家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年8月6日
-
日本被団協など講演 130人が受け止めた「考え続ける大切さ」パルシステム東京2025年8月6日
-
地元みかん農家とつくったクラフトビール「果実香る湘南ゴールドエール」新登場 湯河原みかん倶楽部2025年8月6日