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2014.03.03 
子ども・若者に夢を JC総研が公開研究会一覧へ

今、求められていることは

 一般社団法人・JC総研は3月1日、東京都内で、「子ども・若者たちの未来〜今、何が求められているか」をテーマに公開研究会を開いた。「現代の若者をめぐる雇用トラブルと対策について〜POSSEの取り組みと非営利協同組織に期待すること」で、NPO法人POSSEの川村遼平事務局長がブラック企業の実態について報告。また、JAを含めた「地域団体の協力・連携による地域課題の解決」で、横浜国立大学の影山摩子弥教授、「イタリア・エミリア・ロマーニャ州における若者の協同組合教育」で前桃山学院大学教授の津田直則氏が報告した。

◆若年者を蝕むブラック企業

JC総研の代30回公開研究会 川村氏が報告した「POSSE」(ポッセ)は、若者が中心になってつくった特定非営利活動法人で、若年者の労働・生活相談や学校での出前授業、労働法セミナーなどを開催する。
 報告では、特に「ブラック企業」問題の深刻さを指摘。これまでも長時間の残業を強いる企業はあったが、[1]就活の「勝ち組」までも巻き込む、[2]生命、健康を奪うほどの過酷な労働で、離職後にも悪影響が残るなど、これまでとの違いを挙げる。
 正職員になっても、非正規並みか、それ以上の過酷な労働と競争を強いられ、精神的・内臓的な疾患に見舞われ早期離職を余儀なくされ、再就職が困難になる。同氏はこれを「就活の延長としての“選別”」として批判する。つまり、過剰に雇用して、「能力があり、タフな職員」だけを残すための選別をするということ。社内で競争させて選別することであり、同氏はこうした企業を「選別排除型」と呼ぶ。
 また非正規職員が基幹となっているサービス産業や営業職では、「辞めさせてもらえない」ことの相談が増えていると言う。採用コストを減らすとともに正職員への「見せしめ」もある。つまり車の燃料にたとえ「残っている内に使う」ということであり、「辞める」というと脅迫まがいの行為を受ける。これは「消耗使用型」である。
 そして虐待、重大事故、無資格者に対する業務命令などで問題になる介護・保育・医療などの「秩序崩壊型」がある。
 3つのブラック企業に共通するのは、[1]どんなに努力しても、長期に努め続けることは困難(あるいは望ましくない)、[2]個別企業にはメリットがあり、長期の人材育成を必要としない、[3]若者の権利主張放棄の上に成り立つ――を挙げる。
 POSSEの相談・支援活動の経験から、同氏は「現場の戦いは「合法、違法ではなく、本人があきらめるかどうかにかかっている。本人があきらめなければ勝てる」と言う。またこうした取り組みを通じて、「日本的雇用慣行(「会社人間」)のあり方を問い直し、労働時間規制の確立などによって、オルタナティブ(持続可能)な働き方」を示すことの必要性を強調した。

(写真)
JC総研の第30回公開研究会

 

◆上意下達排し、開放系組織で

 影山摩子弥教授は、地域にあって、同じ地域問題を抱える協同組合やNPO法人など非営利組織が、ほとんど相互に連携・協力しあう関係ができていないことに疑問を発する。こうしたなかで、神奈川県農政課が、平成22〜24年度に「JAと地域団体との連携モデル事業」を実施した。その事業例を報告した。
 その一つがJAセレサ川崎とNPO法人フリースペースたまりばが実施した「おいしいね うれしいね たのしいねプロジェクト」だ。「たまりば」に通う不登校等の子どもや若者11人と4人の親が参加し、収穫農作物を栽培を体験した。JAも「たまりば」も、地域の農業や活動内容をお互い知ってももらうことができたが、参加した子どもや若者とって「ひきこもりできちんと食事をしない子どもたちが食材に関心を持つ」という効果があった。
 ほかにもJA湘南、JAあつぎ、JAさがみ、JA横浜なども、子どもと母親のグループや地元の大学生などと連携して、水田の生き物探検や田植え、餅つき、案山子づくりなどを行った。
 この結果、子どもたちは「環境に対する理解が進んだ」、学生は「就職前に実践的な社会活動ができた」など、有形無形の効果があった。コストも計算する。女子大と野菜市を開いたJAさがみの試算では、単独で開催した場合は約60万円の経費が掛かるが、これを学生のボランティアで賄うことができただけでなく、学生の栄養効果の説明やPOPによる効果もあって、JAの野菜の売上げで1億円アップの経済効果を見込んでいる。
 こうした連携の必要性について、同教授は税収入の減少、ノウハウの不足などから行政主導の限界を指摘。しかし、NPOでは事業遂行の継続力に不安がある。そこで企業やJAのCSR(社会貢献)に期待をかける。
 その上で、これからの組織のあり方として、上意下達(指示待ち職員化)、組合員の外部化(顧客化)を前提とする閉鎖型のヒエラルキー組織でなく、職員の主体性、組合員のニーズ対応のネットワーク型の組織の必要性を指摘する。「企業のCSDが社会を変える力になるかはどうかは疑問だが、神奈川県の取り組むネットワーク型のシステムから、何かきっかけが見えるかも知れない」と、期待を示した。

 

◆高校生が競う仮想協同組合

 津田氏は、イタリアの、特にエミリア・ロマーナ州の協同組合(レガコープ)の若者に対する協同組合教育を紹介。同州では高校生を対象に「仮想協同組合設立支援プロジェクト」がある。
 若者に相互扶助と連帯の価値を伝えることを目的に、市レベル、自治体レベルでクラスごとにアイデアを競うコンクールを行う。上位3クラスが代表となって州のコンクールに進む。各クラスには州のレガコープからチューター(指導教官)を派遣する。
 この支援プロジェクトへの参加者は、2012年で、アイデア数74件。参加した静音は71クラス1497人に達する。このほか、中・高校生を対象にした独自の教育プロジェクトを実施している市もある。同氏は「エミリア・ロマーナ州は18世紀から協同組合が発達した地域であり、個々の市や自治体レベルで教育を行っていたが、欧州の金融危機で失業率が高まり、州全体で取り組む機運が高まってきた」と、プロジェクト取り組みの背景を説明する。

 

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