遺伝子組換えイネ・トウモロコシ等の使用承認に反対 生活クラブ生協・東京2016年3月1日
農水省と環境省は、「遺伝子組換えイネ、トウモロコシ及びワタの第1種使用等に関する承認申請案件」へのパブリックコメントを募集している(3月9日締切)が、生活クラブ生協・東京は、これに反対する意見を提出した。
生活クラブ生協では、従来から安全性への不安や環境汚染の懸念から、遺伝子組換え作物・食品は取り扱わないことを基本とし、遺伝子組換えに反対してきている。
一方、 国内ではすでに遺伝子組換え農産物11品目310件が承認され、さらに、農林水産省および環境省では新たな遺伝子組換え作物を承認しようと、2月9日に「遺伝子組換えイネ、トウモロコシ及びワタの第一種使用等に関する承認申請案件」に対するパブリックコメント募集を開始した。
これに対して同生協では、「今回の案件には遺伝子組換えイネも含まれ、一般農作物との交雑も懸念され、遺伝子汚染が起きた際の調査・賠償責任の法的整備もない中、実験栽培を容認することはできません」とし、さらに「生物多様性に関わる問題、審査過程への疑問など、遺伝子組換え作物の承認は多くの問題をはらむ」として、以下ような反対意見を2月25日に提出した。
【意見書の主な内容】
「遺伝子組換えイネ、トウモロコシ及びワタの第一種使用等に関する承認申請案件」については、以下の観点から容認することができません。
■多国籍企業戦略への対応について
既に承認された案件を含めて、全て特定の農薬と、それに耐性を持った種子を抱き合わせで販売する多国籍企業の戦略を国が追認するしくみとなっています。これらの企業の戦略は、種子の支配、農薬による環境汚染の点で重大な問題があります。そのような企業活動を、審査という形で国の予算を使ってお墨付きを与えるようなしくみ(「遺伝子組換え農作物のカルタヘナ法に基づく審査・管理に係る標準手順書」)を撤回すべきです。
■カルタヘナ国内法改正について
現行のカルタヘナ国内法では生物多様性影響評価の対象は「野生動植物」に限られています。しかし、現実的な生物多様性の保全に向けては、カルタヘナ国内法を改正し、交雑を防ぐ対象として農作物・外来種も含め、我が国に生育するすべての種を入れることに即刻取り組むべきことと考えます。
■予防原則について
遺伝子組換え技術は未知の部分があり、予防原則に立った監督が必要です。審査報告書の内容につきまして、 「...可能性が低いと考えられた。」「...ないと考えられる。」「...考えにくい。」「...考え難い。」という表現が多く見られます。明確なデータや根拠に基づいた判断というより、経験則や諸外国の文献・データの引用に終始した半ば結論ありきの印象がぬぐえません。
「想定外」という言葉は東京電力福島第一原子力発電所事故後、何度も耳にしました。そのような事態を招かないよう、「予防原則」に基づき最悪のシナリオを想定した審査を求めます。
■遺伝子汚染への懸念について
スギ花粉ポリペプチド含有イネの隔離ほ場は近隣に一般田畑があり、鳥や昆虫も侵入し、強風による花粉飛散の懸念があります。万が一遺伝子組換え作物による一般農作物への遺伝子汚染が起こったとしても、現在の日本には調査責任、賠償責任などの法的整備がないため、実験栽培を認可すべきでないと考えます。 トウモロコシとワタについては、 2,4-D(除草剤アリルオキシアルカノエート系)、ジカンバ、ラウンドアップ、バスタなど、複数の除草剤に抵抗力を持つもので、除草剤耐雑草の広がりが懸念されるため、より幅広い環境影響への評価を求めます。また、ラウンドアップについてはWHOが発がん性を認めたこともあり、人間の健康への影響を含めた生物多様性評価を求めます。
■審査手続きについて
審査については「遺伝子組換え農作物のカルタヘナ法に基づく審査・管理に係る標準手順書」(以下、「手順書」)に基づき、申請事業者が用意した資料への書類審査によって評価されています。「手順書」の序文では、国内には遺伝子組換えに対する懸念をする意見の存在を踏まえた上で、「より透明性の高い」審査が謳われていますが、そのねらいとはかけ離れた実態といわざるを得ません。12月21日の1回のみ開催された「生物多様性影響評価検討会総合検討会」では非公開の農作物分科会で承認されたことを前提としています。「開発企業の知的財産等が開示され特定の者に不当な利益又は不利益をもたらすおそれがあるため」とする非公開の理由ですが、立場が異なる学識経験者に同じ資料を提供して知見を求めることを排除する理由には相当しません。その見解も公開しながら広く国民の意見を求めるべきではないでしょうか。
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