農政:石破首相退陣に思う
【石破首相退陣に思う】破られた新しい政治への期待 国民民主党 舟山康江参議院議員2025年9月12日
石破茂首相が9月7日、緊急記者会見を開き退陣を表明した。農政に通じる首相として期待を集めたものの、米政策の具体化を前に辞任に追い込まれた政権の総括と、持ち越された課題への対応が問われている。国民民主党の舟山康江参議院議員に聞いた。
国民民主党 舟山康江参議院議員
自民の限界が退任劇へ
石破総理に対しては、ある意味で期待感を持っていました。というのも自民党のなかで党内野党的な立場でいろいろな新しい提案をしていたからです。農政でいえば直接支払いの導入も持論でした。ここで古い自民党とはある程度決別して新しい政治をつくってくれるのではないかという期待がありました。しかしこの一年、残念ながら期待が破られました。
確かに少数与党ではありましたが、もっと自分の足で立ち、私は野党の力を利用してくださいと言いましたが、結局、踏み切れなかった。自民党の限界というものが今回の退任劇につながったのではないかと思います。
熟議の原点噛み締めて
そういう古い政治に対し、我々は一貫して、作ろう新しい答え、対決より解決をと訴え、手取りを増やす政策を訴えたことが議席の4倍増という期待につながったのではないかと思っています。
次の総裁にはやはり少数与党であることをきちんと認識いただいたうえで野党の声に耳を傾けていただきたい。少数だろうが多数だろうが、国会なんですからきちんと野党の声を聞く。熟議するという原点を次の総裁にも噛み締めていただきたい。
直接支払い 世界の流れ
来年度予算の概算要求は、新しい農政と言いながらまったく代わり映えしないという気がしてなりません。基盤整備は大事ですが、営農する人たちの持続的な経営が担保できなければなりません。その一つに農地の価値、農業の価値を評価する直接支払いの手法があり、それは世界の流れから見ても必要です。そうした方向に舵を切る何かが見えてくるのかと思っていましたが、まったくありません。
もう一つ心配なのは、今の米の概算金です。米価の適正水準を考える必要があります。あまり高すぎれば米の消費にも影響があり、海外との競合にもさらされます。再生産可能な、いわゆるコストに見合った価格を考えなければなりませんが、だからこそ米の価値を価格とは切り離して支援するという直接支払いの手法というのも絶対に大事ではないかとなおさら思っています。
持続可能な農業のために手取りをきちんと確保するための支援策をどうするのか、要は消費者負担だけにまかせていいのかということです。財政負担で農業の価値をどう支えるか。それが結果として手取りにつながっていくと思います。
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