農業経営者を積極登用 食料・農業・農村政策審議会委員2017年7月31日
農水省は7月26日、本省で食料・農業・農村政策審議会を開き、会長の選任と大幅に入れ替わった新任の委員の意見を聞いた。委員の互選で、新たな会長に東京大学大学院教授の中嶋康博氏を選んだ。委員は19人で、うち15人が新任。実際に農業を行なっている農業経営者の登用が目立つ構成になった。
審議会は食料・農業・農村基本法による基本計画策定にあたって意見を聴くため農水省内に設けられたもので、委員は農水大臣が任命する。農業に詳しい学識経験者や農業者、農業団体、食品業界、マスコミの代表などからなる。
新しく任命された委員には、実際に現場で農業を行なっている個人や法人の関係者が多いのが特徴で、非農家の出身で、福島県で果樹経営を営み、GAP認証取得に挑戦する女性や、都市近郊180haの水稲を栽培する千葉県の担い手、同じく千葉県の酪農家の女性、熊本県で80人の従業員を使う養豚とキャベツを経営する女性社長などが含まれる。
委員の互選で会長に就任した東京大学大学院教授の中嶋康博氏は「このところ、40歳以下の人の就業者が増えており、農業政策改革の成果が出て、明るい兆しが見られる。委員の皆さんの意見を伺いながら、与えられたミッションを果たしていきたい」と語った。
次いで審議会では新しい委員がそれぞれ農業についての所見を表明した。委員は学者、農業参入の企業・個人、農業関係団体の代表に大別されるが、この中では、農業参入企業の委員からは、「輸出の拡大によって、世界の農業のモデルを提示したい」「農業従事者が減ることは、マーケットが広がり、農業にとって大きなチャンスだ」「農業分野で、ロボットなどを使ったテクノロジーでは世界で先行している」などの発言があった。
一方で同じ農業参入でも家族や個人、あるいは地域とのつながりが強い経営の委員からは「国は強い農業をというが、抽象的で分かりにくい。数字などデータの裏付けが必要だ」「人と食、環境の未来のために農業を発展させたい」などの意見があった。
出席した農水省の奥原正明事務次官は「農業に前向きの意見が多かった。世界を視野に入れ、輸出も含めて儲かる農業をめざすことは、国の政策とも合致する。担い手の創意工夫で農業を成長産業に育てるため、定着とは行かなくても、成果が上がるところまで審議会で議論してほしい」と期待を述べた。
一方、併せて同日企画部会を開き、新たな部会長に東京大学大学院の大橋弘教授を選んだ。なお、JA全中会長は8月の新会長就任後委員に加わる見通し。
新委員は次の通り(あいうえお順)
▽有田芳子(主婦連合会会長)
▽伊藤雅俊(味の素(株)代表取締役取締役会長)
▽大橋弘(東京大学大学院経済学研究科教授)
▽大山泰((株)フジテレビジョン報道局取材センター室長)
▽加藤百合子((株)エムスクエア・ラボ代表取締役)
▽上岡美保(東京農業大学国際食料情報学部国際食料科学科教授)
▽栗本めぐみ(KURI BERRYFARM)
▽近藤一海((公社)日本農業法人協会副会長)
▽佐藤ゆきえ(農業生産法人(有)まるせい果樹園)
▽染谷茂(柏染谷農園代表)
▽高島宏平(オイシックスドット大地(株)代表取締役社長)
▽知久久利子(知久牧場)
▽十倉雅和(住友化学(株)代表取締役社長)
▽中嶋康博(東京大学大学院農学生命科学研究科教授)
▽前田佳良子(セブンフーズ(株)代表取締役社長)
▽松尾直人((株)ラルズ常務取締役)
▽三輪泰史((株)日本総合研究所創発戦略センター シニアスペシャリスト)
▽柚木茂夫((一社)全国農業会議所専務理事)
▽渡邉紹裕(京都大学大学院地球環境学堂教授)
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