牛肉セーフガード 14年ぶり発動-農水省2017年7月31日
8月1日冷凍牛肉対象
山本農相は7月28日、冷凍牛肉の第1四半期(4~6月)輸入量が関税緊急措置(セーフガード)の発動基準数量を超えたため、関税暫定措置法に基づきセーフガードが発動されると発表した。8月1日から冷凍牛肉の関税が38.5%から50.0%に引き上げられる。発動期間は来年3月31日まで。緊急関税措置の発動は平成15年以来、14年ぶりとなる。
今回の輸入牛肉に対するセーフガード(関税緊急措置)は、ウルグアイ・ラウンド農業合意で50%の関税を段階的に38.5%まで削減する代わりに、輸入量が一定以上増加した場合に自動的に関税率を50%に戻すことに米国、豪州など関係国で合意した措置だ。ただ、豪州、メキシコ、チリ等、わが国との間でEPA(経済連携協定)が発効している国からの輸入牛肉には、それぞれの協定にセーフガード規定があるため、今回の措置は発動されない。
発動基準は輸入数量が▽全世界からの輸入量が前年度の117%超、▽EPAが発効していない国からの輸入量も117%超、の2つの条件を満たすこと。冷凍牛肉の4~6月の全世界からの輸入量は8万9253tで発動基準数量8万9140tを超えた。また、EPA未発行国からの輸入量は3万7823tで基準数量3万5468tを超えた。
この関税緊急措置は冷凍牛肉と生鮮・冷蔵牛肉とを区分して発動基準数量を設定しており、生鮮・冷蔵牛肉は第一四半期の輸入量が基準数量を超えていないため発動されない。
農水省によると冷凍牛肉はハンバーグ、ファストフードなど加工・外食用が多く、このうち関税引き上げの対象となるのはEPA未発効の米国、カナダ、NZ、EUなど。輸入牛肉全体の2割ほどだが、米国産が中心だ。 日本は米国産牛肉の最大の輸出先国で全輸出量に占める日本の割合は26%でついで韓国18%となっている(28年度)。
米国では平成23年から26年にかけての干ばつで飼料不足から牛の前倒し出荷の増加で供給量が増加した。その後、生産基盤を再構築しようと繁殖雌牛を保留させたため26年から27年には出荷量が減少して現地価格は上昇した。
その後、28年からは生産が堅調となり現地価格は前年を下回り、価格競争力を強めたことで輸出量は対前年比13%増となった。
財務省の貿易統計によると米国産冷凍牛肉の価格(CIF価格)は27年度が1kg511円だったが、28年度は同370円と下がっている。今年4~6月は同402円だが、豪州産の同432円よりも安くなっている。
ただ、今回の発動基準数量を超える輸入増加の要因は米国と中国の経済対話の影響があるという。4月6日の米中首脳会談での合意内容を受け、5月11日に米商務省は中国が7月16日までに米国産牛肉の輸入を再開するという計画を発表した。中国の輸入条件は▽30か月未満の牛に由来する牛肉、牛肉調整品、▽トレーサビリティの確保、▽ラクトパミンを含む成長ホルモン剤の不使用などである。
この4月の米中合意が公表されて以降、中国が米国産牛肉の買付け量を増やすとの思惑から5月から輸入が急増した。牛肉輸入量の全体は、4月は対前年比98.7%だったが、5月は121.7%、6月は127.4%と急増し発動基準数量を超えた。
この措置は基準数量を超えれば自動的に発動されることが関係国で合意されている。山本農相は「米国に丁寧に説明していくことを、農水省も外務省も関係省庁一丸となってやっていこうという決意」と述べた。
重要な記事
最新の記事
-
米の作況指数の公表廃止 実態にあった収量把握へ 小泉農相表明2025年6月16日
-
【農協時論】米騒動の始末 "瑞穂の国"守る情報発信不可欠 今尾和實・協同組合懇話会委員(前代表)2025年6月16日
-
全農 備蓄米 出荷済み16万5000t 進度率56%2025年6月16日
-
「農村破壊の政治、転換を」 新潟で「百姓一揆」デモ 雨ついて農家ら220人2025年6月16日
-
つながる!消費者と生産者 7月21日、浜松で「令和の百姓一揆」 トラクターで行進2025年6月16日
-
【人事異動】農水省(6月16日付)2025年6月16日
-
3-R循環野菜、広島県産野菜のマルシェでプレゼント 第3回ひろしまの旬を楽しむ野菜市~ベジミル測定~ JA全農ひろしま2025年6月16日
-
秋田県産青果物をPRする令和7年度「あきたフレッシュ大使」3人が決定 JA全農あきた2025年6月16日
-
JA全農ひろしまと広島大学の共同研究 田植え直後のメタンガス排出量調査を実施2025年6月16日
-
生協ひろしま×JA全農ひろしま 協働の米づくり活動、三原市高坂町で田植え2025年6月16日
-
JA職員のフードドライブ活動で(一社)フードバンクあきたに寄贈 JA全農あきた2025年6月16日
-
【地域を診る】「平成の大合併」の傷跡深く 過疎化進み自治体弱体化 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年6月16日
-
いちじく「博多とよみつひめ」特別価格で予約受付中 JAタウン2025年6月16日
-
日本生協連とコープ共済連がともに初の女性トップ、新井新会長と笹川新理事長を選任2025年6月16日
-
【役員人事】日本コープ共済生活協同組合連合会 新理事長に笹川博子氏(6月13日付)2025年6月16日
-
【役員人事】2027年国際園芸博覧会協会 新会長に筒井義信氏(6月18日付)2025年6月16日
-
農業分野で世界初のJCMクレジット発行へ前進 ヤンマー2025年6月16日
-
(一社)日本植物防疫協会 第14回総会開く2025年6月16日
-
農業にインパクト投資を アンドパブリックと実証実験で提携 AGRIST2025年6月16日
-
鳥取・道の駅ほうじょう「2025大大大スイカフェスティバル」22日まで開催中2025年6月16日