需要に応じたコメ生産に向け全国組織が発足2017年12月22日
30年産からの米政策の見直しをふまえ、生産者や集荷業者・団体が中心となって円滑に需要に応じた生産を行うための全国組織が12月21日に設立された。会合では取り組み方針を決め、主食用米は国が需給見通しで示した生産量735万tに基づいた生産に取り組むとし、都道府県段階・地域段階の農業再生協議会にこの方針が反映されるよう働きかけるとした。
JA全中の中家会長は「食料の安定供給のためには需給と価格の安定が不可欠。30年産からの見直しによってこの安定が損なわれてはならない」と強調し、全国組織にはマーケットインに基づく需要者と産地のマッチング支援や、需要に応じた生産に向けた関係者の主体的な取り組みの促進という機能の発揮が求められていると話した。
(写真)東京・大手町のJAビル開いた設立総会。あいさつするJA全中の中家会長。
また、都道府県と地域の農業再生協が需要に応じた生産の主体的の取り組むよう協力も求めた。
来賓として出席した宮腰光寛・自民党農業基本政策検討委員会参与は27年産から3年連続で過剰作付けを解消したものの、「高価格帯の米が売れ残り、中食・外食用にニーズのある米が足りないという状況が続いている」として「生産、流通、消費の3つが安定していることが日本の食を支えることにつながる。需要と供給のマッチングを図っていただきたい」と呼びかけるとともに、国も米穀周年供給・需要拡大支援事業などを通じて「継続的に支援していく」と強調した。
全国組織の名称は「全国農業再生推進機構」。主食用米だけでなく麦、大豆、飼料用米なども含めた水田農業全体として需要に応じた生産に取り組むことをめざす。なかでも主食用米の生産では消費割合が増えている中食・外食向けの米生産と販売先との結びつけが課題となる。
設立総会では全国組織の規約を決めた。活動の目的は「食料自給率や自給力の向上、消費者への安全・安心な国産農畜産物の提供、多面的機能の発揮等の観点から水田フル活用をはかり、全国段階の関係団体等が連携して需給環境やマーケットインの取り組みをふまえた、需要に応じた生産の取り組み等を推進する」とした。
活動の内容は▽マーケットインにもとづく実需者と産地とのマッチング支援、▽関係先との情報共有など。
設立総会では「平成30年産における需要に応じた生産に向けた取組方針」も決めた。
方針では、主食用米については国が基本指針で示した生産量735万tに基づくことを決めた。実現のために用途や品種、品目別の需要の内訳もふまえ需要者と産地とのマッチングや、マーケットインに基づくきめ細かな対応をする。また、安定取引を促進するため複数年契約や播種前・収穫前契約の締結促進にも取り組む。
こうした方針が反映されるよう都道府県・地域の農業再生協議会と需給情報を共有し過剰生産とならないよう働きかける。
全国組織は来年1月にも総会を開き30年産に向けた取り組みを協議する。
設立総会で会員となったのは16団体。会合には米卸団体や外食事業者団体などもオブザーバーとして参加した。JA全中が事務局となる。
【全国組織会員】
JA全中、JA全農、一般財団法人全国豆腐連合会、一般社団法人全国農業会議所、協同組合日本飼料工業会、公益社団法人日本炊飯協会、公益社団法人日本べんとう振興協会、公益社団法人米穀安定供給確保支援機構、国産米使用推進団体協議会、全国稲作経営者会議、全国加工米需要者団体協議会、全国主食集荷協同組合連合会、全国米穀工業協同組合、日本米粉協会、日本豆腐協会、日本米穀小売商業組合連合会。
(関連記事)
・稲作の拠点をフィリピンに新設 BASF(17.12.08)
・30年産米生産量 全国735万t(17.12.08)
・30年産米 需要とのマッチング 継続支援を-自民が政府に要請決める(17.11.28)
・30年産の価格が分かる「コメ先物市場」(17.11.06)
・「髙木報告」って、ホンマでっか!?(17.07.19)
・【米生産・流通最前線2017】コメ業界 地殻変動は確実(17.04.19)
重要な記事
最新の記事
-
「令和の米騒動」と水田政策の未来 事後調整の必要とJAの機能 西川邦夫茨城大教授に聞く(2)2025年7月17日
-
【注意報】早期・普通期水稲に穂吸汁性カメムシ類 県下全域で多発のおそれ 長崎県2025年7月17日
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 愛知県2025年7月17日
-
【注意報】斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 福島県2025年7月17日
-
全国の優績LA322人、27県の62チームを表彰 原点に立ち返り確かな一歩を JA共済連2025年7月17日
-
25年産米概算金、南国そだち2万2700円に 「相場見極め有利販売に注力」 JA高知県2025年7月17日
-
【地域を診る】能登半島地震から1年半 地域の農林漁業と医療・福祉を軸にした地域再生の必要性 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年7月17日
-
造花が増加【花づくりの現場から 宇田明】第64回2025年7月17日
-
ナガイモの産地間競争と国際化【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第349回2025年7月17日
-
【'25新組合長に聞く】JAにしうわ(愛媛) 井田敏勝氏(6/26就任) 高品質のみかん、全国に届ける2025年7月17日
-
令和7年度「田んぼの生きもの調査」を実施 JA全農あきた2025年7月17日
-
令和7年度「第3回農業体験研修」を実施 草刈り作業などに取り組む JA全農あきた2025年7月17日
-
JA全農福島とテレビユー福島(TUF) 新コーナーで直売所「愛情館」から農畜産物PR2025年7月17日
-
令和7年度JA全農東北地区野球大会でJA全農福島が3位に2025年7月17日
-
「福島県産ももセリ台PR」を実施 県オリジナル品種「はつひめ」1箱10万円で取り引き JA全農福島2025年7月17日
-
最新・スマート農機の実演や展示も 福岡で「あぐりフェスタ2025」 JA全農ふくれん2025年7月17日
-
JA鹿本でジャンボスイカ品評会開催 最優秀は119キロの超特大果実2025年7月17日
-
鳴門市×おてつたび×JA里浦「半農半X」推進シェアハウス事業「なると金時編」開始2025年7月17日
-
農業ロボット開発のレグミンへ出資 AgVenture Lab2025年7月17日
-
北海道森林組合連合会のWEBメディア「森のしごと帖」スタート2025年7月17日