鳥獣被害約172億円 28年度2018年1月22日
農林水産省は1月19日、平成28年度の野生鳥獣による農作物被害状況を公表した。被害金額は全国で約172億円となった。
被害金額は前年度にくらべて約5億円減少した。(対前年比3%減)。被害面積は約6万5000haで前年度にくらべて約1万減6000ha減少した(同19%減)。被害量は49万tで約1万t減った(同2%減)。
主要な獣種別の被害金額はシカ=約56億円(同3億円減、5%減)、イノシシ=約51億円(同約6000万円減、1%減)、サル=約10億円(同約6000万円減、5%減)となっている。
野生鳥獣による農作物被害額は、全国で200億円を超えていたが、昨年は170億円にまで減少した。被害の全体の7割がシカ、イノシシ、サルが占める。また、森林の被害面積は全国で年間8000ha。このうちシカによる被害が約8割を占める。
鳥獣被害は営農意欲をなくさせ、耕作放棄地と離農の増加に拍車をかける。1月16日に開かれた食料・農業・農村政策審議会企画部会で委員のJA全中・中家徹会長は被害額は減少傾向にあるが、「被害にあうと農家は翌年はそこで作付けをしない。営農機会の損失をもたらしており、予想以上に被害は大きい」と実態を指摘した。
鳥獣被害は森林の下層植生の消失などによる土壌流出や貴重な植物の食害、さらには車両との衝突事故などの被害もあり、農水省も「被害額として数字に表れる以上に農山漁村に深刻な影響を及ぼしている」としている。 シカの推定固体数は約304万頭(北海道を除く)で25年間で約10倍に増加した。イノシシは同期間に約3倍に増加し推定固体数は約94万頭となっている。
農水省と環境省は平成25年に「抜本的な捕獲強化対策」を決めている。平成35年までにシカとイノシシの生息頭数を半分の約205万頭まで減らす目標を立て、都道府県による個体数調整の強化、ICTなどを用いた捕獲技術の高度化、出口対策としてジビエの活用促進などに力を入れている。
捕獲頭数は増えシカ・イノシシで年間100万頭を超え、平成27年はイノシシ55万頭、シカ58万頭に達する。市町村が作成した被害防止計画の取り組みを総合的に支援する鳥獣被害防止総合対策交付金は30年度予算で104億円を計上している。
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