生活クラブがエネルギー基本計画に意見書提出2018年6月22日
・原発ゼロ、再生可能エネルギーへ
生協の生活クラブ連合会は、第5次エネルギー基本計画の意見募集に対し、原発ゼロ、再生可能エネルギーへのシフトをすすめるための意見を提出した。
経済産業省は5月16日、第5次エネルギー基本計画案を発表した。これに対して生活クラブは、「2030年に向けたエネルギー需給計画は3年前に発表したフレームとの変更はなく、再生可能エネルギーにシフトしている世界の情勢と逆行し、原発と石炭火力重視の計画で全く見直しになっていない」として、 原発ゼロ、再生可能エネルギーへのシフをすすめるための意見を提出した。
◎意見の全文は以下の通り
1.エネルギー政策の基本視点として「S+3E(安全性+環境・経済・安全保障)」の実現と巨大リスクを抱える原子力発電を止めて原発ゼロを政策決定すること。
1)原子力発電については、すべての判断の大前提として安全の確保と国民の理解が最優先されるべきです。現状は、原発の再稼働について反対が賛成を大きく上回る結果となっています。
2)日本原燃が六ケ所の再処理工場の完成の23回目の延期を決定しました。核燃料サイクルは明らかに失敗であるとの判断が必要です。さらに使用済み核燃料の処理、高レベル廃棄物問題など見通しも立っていません。
3)こうした状況において原発の再稼働をすすめるべきではありません。早急に原発ゼロを政策決定し、再エネに舵を切ることが重要です。
2.2050年までに電力を再生可能エネルギー100%に転換することをめざすこと。
1)巨大リスクを抱える原子力発電所への固執を止め原発ゼロを政策決定すると共に自然エネルギーとエネルギー利用効率化を重視する地域分散型のエネルギーシステムへ転換する。純国産エネルギーである自然エネルギーを基幹エネルギーと位置づけ電力系統などのインフラ整備をすすめ、2030年エネルギー基本計画に再生可能エネルギーの高い導入目標を設定すること。原発はゼロとし、再エネを40%以上の目標設定とすること。
2)現在、日本では2030年目標「22%~24%」を上回るテンポで導入がすすんでいます。世界各国では2030年に40%程度の導入目標を立てています。目標の引き上げが必要です。
3)再生可能エネルギーの導入拡大に向け、電力系統への接続拡大と電力システムの柔軟性の向上をすすめること。再エネの送電線への優先接続と優先給電を基本的な考え方として決定し再エネ導入を推進するための電力システムの柔軟な運用が必要です。再エネの優先接続・優先給電を原則とした上で既存系統の最大活用を観点とした送電線利用ルールを決めるべきです。
4)再生可能エネルギーの発電コスト削減を拒む人為的な障害をなくすこと。
既存の電力会社が系統接続を拒み、 出力抑制を行なえる仕組みや、風力の農地への立地を困難にする規制などをなくす必要があります。
3.エネルギー効率化を基本的な考え方として「省エネ」推進・対策を検討すること。
1)徹底した省エネルギー、エネルギー利用のスマート化、人口減少など構造の変化に対応したエネルギー消費のあり方を追求し、エネルギー使用量の大幅削減をめざすべきです。
2)そのために、すでにEUで導入されている新築建物への省エネ基準適合の全面義務化や既存建物の断熱改修の促進、自然エネルギー熱利用の義務化、炭素税の導入など、省庁を横断した法制度も含めた検討をすすめること。
4.パリ協定の目標を達成するために、 石炭火力発電対策を早急にすすめること。
世界では、 火力発電の中でも多量のCO2を排出する石炭火力発電所から撤退を打ち出しています。日本では2016年度は石炭火力で30%発電し、2030年になっても26%を想定しています。そのためには、42基(約2000万kw)の新増設計画が進行中です。大量の新増設は温室効果ガス削減目標の達成を困難にするだけでなく、日本の国際的な評価を低下させるものです。石炭火力からの撤退をエネルギー基本政策に位置づけ、新規火力発電所の排出係数規制や段階的な廃止をすすめていくこと。
5.情報公開と市民参加を促進すること。
エネルギー政策は多くの国民にとって大きな関心事です。 これまでの供給者中心のエネルギー政策から需要者サイドを重視した国民参加の政策へと転換していくことが必要です。
国民がエネルギー政策に積極的に参加できる仕組みづくりを行ない透明性の高いエネルギー政策の構築、そのための情報開示を促進すべきです。
(関連記事)
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