政府「包括的FTAではない」-日米TAG2018年10月2日
自民党は10月1日、TPP・日EU等経済協定対策本部(森山裕(※異体字)本部長)を開き茂木敏充経済再生担当大臣が米国との新たな通商交渉についての合意事項を説明した。今回合意したのは日米物品貿易協定(TAG)を先行して締結するための交渉入りに合意したと強調し、サービスや投資など含む「包括的なFTA」とは異なる強調した。
会合では自民党議員からFTA(自由貿易協定)とどこが違うのかといった指摘や、物品貿易交渉で日本が攻める分野は何か、結局は農産品が前面に出て交渉が動き始めるのではないかなどの懸念が出た。
茂木大臣はTAGはサービスや投資などを含む通商協定を日本政府はFTAとしており、今回のTAGはそうした「包括的なFTAとは異なる」と説明した。ただし、日米共同声明の4項では物品貿易協定の議論が終わったあとに、「他の貿易・投資の事項についても交渉を行うこととする」と明記されている。会合では出席議員から「切り分けているようでつながっているのではないか」との疑問も出たが、政府側の説明はそれには答えず「何を交渉するかは決まっていない」との説明にとどまった。
また、物品貿易協定の交渉と並行して、早期に結論が得られる通関手続きなど物品貿易に関わる非関税障壁についても交渉を行うことを明らかにした。ただ、米国からは今回の協議では具体的な要望は出なかったという。 また、茂木大臣が強調したのは農林水産品について「過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許内容が最大限である」ことを、米国政府も「尊重する」との文言で明記したこと。TPP協定の文字はないが日本にとって過去最大の市場開放約束となるのはTPPのため、TPPが最大限の譲歩水準だと説明した。また、この水準は交渉のスタートだけではなく「最終的にも維持することを(ライトハイザー米通商代表にも)明確に伝えている」と強調した。
政府はTPPが最大限の譲歩という「日本の立場をピン止めした」ことについてこの立場を明確にしなければ国内での理解が得られないだけなく、TPP11加盟国との協定内容にも影響を与えること、また、逆に米国のTPP復帰を促すことにプラスにもなるなどと話し、内閣官房TPP等政府対策本部の澁谷和久政策調整統括官はTAG交渉は「ほぼTPPと同じものになるのではないか」と見方を示した。
また、今回の合意では自動車を交渉に乗せること自体が合意されたことを政府として評価し、TPPで鉄鋼や化学品など鉱工業品はすべて関税撤廃に合意したとして、日米交渉でも鉱工業品でTPPと同水準を目指すとしたが、「今後の交渉次第。すべてこれからの議論」とした。
森山本部長は「農林水産物についてTPP以上のものはないことが確認できたことは評価される。出口もTPP合意水準でなければならない」と話した。
(写真)日米交渉について説明する茂木大臣
(関連記事)
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