病害虫「ツマジロクサヨトウ」九州6県で発生を確認 農林水産省2019年7月18日
イネやトウモロコシに寄生する病害虫のガ、ツマジロクサヨトウの幼虫が7月3日、国内では初めて鹿児島県で見つかったのを皮切りに、12日時点で長崎、熊本、大分、宮崎、沖縄の5県でも見つかり、6県30自治体に広がっていることが確認された。今後、さらに発生が広がる可能性もあり、農林水産省と各県などは、農薬散布による防除などを呼び掛けている。
◆飼料用トウモロコシで被害
各県の発生状況は、熊本県で8日に県北の飼料用トウモロコシほ場でツマジロクサヨトウの幼虫(写真)による食害を確認。宮崎県は、7月上旬から中旬にかけて都城市や小林市など5市町の飼料用とうもろこしのほ場でツマジロクサヨトウ類の幼虫による食害を確認した。
また、長崎県では、9日から12日にかけて行った県内のツマジロクサヨトウの緊急発生調査で、飼料用トウモロコシのほ場で幼虫と成虫の寄生を確認。大分県は12日、豊後大野市の飼料用トウモロコシのほ場で確認した。また、沖縄県は11日に本島北部の飼料用トウモロコシのほ場で同害虫による食害が認められた。
飼料用トウモロコシの食害状況
ツマジロクサヨトウの幼虫はいずれも飼料用トウモロコシで確認されたが、農水省や県が挙げる寄生植物は、アブラナ科(カブ等)、イネ科(イネ、トウモロコシ、サトウキビ等)、ウリ科(キュウリ等)、キク科、ナス科(トマト、ナス等)、ナデシコ科、ヒルガオ科(サツマイモ等)、マメ科(ダイズ等)など広範囲に及ぶ。
幼虫の頭部と幼虫の尾部
被害としては、幼虫が植物の茎、葉、花ならびに果実を食害し、若齢幼虫は葉を裏側から集団で加害し、成長すると加害しながら分散するという。
ツマジロクサヨトウの形態は、終齢幼虫は体長約40ミリ。卵は寄主植物に塊状に産み付けられ、メスの体毛で覆われる。成虫は開張約37ミリで、雌雄で外観が大きく異なり、オスのみ前翅中央部に黄色い斜めの斑紋を持つ。
農水省や県が作成した主要な作物ごとの薬剤防除に使える農薬一覧には、飼料用とうもろこし、未成熟とうもろこし、とうもろこし(子実)、サトウキビ、水稲、稲(箱育苗)、さつまいもについてそれぞれ防除に使える農薬と使用法法などを紹介している。
参照:使用可能な農薬一覧
ツマジロクサヨトウは南米や北米の熱帯地域が原産のガで、アフリカやアジアで急速にまん延。幼虫が農作物の葉や茎、花、果実を食い荒らし、アフリカではトウモロコシ生産が大きな打撃を受けたという。
同省では早期発見が重要であることから、疑わしい虫を見つけた場合は、都道府県病害虫防除所または植物防疫所へ連絡を呼びかけている。
(写真提供:大分県農林水産研究指導センター農業研究部 病害虫対策チーム)
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