生産基盤強化と災害復旧-令和元年度補正予算5800億円2019年12月17日
政府は12月13日に令和元年度補正予算を決定、農林水産関係は総額5849億円となった。総合的なTPP等関連政策大綱に基づく政策や災害復旧などの予算が措置された。
◆担い手育成を支援
TPP関連対策大綱の関連予算は合計3250億円。農林水産業の担い手の確保・育成、経営基盤強化緊急対策では、就職氷河期世代や50代の就農希望者の研修に必要な資金を交付するなどの支援をする。また、人・農地プランに基づき農地中間管理機構が活用されている地域で先進的な農業経営の確立に意欲的に取り組む地域の担い手が農機や施設を導入することを補助金の交付などで支援するほか、優先枠を設定しスマート農業の導入を推進する。
助成対象者は人・農地プランに位置づけられた中心経営体の認定農業者や集落営農組織など。総額で64億円を措置する。
担い手への農地集積・集約化を加速化するため農地の大区画化や排水対策、水管理の省力化のための整備を推進する事業に270億円を措置する。
また、棚田地域振興法に基づく棚田保全・振興に必要な調査の実施や景観修復等の環境整備を支援するとともに、基盤整備と生産・販売施設等の整備を総合的に支援する。一部公共事業を含め総額で282億円を措置する。
◆牛の増頭・増産に243億
畜産・酪農収益力強化のため和牛・乳用牛の増頭・増産対策に243億円を措置する。繁殖雌牛、乳用後継牛の増頭に「増頭奨励金」を交付するほか、公共牧場・試験場などのフル活用、肉用牛・酪農経営連携による和牛受精卵の増産・移植の推進などを支援する。
増頭奨励金は、繁殖雌牛50頭未満の規模には1頭24.6万円、50頭以上規模には同17.5万円とする。乳用後継牛には同27.5万円とする。公共牧場や試験場に対しては1頭24.6万円を交付する。
これらの対策により繁殖雌牛の飼養頭数を平成30年の61万頭から令和12年に80万頭に増やすことを目標とする。
増頭・増産を支える環境整備として、堆肥の高品質化やペレット化など、耕種農家のニーズに対応した「土づくり堆肥」の生産・流通や海外輸出を促進する取り組みを支援する。堆肥の販売量は現在の620万tから令和6年度に680万tとする。また、国産食肉の生産・流通体制の強化と輸出拡大を図るため家畜市場と食肉処理施設の再編合理も支援する。
台風15号、19号などの災害からの復旧・復興等関連予算は計2144億円。被災した農業者の農業経営の維持を図るため施設の撤去を含む農業用ハウス・農業用機械等の再建・修繕の支援や、追加的な種子・種苗の確保、倉庫の浸水で米が出荷できなかった農業者に対して営農再開のための土づくりや種苗など資材準備を支援する。
CSF・ASFへの対策では、家畜伝染病予防法に基づく都道府県が実施する検査や消毒ポイントの運営経費等を支援する(57億円)。また、ワクチンを安定供給するための製造施設・設備の増強を支援するとともに、消毒機器の設置などの地域一体となった農場のバイオセキュリティ向上のための取り組みを支援する(59億円)。
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