肥料高騰対策の農家支援 化学肥料の2割削減要件に異論続出 自民の会合2022年7月25日
自民党は7月22日に肥料価格高騰対策を議論する農林関係の合同会合を開いた。出席した議員からは支援の要件に、農水省が化学肥料の使用量の2割削減をあげていることに対し「厳しい」「根拠はあるのか」などの反論が続出した。肥料価格高騰対策を議論する自民党の会合は25日午後も開かれる。
会合ではJA全中の中家徹会長が団体要請。飼料や燃油などで措置されているような飼料価格高騰の影響緩和対策の構築を求めた。
農水省は土壌診断を実施して適正な施肥を検討するなか、化学肥料の2割削減に取り組むことを支援の要件としている。中家会長は団体要請のなかで「2割削減は2030年目標。今年からではハードルが高い」と述べた。
出席議員からは「今回は価格高騰対策。2割の根拠はどこにあるのか」、「農業のグリーン化ではなく高騰対策だ。取り組み要件をいくつか提示し、そのなかから取り組みを選ぶ仕組みにすべきだ」などの意見が相次いだ。
また、2008年の肥料価格高騰を機に化学肥料の低減に取り組んでいる生産者も多く「さらに削減は厳しい。これまでの努力が反映される仕組みとすべき」、「削減への取り組み姿勢を評価するなからまだしも、(削減を要件とするのは)乱暴ではないか」などのすでに努力している人をどう評価するかも重要との意見も出た。
JA単位で土壌診断を行うことと、削減の方向を示せば支援するという簡単な仕組みにすべきとの意見もあった。
支援水準についての異論はなかったものの「本当に肥料価格上昇分の7割をもらえるのか」との声が生産者から出ているとの指摘もあった。化学肥料の使用量を2割削減するとすれば「実際は8割に対して7割の支援。56%の支援ではないか」と疑問の声も上がった。単純な支援策として「ガソリンと同じように緊急経済対策として肥料原料の元売りに対して支援するほうがスムーズで決着も早い」との指摘もあった。
また、政府は来年の春肥も対象とした仕組みをつくる方針だが、今回は政府の予備費を使うことから「秋肥に対する緊急支援として実施し、春肥からは新たな制度を検討していくべきだ」と、緊急対策と本格的な仕組みづくりを切り離すべきだとの意見もあった。「今回の予備費で行う範囲と(対策の)立ち位置を明確に」との指摘もある。
また、算定式が示されなければ生産者はどれだけ支援を受けることができるのかが分からないとの声も出た。
これらに対して農水省は、2割削減は化学肥料についてであり、それに替わり国内の肥料資源へ転換を進める重要性を強調した。ただ、これまでの化学肥料削減の努力をどう評価するか「具体化していきたい」と述べるとともに「算定式をつくって示していきたい」と回答した。
江藤拓総合農林政策調査会長は「国から支援を得たいから減肥して農産物の出来が悪くなって収入が減ったというのでは本末転倒」と述べるとともに「農家が離農してしまえば食料安全保障もなにもない。がんばっている人たちが倒れないよう今回は農家を支援する」として月末の閣議決定に向けて制度設計を急ぐ考えを示した。
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