「消費者の理解が第一」コンソーシアム設置へ 岩佐哲司・JAぎふ代表理事組合長 農協研究会2022年9月7日
実践段階に入った「みどりの食料システム戦略(みどり戦略)」をテーマに、9月3日に開かれた研究会(農業協同組合研究会主催、農協協会協賛)。JAぎふの岩佐哲司代表理事組合長は、有機農業を進めるうえでも消費者の理解が必要だと強調し、近く消費者にも参加してもらうコンソーシアム(協議体)を創設する取り組みことなどを報告した。
JAぎふ代表理事組合長 岩佐哲司氏
誇りに感じられる農業目指す
JAぎふは10年後の活力ある農業と地域をめざす中期経営計画・地域農業ビジョンを策定し、今年初年度のスタートを切りました。活力ある農業・地域とは、生産者が「よいものを作っている」という誇りとプライドを持つことであり、消費者から「ありがとう」と言われることを誇りに感じられる農業を目指したい。いま生産者はその誇りを失っているのではないかと感じています。
有機農業にも取り組みますが、そこには二つの問題があります。一つは生産者にとって、有機農産物の「作り方が分からない」「手間がかかる」こと。一方、消費者にとっては「有機農産物は食べたいが、値段が高いものをなぜ買わなければならないのか」ということです。そこはやはり「あのおいしい農産物を食べたい」とい思われるように消費者の意識を変える必要があります。
地元資源でたい肥づくり
有機農業にはたい肥づくりが重要です。たい肥センターはありますが、中熟のたい肥までしかできません。微生物が活発に活動できるたい肥ペレットなどを研究しています。「みどり戦略」にもあるように、特に地元にある資源を生かし、化学肥料に近い効能のあるたい肥をつくりたいと考えています。
「有機やるほど、勇気なし」というところでしょうか、生産者にとって有機農業に踏みきるには大きな不安があります。それを軽くするため、JAで栽培暦を作る必要があります。
中期経営計画では地産地消から〝地消地産〟へシフトします。農業は土地・気候の制限があり、適地適作が基本だと思いますが、いまは消費者の望むものを供給しないと応援してもらえません。
土づくりでは緑肥が効果的ですが、市街化区域などではその土地がないという問題があります。だからたい肥あるいは有機資材で土壌改良を目指すというのが、いま考えていることです。
消費者理解情勢へコンソーシアム設置へ
また過剰施肥を防ぐため、土壌分析器を9台入れました。有機農業が広がると土壌分析だけでなく、微生物の量がわかる機械も必要になると思っています。これから農家を回り、一部は無料で実施したい。これを提案したとき、専業農家から大きな反響がありました。
簡易コンポストにも取り組みます。段ボールに基材(ピートモス、くん炭)を入れた簡易なもので、それで野菜を生産してもらい、消費者の理解を促す考えです。
なお、有機農業に対する消費者の理解を醸成するにはコンソーシアムの設置が必要だと考えています。それには有機農業について、独自の定義を行い、格付けと栽培方針を決める必要があります。それに基づいて地域内外の関係者と一丸となって、生産から消費まで一貫した取り組みが必要だと考えています。
(関連記事)
・「カギ握るのは消費者」「資材高騰の中で活用を」「みどり戦略」めぐり報告・討論 農協研究会主催(2022.9.5)
・【報告1】農水省みどりの食料システム戦略グループ長の久保牧衣子氏
「肥料高騰の中、地域に応じて交付金など活用を」「みどり戦略」推進へ 農水担当者が呼びかけ 農協研究会(2022.9.6)
・【報告3】元JA全青協会長 飯野芳彦氏
100年後に成果出せる施策を 伝統農業を見直すべき(2022.9.8)
・【討論】農水官僚 VS 大規模農家
「みどり戦略」成功のカギを握るものは(2022.9.9)
重要な記事
最新の記事
-
米価 5kg4000円台に 13週ぶり2025年9月17日
-
飼料用米、WCS用稲、飼料作物の生産・利用に関するアンケート実施 農水省2025年9月17日
-
JAグループ「実りの秋!国消国産 JA直売所キャンペーン2025」10月スタート2025年9月17日
-
安全性検査クリアの農業機械 1機種8型式を公表 農研機構2025年9月17日
-
生乳によるまろやかな味わい「農協 生乳たっぷり」コーヒーミルクといちごミルク新発売 協同乳業2025年9月17日
-
無人自動運転コンバイン、農業食料工学会「開発特別賞」を受賞 クボタ2025年9月17日
-
木南晴夏セレクト冷凍パンも販売「パンフェス in ららぽーと横浜2025」に初出店 パンフォーユー2025年9月17日
-
防草シート・アルミ反射シート発売 太陽光発電の雑草管理と発電効率向上に GBP2025年9月17日
-
鳥インフル ブラジルからの生きた家きん 輸入停止措置を解除 農水省2025年9月17日
-
雪印メグミルク×PILOT「牧場の朝ヨーグルト」にメルちゃんパッケージ登場2025年9月17日
-
常温保存可能のA2ミルクに「ミルクコーヒー」「ミルクフルーツ」新発売 守山乳業2025年9月17日
-
広がるキャッシュレス決済 FP招き家計管理のコツを解説 パルシステム東京2025年9月17日
-
横須賀市と連携 障がい者農園「はーとふる農園よこすか」を開所 日建リース工業2025年9月17日
-
デリカアドバイザー養成研修 90人を修了認定 日本惣菜協会2025年9月17日
-
シンガポールのアグリテック企業「アリアンテック」千葉大学内に事業拠点開設2025年9月17日
-
ギネス世界記録認定 東洋ライス「世界最高米」使用「金しゃりむすび」期間限定発売2025年9月17日
-
「第2回全国ぶどう選手権」17日に東京で開催日本野菜ソムリエ協会2025年9月17日
-
【JA全農の若い力】家畜衛生研究所(1)養豚農家に寄り添い疾病を防ぐ クリニック北日本分室 菅沼彰大さん2025年9月16日
-
【石破首相退陣に思う】戦後80年の歴史認識 最後に示せ 社民党党首 福島みずほ参議院議員2025年9月16日
-
【今川直人・農協の核心】全中再興(6)2025年9月16日