農産物「再生産」可能な価格で 政策で配慮を 基本法検証部会2023年3月15日
農水省は3月14日、現行の食料・農業・農村基本法の検証と見直しを議論している食農審基本法検証部会を開き、食料政策の今後の方向を提示した。農水省は「食料安全保障のためには需要に応じて生産された農産物の適正な価格形成が必要」との考え方を基本のなかに盛り込む方向を示した。
3月14日の検証部会で
農水省はこれまでの議論をふまえ、現行基本法の制定時に想定していなかったこととして、モノの値段が上がらないデフレ経済の定着を挙げた。デフレが長期化、安いことが食料品の最大のアピールポイントとなり、生産コストが上昇しても販売価格に転嫁できず、農業経営はもちろん加工、小売まで厳しい経営を強いられている。
このため今後は、食料安全保障のためには「適正な価格形成が必要」だとし生産から消費にいたるフードシステム全体で適正取引が推進される仕組みの構築を検討する方針を打ち出す。
仕組みの構築のために、農水省は農業者や農業団体が生産にかかるコストを把握、管理したうえで価格交渉を行う経営管理が必要であり、消費者の理解醸成のための施策も必要だとした。
JA全中の中家徹会長は「適正な価格」について「再生産に配慮された適正な価格としたほうが明確になる」との意見を述べたほか、幅広い国民に理解を醸成する仕組みが不可欠とした。
三輪泰史日本総研エクスパートは「再生産可能(な価格)は重要」としたほか、「農業者の所得水準」を考えたうえで価格形成を考えるべきと提起した。
この問題について清原昭子福山市立大教授は「適正でない価格は(食料の)質の問題につながる。食料の根幹をゆるがす」と食料安全保障の観点からの重要性を指摘した。
消費者の理解が必要となる点について寺川彰丸紅副社長は「安全で高品質で環境に配慮した農産物は、安くは絶対に買えない。コストがかかっていることを認識してもらう必要がある」と強調、柚木茂夫全国農業会議所専務は「生産現場のコストの見える化は消費者の信頼にもなる」と述べた。
また、生産者の井上能孝ファーマン代表は流通小売業者と価格交渉すると「じゃあ、いらないと言われてしまうことを生産者は恐れている」として消費者だけでなく流通業界にも理解を求めるべきだとした。ただ、そもそもすべての生産者がコストを管理できるかという問題も述べた。
一方、大橋弘東大副学長は価格形成について「コストを見せると叩かれる世界でもある」として「どの程度、行政が入れるか難しい部分もある」と指摘した。
堀切功章キッコーマン会長は「市場機能を活かした価格形成でなければ持続可能ではない」としながらも食品産業も電力料金アップなど価格転嫁できていない実態にあるとして「価格以上の(食品の)価値をどう提供していくかが課題。双方が納得する価格であるべき」と述べた。
農水省はそのほか国民一人一人の食を保障するためにフードバンクや子ども食堂などの支援も施策に位置づける方針を示したが、井上氏は「それだけでは不十分」と指摘、人口が減少する地方では物流が機能せず「売り買いがそもそも難しくなる」として、地域住民が食料にアクセスできるようにするには「物流も含めたソーシャルビジネスとして考えなければ解決できないのではないか」と提起した。
山浦昌浩全国農業青年クラブ連絡協議会会長は「今後は農家の減り方はもっと進む。平時でも国内の供給力は不足している」と認識すべきと危機感を訴えた。農業政策について次回のテーマだが、寺川委員は「国産原料からの切り替えをうたうなら農業者を増やすという理念を入れないと安定しない」と指摘した。
そのほか「世界の食料安全保障強化の観点から国際協力の推進」も施策の方向として示した。合瀬宏毅アグリフューチャージャパン理事長は「世界の食料安保は日本の責任」と指摘し、途上国の農業支援などが結果的に日本の食料安保につながること基本法に位置づけるべきだと評価した。
吉高まり三菱UFJリサーチ&コンサルティングフェローは「国際協力は食料確保のルートをつくることにもなる」と話した。
次回は3月27日に農業施策についての考え方を農水省が示し議論する。
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