石川県 畜産農家で停電・断水 新潟、富山でも農業被害 能登半島地震2024年1月9日
農林水産省は1月1日に発生した令和6年能登半島地震の農林水産関係被害の9日(午前7時30分現在)の状況をまとめた。坂本哲志農相は「まだ孤立状態のところがある。人材をできるだけ投入して情報を把握することが大事だ」と述べたほか、関係省庁を連携した食料支援にも力を入れていると話した。
令和6年能登半島地震に関する農林水産省緊急自然災害対策本部の第9回会合
現時点で石川県で畜産農家で停電9件、断水46件が発生しており、うち家畜への給水不能が7件となっている。施設損壊40件でうち損壊にともなう家畜被害は3件となっている。
そのほか農業被害では道路損傷30件でうち農場出入り不可が5件、県の農業試験場と畜産試験場ではガラス破損と堆肥舎の一部破損・一部地盤陥没、放牧場の施設で一部破損、畜産センターで断水、停電、施設一部破損が起きている。
食肉センターでは一部損傷と地盤沈下があるが、作業に支障はなく1月8日から屠畜を開始した。そのほか農地4か所、農業用施設83か所の被害が確認されている。
新潟県ではイチゴの果実損傷、栽培棚からの落下による損傷、ハウス液状化によるチューリップの廃棄、パイプハウス内の地割れ・液状化、農作業小屋19棟倒壊、採卵鶏の飼料タンクの破損、カントリーエレベーターでシャッターの破損、米搬送パイプの損傷、JA米倉庫のガラス破損、建物のひび割れ(3棟)、農業用施設20か所の被害などが報告されている。
富山県では高設イチゴベンチの転倒・地面隆起、鶏舎の斜面崩落、養豚舎周辺の地盤液状化、カントリーエレベーターの損傷、施設の外壁の亀裂、農地8か所、農業用施設等71か所の被害などのほか、福井県、岐阜県でも農地・農業用施設に被害が出ている。
農水省は1日に「食料・物資支援チーム」を設置し被災地の要望を踏まえ業界団体を通じた調達要請の結果、パン、パックごはん、即席めんと粉ミルクについて、食品企業から輸送拠点への発送を開始した。
8日までに約125万点の飲食料などを広域物資輸送拠点に供給、関係省庁と連携して被災地へ順次配送している。
9日午前に開かれた令和6年能登半島地震に関する農林水産省緊急自然災害対策本部の第9回会合で坂本哲志農相は「引き続き関係自治体と連携して被害状況の速やかな把握に努めてほしい」と指示したほか、食料支援については「アレルギー対応食を含む約79万食の食料品、2000kgの炊き出し用の無洗米、液体ミルクを含む約5500点の乳児用ミルク、約45万本の飲料を配送しており、引き続き関係省庁と緊密な連携を取って避難された方々にさまざまな食料を支援してほしい」などと述べた。
過疎と高齢化 震災直撃
その後の会見では今回の能登半島地震の特徴について「過疎と高齢化、これが災害のときに如実に現れると思った。輪島、奥能登では交通が遮断され、断水も多い」と指摘し「常日頃から中山間地域を始めとする農村集落の活性化、あるいは関係人口も含めた人口の維持、増加といったことが改めて必要だ」と農村部の振興の必要性を強調した。
そのうえで「被災者の方の生活と生業支援のためのパッケージを可及的速やかに取りまとめるよう総理から指示もあった。まずは被害状況を把握すること、その後、生産再開のための条件整備、生業の再開に向けての支援を行っていく必要がある」などと述べた。
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