生乳の需給調整 全国的な取り組み促進 補助事業とのクロスコンプライアンス導入 農水省2024年12月25日
農林水産省は12月24日、自民党の畜産・酪農対策委員会で生乳の需給調整に全国的な取り組みへの拠出を主要な補助事業への申請要件とする、いわゆるクロスコンプライアンスの措置を来年度から導入することを明らかにした。
2018年4月の改正畜安法の施行で生乳流通が多様化する一方、脱脂粉乳在庫削減のために生産抑制を行う酪農家からは「不公平」との声が挙がっていた。
また、需給が緩和している時でも指定団体は「正当な理由」がない場合は生産者からの生乳取引の申し出を拒否することはできない。そのため需給緩和時に生産者との取引乳量が増えると、販売先を探すことが難しいという問題も出ていた。
これに対処するため今年4月に省令を改正し、翌年度の出荷予定数量に大きな変更がある場合には、申し出の期限を設定することができるようにした。しかし、実際には期中に出荷先を一部変更するなど契約違反を行う生産者がいると指摘された。ただ、出荷数量は暑熱や分娩のタイミングでも大きく変動するため、出荷数量の変動だけでは違反を問いにくいことが課題となった。
農水省はこうした課題について対応を検討し、指定団体が契約違反への対応を強化するよう省令改正を実施する。具体的には、①生産者に説明を求め期中の出荷先変更に対して契約違反であることを問えるよう運用を明確化、②そのうえで契約違反を繰り返す生産者からの翌年度の取引の申し出を拒むことができる、とする。
また、系統と系統外との情報交換会のなかで、飲用向けの生乳の投げ売りを防止するには加工が重要であることや、牛乳の需給安定のために全国的に必要な取り組みがあることなど議論されてきた。
そのうで脱脂粉乳の在庫低減対策など、全国で取り組むことが必要な事業への拠出を主要な補助事業への申請要件とする。いわゆるクロスコンプライアンス措置であり、来年度から導入する。
そのほか酪農の畜産クラスター事業を再開する。離農者の代わりに事業を引き受けるなどの場合に、施設整備の補助申請を再開する(搾乳施設と成牛舎を除く)。新規就農者は搾乳施設などを含めすべての施設が補助対象となる。
機械導入についても、頭数を増やさないことを条件に、飼養管理のための機械を含むすべての機械の申請を再開する。中古機械も対象となる。
そのほか11月にわが国初の感染が福岡県で確認されたランピースキン病への緊急対策を関連事業で措置する。
ランピースキン病は12月24日時点で福岡県で19事例、熊本県で2事例が確認されている。
ALIC事業のうち、国産畜産物の安心確保対策として15.5億円を措置し、突発的な家畜の伝染性疾病の拡大による影響抑制のための支援を実施する。
また、今年度中の緊急措置として、経営継続・維持に必要な低利融資を融通する金融機関に対して利子補給する家畜疾病経営維持資金の対象にランピースキン病を追加するとともに、同病のまん延を防ぐために自主的に発症牛を淘汰する生産者が家畜を再導入して経営を継続する取り組みを支援するランピースキン病まん延防止自主対策促進事業を新規で措置する。
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