政府備蓄米 売り渡し実施へ 2月14日に条件提示 農水省2025年2月7日
江藤拓農相は2月7日の定例会見で、政府備蓄米の買い戻し条件付き販売について2月14日にも数量や価格などを示すことを明らかにした。その後、公告を行い入札を実施する。時期は明らかにしていないが、石破総理からの指示もあり「なるべく急ぐ」との考えを示した。
政府備蓄米の買い戻し条件付き販売は1月31日の農水省の食糧部会で了承され、実際に実施するかどうか農相の判断にかかっていた。
農水省によれば、24年産米の生産数量は23年産より18万t増えているが、全農や全集連など大手集荷業者の集荷量は前年より21万t少ない。江藤農相は「このトレンドは何として止めなければならない、明らかに米はあるのに集荷業者の手元にないという現実を見極めて判断した」と備蓄米を売り渡しを判断した理由を述べた。
2月14日に数量や価格など条件を明らかにするとしており、その後、公告し入札を行うが「ここまで来たら(備蓄米の売り渡しを)行わないことはない。売り渡しが始まると考えていただいていい」と述べた。
売り渡しの目的は米の流通の円滑化であり「価格をどうこうするということではない。ただ、いつまでも持っていれば古米になる。国の姿勢を示せば流通に乗せようという人も出てくるのではないか。その結果として価格も安定していくのではないか。スタック(滞留)した在庫が市場に出てくるように政策誘導したい」とも述べ、備蓄米の売り渡しをアナウンスすることよって流通が円滑する効果も狙う。
農水省は1月末以降、これまで調査をしていなかった小規模な集荷業者や卸売業者、生産者について在庫調査を進めている。政府備蓄米の売り渡し数量はこうした調査もふまえて決めるとみられる。生産者への影響について農相は「生産者の意欲を削ぐようなことはしてはいけないと言ってきた。手取りに影響を与えるとすればつらい話」と述べたが、売り渡しの指標とする価格などについては明らかにせず、食料の安定供給という責務もあることから売り渡しを決断したことを強調した。
JA全中の山野徹会長は6日の定例会見で備蓄米の売り渡しについて「相対取引価格が下落し生産者手取りに影響することがないようにすることが重要」と述べている。
政府備蓄米の売り渡しの実施は初めてとなる。今回は売り渡しを受けた集荷業者は1年程度で政府の買い戻しに応じなければならない。その集荷も課題となる。
(関連記事)
・米の集荷数量 前年比21万t減 備蓄米売り渡し準備 食糧部会が了承(25.2.3)
・備蓄米の買い戻し条件付き売り渡しを諮問 農水省が食糧部会に(25.1.31)
・政府備蓄米放出へ 買い戻し条件付で全農など集荷団体へ販売 農水省(25.1.24)
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