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【2026新年号】鈴木憲和農相インタビュー 先見通せる農政めざす2025年12月26日

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2026本紙新年号は「食料安全保障と農業協同組合」をテーマにした。気候危機や不安定な世界情勢のなか、食料安全保障の確立がいっそう重要となるなか、地域に根ざした農協の役割は農業振興と食料の安定供給にとってますます重要になる。本紙新年号ではこのテーマを軸に政治、行政、学識者にJAトップ層が生産現場を踏まえて聞くインタビューを特集した。鈴木憲和農相には八木岡努JA茨城県中央会会長がインタビューした。

鈴木憲和農相鈴木憲和農相

 八木岡 食料・農業・農村基本法の改正などでわが国の農業をどう持続させていくか、農地集約や大規模化による生産性向上の方向も示されていますが、この問題をめぐる現時点の課題とJAに期待することをお聞かせください。

 鈴木 私は先を見通せる農林水産行政にしていくことが大事だと思っています。そこで職員の皆さんに申し上げているのは、ただ単に再生産可能であればいいという考えはもうやめよう、その先に一歩進まなければならない、ということです。人口が減少する日本で、わざわざ地域に住むという選択をして第一次産業に携わると決めていただくからには、ただ再生産が可能で普通の暮らしができるというだけではなく、東京に就職するよりも幸せで稼げるという状況を作らない限り、この国の第一次産業に未来はないといつも思っています。

 JAグループは現場で生産者を支えており、とくに中小規模の生産者のみなさんにとっては、農業協同組合という組織があるから農業生産を続けていけるという面があるのはその通りだと思います。これからも私たちはJAグループの役割を大切だと考えながら行政を行っていきたいと考えています。

 ただ、一方でかなり多くの農業者のみなさんがご高齢で、とくに夏場の暑い中での農作業が強いられるなか引退をされる方も多いと思います。そこで大事だと思うのは、そういう皆さんが引退する際に、そのノウハウ、農地そのものもですが、地域で次の世代に引き継がれていく状況をいかにつくっていくかだろうと思っています。

 この問題については「地域計画」を1万9000地区で策定していただきました。しかし、現実を見ると、やはり本音ベースでどこまで議論をしたかと言えば、そうではない面もあると思いますから、これからそれをより本音ベースで地域の将来が見通せる形に作り上げていくことを現場の皆さんにお願いしたいと思っています。

 その時に、やはり出荷先としては共同利用施設が必要になるわけですから、そういう点でも、JAの皆さんには、地域のブランドづくりの観点も含めて、地域計画の議論にしっかりと参画していただきたいです。

 とくに10年後、20年後にその地域で営農する皆さんはJAの青年部の世代だと思いますから、その皆さんがより自分たちの地域を背負っていくという姿勢になるようJAにはバックアップをお願いしたいと思います。

八木岡努JA茨城県中央会会長八木岡努JA茨城県中央会会長

 八木岡 後継者確保と合わせて農業技術の継承などはどうお考えでしょうか。

 鈴木 篤農家と言われる皆さんの技術は、長年培われてきた本当に素晴らしい技術であり、地域農業のリーダーとして、その地域のブランドや高品質な農産物を支えていると思います。

 ですから、培われた技術をいい形で新しく参入する人や、子や孫の世代にきちんと引き継がれていくように、我々はその支援の枠組みを作らなければいけないと考えております。

 これを都道府県や公的機関がバックアップすることも必要ですが、それ以上に現場の皆さんの想いや勘、コツといったものを今風にデータ化して、それらをサイエンスに変えて引き継がれていくことになれば産地としての理想だと思います。

 地球温暖化による気候変動で、次第に産地が北上していくという問題もあります。そのときにも技術が引き継がれていく。今は各産地はライバルとして競い合っているわけですが、気候変動に対応するには、産地間競争する時代ではなく産地のネットワークが大切になると思います。これにオールジャパンで取り組めるのがJAグループではないでしょうか。

 八木岡 スマート農業化の中で機械にもビッグデータのようにデータが蓄積されて、それを活用するということもできると思います。それによって我々も第三者継承を支援できればいいと考えています。

 合わせて担い手の確保対策としては、学校給食など生産した農産物の出口対策や、さらには、そのなかでみどり戦略に則った生産方法による有利販売などで支えていければいいと思っています。

 鈴木 そのためには何といっても共同利用施設が必要だと思います。

 ですから農業構造転換集中対策5カ年のなかで、できる限り次の20年を見据えて、更新、集約、合理化できるところは思い切って取り組むということを私たちもやらなければならないと考えています。
 それが産地の底が抜けないで生産基盤をしっかり整えるということだと思います。補助率のかさ上げも含めて努力していますから、ぜひJAグループの皆さんにも頑張っていただければと思います。

 八木岡 茨城県ではJAグループが出前講座として小学5年生に授業をしています。時間がかかるかもしれませんが、子どもたちから理解醸成を図っていくことは大事でその中から、第三者継承で農業を担う人が出てくれば願ってもない話になります。

 鈴木 担い手の確保という点では、農業経営塾が各県にありますが、これが大事だと思います。農産物を作る技術も大切ですが、自分の経営をどう考えるのかです。

 これから人口減少でどの産業も人が減りますから、そのなかで一人当たりの規模はどうしても増やしていかなければいけないというなかで、経営をどう考えるかについてももっと学ぶ場を整えるということも次世代への継承、新規参入に対して大事ではないかと考えています。

 八木岡 気候変動については種子の安定確保も難しくなっていると現場では感じています。種子、種苗の確保についてのお考えをお聞かせください。

 鈴木 我々としては、地球温暖化で高温になるなか、基本的にはどの作物も高温耐性品種の開発を進めていくことが大事だと思っています。

 そのなかでさまざまな支援を予算措置で行っていますし、都道府県も相当頑張ってくれています。ただ、そうは言っても都道府県の予算措置には限界があります。さらにどのような支援ができるか、考えていきたいと思います。

 もう一つは、種子の生産に携わる皆さんへの支援です。種子の生産は草一本生やしてはいけないなど、かなり大変ですから、皆さんが報われるように国と県、JAグループが一緒に支えていくことが大事だと思っています。

 また、穀物以外にも野菜や果樹の品種もますます重要になってきます。野菜の種子はかなり海外で生産していますから、そこにも問題意識を持って対応したいと思います。種子、種苗は食料安全保障の根幹であり、ある意味では世界で闘ううえでの稼ぎの根幹でもあります。その意味では温暖化に耐え得る種子、種苗を開発できるのか、そして食料生産力を上げることができるのか、すべての源泉だと思うのでしっかり支える枠組みを新たに作りたいと思っています。

 八木岡 スマート農業はどちらかといえば農業の大規模化のための手段として注目されていますが、種子生産の現場での草刈りなどの負担を軽減するために活用することなども期待されます。今日は大変ありがとうございました。

【2026新年号】鈴木憲和農相インタビュー 先見通せる農政めざす

【インタビューを終えて】昨今の温暖化状況の中、今まで通りにならない農業と日々戦う農家が、令和のコメ騒動をどう見ていたかと考えると、自分の立場でもっと以前からやれたことがあったはずだと悔いるばかりです。そんな中、新たに就任した鈴木憲和大臣との対談は、前のめりで一緒にやりたいと思える内容が次々と言葉で飛び出し非常に共感できました。ぜひこれらを組織に持ち帰り、JAグループ一環となって取り組んで行かねばと思いを新たにしたところです。(八木岡)

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