高オレイン酸大豆油、国内販売めざす デュポン2013年9月17日
デュポン社(本社・米国デラウェア州)は農業関連事業をコア事業の1つに位置付け、研究開発投資を増やしている。この農業関連事業の売り上げの約7割を占めるのが種子事業だ。9月12日、本社の種子ビジネス担当者であるジェリー・フリント氏が来日会見を開き、同社の種子事業と今後の見通しなどについて紹介した。
同社の種子事業の売り上げは7割がトウモロコシ、2割が大豆で、そのほかナタネ、小麦、イネをあわせた5分野が中心。このうち、トウモロコシ、大豆、ナタネの3分野では遺伝子組み換え(GM)が太宗を占める。
この日、フリント氏が紹介したのはトウモロコシ「AQUAmax(アクアマックス)」と、高オレイン酸大豆油「Plenish(プレニッシュ)」など。
2012年は米国で大干ばつが発生。被害は過去25年間で最悪だったという。「アクアマックス」は耐乾燥品種で、干ばつ状態でも従来品に比べ8%ほど収量が増える。
ユニークなのは、従来の耐乾燥品種は干ばつでない通常状態ではむしろ収量が落ちるのに対し、アクアマックスは通常状態でも収量を増やすことができる点だ。「異常気象は世界共通の課題。(アクアマックスは)穀物在庫や価格の適正化に貢献できる」(フリント氏)品種だと胸を張る。
「プレニッシュ」は、通常の大豆油には2割弱ほどしか含まれないオレイン酸を、オリーブ油と同程度の8割近くまで高めたもの。ヘルシーな油として食用にも使えるが、機械や容器に使用しても周辺への汚れが少ないことから、工業用途での利便性も高いという。すでに日本では食用として認可されており、「食用か工業用か。米国で製油して輸入するか、または国内の製油メーカーと協力するか。日本での流通の可能性はさまざまあり、これから考えていく」(デュポン日本法人の田中能之・代表取締役社長)段階だという。
フリント氏は、「デュポンの種子ビジネスはGMだけでなく、非GM、有機など、あらゆる分野に対応している。これからも消費者と生産者のニーズに個別に対応した品種開発を進めていく」と研究開発の方向性について紹介しつつ、「規制は新たなバイテク製品を市場に打ち出すための重要なファクター。承認期間の短縮などを求める活動にも力を入れたい」と語った。
(写真)
ジェリー・フリント氏
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