農薬:サステナ防除のすすめ2025
【サステナ防除のすすめ】IPM防除の実践(害虫防除編)自然と環境を"流用"(3)物理的防除で補完2026年3月3日
サステナブルな防除体系の主体となるIPM防除技術であるが、化学的防除以外の防除法は、病害、虫害、雑草ごとに異なるのでそれぞれで整理しておいた方が防除戦略への活用が検討しやすくなると考え、病害編、害虫編、雑草編の三つに分けて整理を試みている。今回は害虫防除に使用するIPM防除技術を整理してみよう。
物理的防除で補完
6.害虫の物理的防除
(1)捕殺
もっとも単純な物理的防除は捕殺である。文字のごとく、害虫をみつけたら捕まえて殺す方法である。これができるのは、チョウ目害虫などある程度大型なものでないと使えない。ギリギリ、アブラムシ程度まで使えるが、広範囲に発生が広がっていると手間ばかりかかって防除効率が悪い方法である。また、ダニやサビダニなどごく小さかったり、ハモグリバエやアザミウマなど作物の隙間に入り込んでいるような害虫もこの方法での防除は難しい。あくまで、補完的な方法である。
(2)熱を利用する物理的防除の技術的概要
害虫も生物なので、一定の温度以上で行動が停止し、致死温度に達すると死亡する。
土壌にいる土壌線虫などの防除は、病害の防除方法と変わりない。
これに加えて、害虫の場合、ハウス蒸し込みという技術がある。トマトの黄化葉巻病などを媒介するコナジラミ類の殺滅に使用されるもので、被害残さなど全てをハウスの中に重ね、ハウスを密閉して、ハウス内を蒸し風呂状態にする。高温多湿下で害虫も死滅するし、作物体内に残る病原ウイルスも不活性化させることができる。ただし、日中の日差しが十分にないと温度が上昇しきれないので注意が必要だ。
(3)侵入防止ネット
施設栽培などで、害虫が侵入するのを防ぐ技術である。対象とする害虫によって網目を調整する。ただし、換気用の開口部や入り口の開け閉め時の対応、網目が細かい時の通風不足による温度上昇など注意点もある。対象の害虫の大きさを栽培管理をよく考慮して網目を選ぶようにする必要がある。
(4)着色粘着板
昆虫は色に誘因される性質を持っている。ハエ目は黄色、アザミウマは青色などであるが、これを利用する。着色した粘着板を圃場のあちこちにおいて、色でおびき寄せて防除する方法である。設置数が少なければ、十分な防除効果が得られないことも多いので、製品のラベルをよく読み推奨の設置数をよく守るようにすることが重要だ。
(5)忌避効果
アブラムシ類は銀色を嫌う性格がある。このため、マルチに銀色を使用するとアブラムシ類の抑制効果がある。太陽光を反射するため、黒色ほどの保温効果はないので、マルチの使用目的により適宜使い分ける必要がある。
(6)越冬場所の除去
害虫の種類によっては、冬に越冬場所にじっとして耐え、翌年温かくなったころ活動するものが多い。特に果樹の害虫などでは、樹皮の下などで越冬するものも多い。このような、害虫が越冬しそうな場所を減らすことで、翌年の害虫密度を減らすことができる。
(7)気門封鎖剤
でんぷんなどねっとりした液体を散布し、害虫の気門を塞ぐ資材を使用する方法である。天然物が原料であることが多く、農薬登録を受けてはいるが使用回数を気にせず使える。ただし、害虫の気門に十分量が付着するように丁寧に散布する。
(8)高濃度炭酸ガス
倉庫など密閉空間にできる場所で使用する方法。炭酸ガスを充満させて窒息死させる方法である。
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