農薬:サステナ防除のすすめ2025
【サステナ防除のすすめ】IPM防除の実践(害虫防除編)自然と環境を"流用"(4)忌避効果も兼ねて2026年3月3日
サステナブルな防除体系の主体となるIPM防除技術であるが、化学的防除以外の防除法は、病害、虫害、雑草ごとに異なるのでそれぞれで整理しておいた方が防除戦略への活用が検討しやすくなると考え、病害編、害虫編、雑草編の三つに分けて整理を試みている。今回は害虫防除に使用するIPM防除技術を整理してみよう。
忌避効果も兼ねて
7.害虫の耕種的防除
生物的防除や物理的防除と異なり、忌避効果や害虫の生態を逆手に取る防除法である。害虫に直接的な効果は無いが、加害を防ぐあるいは軽減できる効果があるので、他の防除法との組み合わせで実施するのが効率的である。
(1)害虫忌避性植物の植栽
この方法は、文字通り害虫の忌避効果を持つ植物を作物と混植することで害虫の被害を抑えるものである。コンパニオンプランツとも呼ばれ、野菜とハーブ類の組み合わせが園芸店などのホームページ等で数多く紹介されている。
ただし、忌避効果等は地域や時期によって異なるため、コンパニオンプランツの効果の発現程度は異なっている。つまり、「ある時期ではよく効いたが、異なる時期では効き目がなかった」といったことも起こり得るということを理解しておく必要がある。
農業分野で確実に効果があると実証データも含めてそろっているのが、マリーゴールドの混植による土壌センチュウ類の密度抑制である。
ただし、植物一般にいえることであるが、植物の根等はアレロパシーと呼ばれる他の植物の生育に抑制的に働く物質を出すことが知られており、作物と害虫忌避性植物の組み合わせによっては、作物の生育に悪影響のあるものもあるので、事前に指導機関や種苗会社等に確認しておく必要がある。また、混植する植物の種代が多くかかるような場合は、経営的にマイナスとなる場合も多いので、導入前に混植により得られる効果と収支をよく検討しておく必要がある。
(2)輪作
害虫も病害と同様に嗜好性があるので、同じ作物を植え続けると同じ種類の害虫が増加するので、できるだけ加害する害虫が重ならないような作物による輪作体系を組む必要がある。ただし、害虫には、加害する作物範囲が広いものも多いので、輪作が可能な作物の範囲が狭くなるのが難点だ。なので、害虫に対しては病害ほどの輪作の効果は無いということを理解しておいた方が良い。
(3)栽培時期の移動
害虫は種類ごとに発生生態が異なっており、発生量に波がある。つまり、一部の施設などで発生する害虫を除き、ある時期に発生が始まり、増殖がピークを迎え、ある時期にはすーっと発生が減少し、ほ場からいなくなるといった期間が必ずある。
この害虫がいなくなる時期に作物を栽培するのが栽培時期の移動という方法である。ただし、害虫の発生がなくなる時期というのは、冬期間であるので、冬に生育適正があるものに限られるので、この方法が採用できる露地ものの作物や作型には限りがある。もちろん、加温などにより栽培に適した条件を作れる施設栽培であれば、多くの作物で栽培時期の移動も可能となるが、燃料代などの経費が増嵩するのが難点である。
8.害虫の化学的防除
化学的防除とは、主に化学合成農薬いわゆる殺虫剤を用いて行う防除のことをいう。
殺虫剤も、発生が無いか、あるいは発生の極初期の害虫密度が少なく、幼虫の時期に防除する方が効果も安定するし被害を最小にすることができる。また、ウンカなどの飛来害虫については、できるだけ飛来前の予防防除が最も効果が安定する。水稲の場合であれば、育苗箱処理剤などの利用が飛来後の地上散布よりも効果の漏れが少なく安定した効果を発揮することが多い。このように、化学的防除の成否は害虫の密度が少ない時を狙った適期防除ができるかにかかっている。そのために、これまで紹介した生物的防除や物理的防除、耕種的防除など複数の防除法を組み合わせてできるだけ害虫の密度を下げ、農薬の効果が最も出やすい環境を作ってから化学的防除を行うと安定した効果が得られるようになることをご理解頂きたい。ぜひ指導機関などが出している作物別IPM防除体系などを参考にして、自分のほ場に会うIPM技術を選んで組み合せ、自分なりのIPM防除に取り組んでみてほしい。
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