余剰野菜問題を解消するグリーンサポート20周年2018年1月24日
東都生活協同組合(東京都世田谷区、庭野吉也理事長)が独自に展開、販売する低価格供給商品「グリーンサポート」がこの1月で20周年を迎えた。余剰野菜に着目した商品だ。
東都生協が提供する青果物は、まず事前に産地と栽培方法について確認した物を植え付けてもらうことから始まる。数量については、前年までの注文状況や社会的な背景などを考慮しながら、生協担当者(商務)と産地の担当者が話し合いながら決定していく。
産地ではこの計画数量に対応できるように、畑に植え付けを行っていくが、必ずしも収穫量と注文数が等しくなるとは限らないことや、毎年の天候の変動から生育が遅れたり、逆に進みすぎたりして、生協のカタログ掲載週とズレが生じてしまう。こうした場合、手塩にかけて育てた青果物が畑に余ってしまうことがしばしばある。これが、いわゆる余剰野菜だ。
実際の収穫量と注文数量のバランスが崩れ、余剰となった青果物は畑で処分せざるを得なくなる。一般市場に余剰野菜を持ち込むことも可能だが、日頃から定期的に市場出荷をしていない産直産地の商品は市場にとっては「余った時だけ持ち込まれては不安定で、あてにならない厄介者」として敬遠されがちだ。
また生産者にとってもせっかく組合員向けに育てた青果物がどこの誰に届くのかが分からない市場出荷になることは本意ではない。
こうしたことを背景にサポート商品が生まれた。
産地を訪れた組合員が、出荷できずに廃棄される青果物を見て「もったいない!何とかならないものか」との素朴な気持ちを生協に報告。意見を受けた生協や産地、流通を担う取引先など各方面から協力し合う体制が整い、「グリーンサポート」商品が生まれた。
これにより、組合員は通常の商品より低価格でこだわりの青果物を購入することができ、生産者も畑で余剰となりそうな青果物を出荷できる。また物流会社は組合員の満足度が上がることで受託する仕事量が増えるという、まさに「三方一両損」を地でいく恰好だ。
しかし、サポート商品はその性格上、組合員には「何が届くのかが分からない」という不便さも持ち合わせている。とはいえ、組合員もそうした点を理解しているので、特に問題はないという。実際、生協側が商品を提供する場合は、その時々の余剰の状態で、届けられる商品構成もさまざまで、量や大きさなども不揃いだ。ただし、目安としては余剰野菜1~2品目で一律210円(税込み)で組合員に提供される形となっている。
東都生協は産地に栽培を依頼した青果物の余剰を少なくすることで、生産者に安心して栽培してもらえる環境が維持できる。東都生協では今後もこの「グリーンサポート商品」の展開を通じて、持続可能な安全・安心で美味しい青果物生産に取り組みたいとしている。
(関連記事)
・【衆議院選挙】米の直接支払い制度維持-日本共産党の農業公約(17.10.10)
・【緊急調査・29年産米の作柄見込みと30年産米の課題】主要219JAのコメ担当者の声【東北】(17.09.21)
・JAグループ、JETRO15団体 輸出へ向け連携協定締結(16.12.20)
・農協に3つの危機(16.10.25)
・【提言】安倍政権農政はヨーロッパ型農業から学べ(上)(16.10.07)
・産直は地域創生の原動力 生消研がシンポ(15.04.16)
重要な記事
最新の記事
-
農業と地域を守ってきた誇りを 「第46回農協人文化賞」表彰式・記念パーティー開く2025年7月7日
-
【第46回農協人文化賞】生消連携し食を担う 一般文化部門・グリーンコープ生協連専務 片岡宏明氏2025年7月7日
-
【第46回農協人文化賞】組合員目線を大切に 一般文化部門・神奈川県・横浜農協元専務 海沼正雄氏2025年7月7日
-
【第46回農協人文化賞】変化恐れず「人のため」 一般文化部門・兵庫県・たじま農協組合長 太田垣哲男氏2025年7月7日
-
【注意報】オクラにフタテンミドリヒメヨコバイ 石垣市で多発のおそれ 沖縄県2025年7月7日
-
【浜矩子が斬る! 日本経済】「参院選に向けての争点と生活保護費減額問題の関係」弱者の視点忘れずに2025年7月7日
-
参院選アンケート 「所得補償」で違い浮き彫り 関税交渉では与野党ほぼ一致2025年7月7日
-
2025参院選・各党の農政公約 所得補償「食農支払」で農地守る 立憲民主党2025年7月7日
-
2025参院選・各党の農政公約 ミサイルよりコメ、所得補償で農業元気に 社民党2025年7月7日
-
2025参院選・各党の農政公約 農は国の基、「別枠予算」で生産性向上 自由民主党2025年7月7日
-
2025参院選・各党の農政公約 有機推進、「食の知る権利」も 参政党2025年7月7日
-
2025参院選・各党の農政公約 直接支払いで農家の手取り増やす 国民民主党2025年7月7日
-
2025参院選・各党の農政公約 農家所得向上に注力、中山間地支援 公明党2025年7月7日
-
2025参院選・各党の農政公約 価格保障と所得補償で米増産 日本共産党2025年7月7日
-
2025参院選・各党の農政公約 伸ばす農政へ転換、農協法改正も 日本維新の会2025年7月7日
-
2025参院選・各党の農政公約 予算倍増で農家守る、動物福祉も れいわ新選組2025年7月7日
-
【人事異動】農水省(7月8日付)2025年7月7日
-
備蓄米 出荷済75% JA全農2025年7月7日
-
米価下落見通し 大幅増 米穀機構調査2025年7月7日
-
協同組合フェスティバルに仲間由紀恵さんが参加 助け合いの輪を広げたい JA共済連2025年7月7日