地域生協の供給高増収も88.3%と減益2019年6月20日
店舗事業の強化必要日本生協連通常総会
日本生協連は6月14日に都内で第69回通常総会を開催し、2018年度事業報告と決算、2019年度事業計画と予算など5つの議案を決定。2019年が最終年となる「2020年ビジョン」に続く「日本の生協の2030年ビジョン」(つながる力で未来をつくる)策定に向けて全国で議論を推進することを決定した。2030年ビジョンは昨年採択した「コープSDGs行動宣言」も踏まえたものとなる。
あいさつする本田会長
18年度の全国の地域生協(調査生協数125)の供給高は2兆7593億円(前年比100.7%)だったものの、経常剰余金は392億円(同88.3%)と増収減益となった。
全国の地域生協の供給高の内訳は、宅配事業は個人ニーズに対応したアイテム掲載を拡大し、個配を中心に伸長し、1兆8067億円(同100.9%)となった。うち個配は1兆2860億円(同102.0%)。配送についての課題に対して、Webでの加入や注文、配送時のスマートフォン活用などITの活用が進んでいる。人手不足への対応としては、宅配コースの効率化、小型車両の導入など女性や高年齢層も働きやすい環境整備を進めている。
一方、店舗事業の供給高は9057億円(同99.8%)だった。店舗事業を強化するためには、損益分岐点を下げる本格的な見直しが必要であり、深刻な人手不足への対応として、セントラル機能の活用や、キャッシュレス決済、セミセルフレジの導入による省人化の導入が広がっている。なお、18年度は、新規出店3店、建替え3店、移転2店に留まった。
地域生協の福祉事業収入は増加傾向で、福祉事業収入は195億円(前年比103.4%)だった。なお、地域生協以外に別途、生協が母体の社会福祉法人10組織の事業が約230億円、福祉生協・地域生協の事業が約20億円、医療福祉生協(106生協)の福祉事業が約710億円あり、生協グループ全体では約1155億円(17年度実績)の事業規模となっている。
また、組合員数は前年比39万人増加し2226万人(同101.8%)となった。なお、世帯加入率が50%を超えているのは宮城県・北海道・兵庫県・福井県、45%超は宮崎県・岩手県・奈良県・香川県・京都府・愛媛県となっている。医療・学校生協を含む、会員生協の総組合員数は2929万人(同102.9%)で20年には3000万人に達する見込み。
◆自治体と連携協定や協同組合間協同で地域課題解決へ
今年度が最終年度となる「2020年ビジョン」では、全国の生協が力をあわせて取り組む3つの重点課題に取り組んでいる。
重点課題1:安心してくらせる地域社会づくりへの参加
重点課題2:商品力の強化を通じた組合員のくらしと生協の経営への貢献
重点課題3:生協の未来を担う人材の確保と育成
「重点課題1」では、買い物困難者の支援として、移動販売に33生協、稼働車両197台に拡大。配食事業では48生協で1日あたり14万4300食を供給している。店舗への送迎車や買い物バスの運行なども実施。また、宅配事業のインフラを活用した「地域見守り活動」で、全国99生協が47都道府県の1142市区町村と地域見守り協定を締結。福祉・子育て・まちづくりなどの包括的な連携協定締結も増加。県内全市町村と締結したのは、青森県・岩手県・宮城県・茨城県・埼玉県・千葉県・富山県・石川県・福井県・岡山県・鳥取県・山口県・徳島県の13県に上る。
また、社会的弱者や貧困問題への取り組みでは、家庭で余った食品を店舗などで回収し提供するフードドライブとフードバンクを合わせて、68生協・連合会が実施。子ども食堂は54生協・連合会が食材・場所の提供や運営支援を行っている。
協同組合間の連携を広げ地域を元気にするために、18年4月に、協同組合の新たな連携組織として発足した、日本協同組合連携機構(JCA)での活動を通じ、日本の様々な協同組合が持つ力を結集し、持続可能な地域社会づくりに向けて、生協・JA・自治体・社会福祉協議会による「子どもの居場所づくり」や、生協・JA・漁協・森林組合による「被災地の復興支援」など課題解決への取り組みが展開されている。
「重点課題2」では、コープ商品発売60周年となる20年に向けた商品強化とブランド体系の再整理を行い、ヘルシーとエシカルの2本のラインに整理した。エシカル消費対応商品の拡大では、19年度は、海、森、プラスチック対応を重点テーマとした。
「重点課題3」では、全国生協・人づくり支援センターを日本生協連に開設し(1)採用力向上・職員の定着・組織活性化のための施策、(2)生協人材コネクト(転居人材の紹介制度)、(3)未来の人づくりプログラム(キャリア形成支援、女性職員交流会)、(4)現幹部向け研修プログラム「生協ビジネススクール」を実施する。
◆日本の生協の2030年ビジョン(一次案)
20年6月の通常総会で策定することとし、19年6月に一次案が提案された。20年1月に最終案をまとめる。
生協の決意をこめて、「つながる力で未来をつくる─CO・OP2030─」というメッセージを一次案で示した。
同ビジョンが目指すものは
▽生涯にわたる心ゆたかなくらし
▽安心してくらし続けられる地域社会
▽誰一人取り残さない、持続可能な世界・日本
「コープSDGs行動宣言」も踏まえ、生協が何をするかを
▽組合員と生協で働く誰もが活き活きと輝く生協
▽より多くの人々がつながる生協
の2つとした。
同ビジョンは、今後一次案をもとに議論を行い1年かけて作成する。また、具体化するものとして、今後、中期方針も合わせて議論し確定する。
重要な記事
最新の記事
-
【人事異動】JA全中(10月1日付)2025年9月12日
-
【注意報】野菜類、花き類、豆類にハスモンヨトウ 県内全域で多発のおそれ 兵庫県2025年9月12日
-
【注意報】果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 佐賀県2025年9月12日
-
【石破退陣に思う】農政も思い切りやってほしかった 立憲民主党農林漁業再生本部顧問・篠原孝衆議院議員2025年9月12日
-
【石破首相退陣に思う】破られた新しい政治への期待 国民民主党 舟山康江参議院議員2025年9月12日
-
【石破退陣に思う】農政でも「らしさ」出しきれず 衆議院農水委員会委員・やはた愛衆議院議員(れいわ新選組)2025年9月12日
-
ドローン映像解析とロボットトラクタで実証実験 労働時間削減と効率化を確認 JA帯広かわにし2025年9月12日
-
スマート農業の実践と課題を共有 音更町で研修会に150名参加2025年9月12日
-
【地域を診る】個性を生かした地域づくり 長野県栄村・高橋彦芳元村長の実践から学ぶ 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年9月12日
-
(452)「決定疲れ」の中での選択【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年9月12日
-
秋の味覚「やまが和栗」出荷開始 JA鹿本2025年9月12日
-
「令和7年台風第15号」農業経営収入保険の支払い期限を延長 NOSAI全国連2025年9月12日
-
成長軌道の豆乳市場「豆乳の日」前に説明会を実施 日本豆乳協会2025年9月12日
-
スマート農園を社会実装「品川ソーシャルイノベーションアクセラレーター」に採択 OYASAI2025年9月12日
-
ご当地チューハイ「寶CRAFT」<大阪泉北レモン>新発売 宝酒造2025年9月12日
-
「卵フェスin池袋2025」食べ放題チケット最終販売開始 日本たまごかけごはん研究所2025年9月12日
-
「日本酒イベントカレンダー 2025年9月版」発表 日本酒造組合中央会2025年9月12日
-
北海道檜山特産品マルシェ「ひやマルシェ」開催2025年9月12日
-
農福連携 食品産業向け展示商談会「ノウフク見本市2025in大阪」開催2025年9月12日
-
次世代モデルの人工光型植物工場「福井美浜工場」竣工 椿本チエイン2025年9月12日